フォン・ミーゼス分布

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フォン・ミーゼス分布(フォン・ミーゼスぶんぷ; : von Mises distribution)は、円周上に定義された連続型確率分布である。方向統計学(Directional statistics)における代表的な分布モデルであり、確率変数を角度の関数として表す分布モデルなどに使われる。名前はリヒャルト・フォン・ミーゼスにちなむ。

定義と性質

ファイル:VonMises 3D.png
フォン・ミーゼス分布の確率密度関数を単位円上にプロットした図

[math]\mu~(0\le\mu\lt 2\pi),~\beta~(\beta\ge 0)[/math] をパラメータ、実数 [math]\theta~(0\le\theta\lt 2\pi)[/math] を確率変数 とするときのフォン・ミーゼス分布の分布関数 [math]F(\theta)[/math] および確率密度関数 [math]f(\theta)[/math] は以下の式で定義される。

[math]F(\theta)=\left\{2\pi I_0(\beta)\right\}^{-1} \left[\theta I_0(\beta)+2\left\{\sum_{j=0}^\infty\frac{I_j(\beta)\sin(j(\theta-\mu))}{j}\right\}\right] [/math]
[math]f(\theta)=\frac{\exp\{\beta\cos(\theta-\mu)\}}{2\pi I_0(\beta)} [/math]

ここで

[math]I_j(\beta)=\left(\frac{\beta}{2}\right)^j\sum_{i=0}^\infty\frac{\left(\frac{\beta^2}{4}\right)^i}{i!\Gamma(j+i+1)}[/math]

[math]j[/math] 次の第一種変形ベッセル関数である。 パラメータ [math]\beta[/math] が大きいとき正規分布に近似でき、[math]\beta=0[/math] のとき一様分布に帰着する。

定義域が有限 ([math]0\le\theta\lt 2\pi[/math])、または [math]\theta[/math] に関して周期関数であることから、正規分布とは異なるが、 方向統計学における代表的な分布であること、二変量正規分布を変換することでフォン・ミーゼス分布を得られること、最尤推定により平均方向が得られることなど、 正規分布と類似性もあることから、円周正規分布 (circular normal distribution) と呼ばれることもある。しかし、再生性を持たない等、正規分布と異なる性質もある。

参考文献

  • 清水邦夫, 「方向統計学の最近の発展」, 計算機統計学, 第19巻, 第2号, pp. 127-150 (2006).
  • 蓑谷千凰彦, 統計分布ハンドブック, 朝倉書店 (2003).

関連項目

外部リンク