上毛電気鉄道

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上毛電気鉄道株式会社(じょうもうでんきてつどう)は、群馬県に1路線を有する鉄道事業者である。略称は上電(じょうでん)。

中央前橋駅西桐生駅を結ぶ鉄道路線(上毛線)を運営する。筆頭株主は東武鉄道で、他に上信電鉄が大株主となっている。旧運輸省の欠損補助を受ける事業者の一つであった。

歴史

鉄道事業

上毛線は1990年代後半以降の10年間で乗客が4割減の状況が続いている。また、大胡駅を最寄りとする群馬県立前橋東商業高等学校が、群馬県立前橋商業高等学校と合併のため2008年度をもって閉校したため、定期旅客収入の中核である通学利用が減少した。

職員数も合理化や退職、採用の凍結によって15年ほど前に比べ4割近く減員されたが、2007年には高校新卒職員の採用が久々に行われた。一部列車にはアテンダントも試験的に乗務している。

鉄道小荷物扱いも長らく行ってきたが、宅配便などの普及による衰退やワンマン運転実施により、廃止された。

路線

車両

上記のほかに、動態保存目的で東急から電気機関車デキ3020形3021・東武から鉄製有蓋車テ200形241を譲り受け、大胡列車区にて保管している。両車とも車籍はない。

過去の車両

  • デハニ50形
    • 1979年廃車
  • デカ10形→デハ10形→クハ10形
    • 開業時より翌年にかけて3形式7両(デハ100形101-104、デハニ50形51・52、デカ10形11)の電動客車・貨車を新製。1934年に電動貨車デカ11を電動客車デハ11に改造。1975年廃車。この形式以降、2018年度に導入する新型車両までの間、自社発注車を導入していない。
  • クハ60形クハ61
    • 1943年成田鉄道廃止により木製ボギー客車ホハニ2を購入1944年にサハ61と付番。1947年に制御車化しクハ61となる。1958年西武所沢車両工場で車体延長され鋼体化工事をうける。1980年廃車
  • デハ80形デハ81
    • 1947年東武鉄道よりデハ10を借入れ1948年正式に購入。1980年廃車
  • クハ500形クハ501
    • 1947年国鉄より借入した青梅電気鉄道モハ503を1950年購入し制御車化してクハ501となる。1979年廃車
  • クハ300形クハ301
    • 1949年国鉄よりサハ25011を借入し制御車化して1951年正式に購入。1959年西武所沢工場で車長延長され鋼体化工事をうける。1980年廃車
  • クハ600形クハ601
    • 1949年国鉄よりサハ25053(国鉄デハ23450形→サハ33700形サハ25形)を借り入れたが、老朽化が著しく1950年に一度解体し、台車は流用、台枠は自社の手持ち品を利用して鋼製車体を新造した。1951年に正式に購入し、クハ601と付番。なお種車の台枠は上信電気鉄道に譲渡した。1980年廃車 
  • クハ700形クハ701
    • 1951年国鉄より旧鶴見臨港鉄道モハ111を譲受け制御車化して1952年にクハ701と付番。1979年廃車
  • デハ800形 デハ801
    • 1955年国鉄よりモハ1101(信濃鉄道デハ2)を購入。1962年西武所沢工場で車長延長され鋼体化工事をうける。1981年廃車
  • デハ160形デハ161
    • 1956年西武鉄道よりモハ203(武蔵野鉄道デハ311)を購入。1960年西武所沢工場で車長延長され鋼体化工事をうける。1980年廃車
  • クハ1060形クハ1061
    • 1956年西武鉄道よりクハ1256を購入。1981年廃車
  • デハ170形デハ171
    • 1959年西武所沢工場で半鋼製車体を製作し電装品はデハ11のそれを流用して電動車を仕上げた(デハ11→クハ11)。1981年廃車
  • デハ180形デハ181
    • 1963年西武所沢工場で製作。1980年廃車
  • デハ220形・クハ770形デハ222・224、クハ771・773
  • 230形(元西武クモハ351形・元クハ1411形
  • 300形(元東武3000系
  • 350形(元東武3050系
    • 1977年から1980年にかけて西武鉄道から購入した230形によりデハ101・104を除いて在来車を一掃した。230形は1990年に300形に置き換えられたが、その300形はわずか4年程度で大半が350形に置き換えられ、さらに350形は300形の残存車とともに2000年までに700形に置き換えられた。このため、上毛電気鉄道では10年足らずの間に3度も車両の総入れ替えが行われたことになる。

導入予定車両

  • 形式未定(デカ10型電車以来89年振りとなる自社発注車で計画[1]。700型の代替として2編成を2018年度より順次導入予定[2])。

過去にあった路線計画

上毛線の大胡から分岐し、伊勢崎を経由して埼玉県の本庄に至る路線の計画があったが、昭和の大恐慌のあおりを受けて実現しなかった[3]

群馬県立歴史博物館発売の資料「ぐんまの鉄道」によると、群馬県及び埼玉県内北部の都市間連絡鉄道として、以下の路線を計画していた。

  • 第一期線
    • 大胡 - 北伊勢崎 - 東本庄
  • 第二期線
    • 群馬総社 - 東三俣
    • 東本庄 - 藤岡 - 吉井
    • 新町 - 藤岡 - 鬼石
  • 却下線
    • 東本庄 - 寄居
    • 西桐生 - 桐生 - 深谷 - 川越

なお、2004年まで使われていた旧坂東大橋は、上毛電鉄の路線計画を受け鉄道道路併用橋として使えるように設計されていた。戦後、軌道として使用される予定であった部分は交通量の増加により、道路として拡張された。

また、同資料によると東武鉄道との合併計画があったが、これも実現しなかった。

現在、他社連絡で直接接続しているのは東武鉄道桐生線赤城駅(上毛委託)しかない。昭和40年代に中央前橋駅 - 一毛町(現:城東駅)駅間から国・群馬県・前橋市からの補助金を交付されて国鉄(現:JR)前橋駅と接続するという計画があったが、上電プラザビル建設などの上電側の事情から実現しなかった。現在は、日本中央バスによるシャトルバスで接続を行っている。また、西桐生駅はかつて桐生市の都市整備計画で桐生駅での国鉄接続が検討されたが、事実上構想は立ち消えになっている。

上毛線再生等検討協議会懇談会

2007年に入ってからは群馬県交通政策課、沿線自治体、有識者で委員を構成する「上毛線再生等検討協議会懇談会」によるミーティングや公聴会・説明会などが開かれている。

2007年以降、県・沿線自治体の補助金を受けて運営している。

企画乗車券

上毛線の一日乗車券として、「赤城南麓1日フリー切符」(大人1300円、小児650円)を通年で発売している。また、10月と11月の土日と鉄道の日群馬県民の日に限り使える「鉄道の日&群馬県民の日記念ワンデーフリーパス」(大人1000円、小児500円)を枚数限定で発売している(例年、9月中に前売開始。その場合は使用時に窓口で日付を入れてもらう)。

60歳以上の人を対象に、9月の敬老の日に限り上毛線全線が1日乗り降り自由な乗車券「敬老の日ワンデーフリーパス」(500円)を中央前橋・江木・大胡・赤城・西桐生の各駅および営業課にて発売している。

グッズ販売

中央前橋駅には「上電グッズ」のガラスケースがあり、一部の小物は改札で問い合わせれば販売してもらえる。過去の切符類や大きいグッズは、北口から右に徒歩1、2分の本社内を入った3階総務部でも販売している(平日の9時から17時まで)。

バス事業(撤退)

テンプレート:Sound 1995年4月までバス事業を行っていた。前橋市を中心に沿線にて運行していたが、モータリゼーションなどで業績が悪く、路線バスは冷房車が1台もない状態だった。最後は新里駅発着の1路線のみとなり、貸切バス事業についても日本中央バスに事業譲渡して撤退した。

車両は日野自動車製に統一され、1987年から1993年までワンマン仕様のボンネットバス(BH15型)の復活運転も行っていた。ボンネットバスは引退後、日野自動車が引き取り、最初は県内の新田工場にて保管されていたが、東京都八王子市みなみ野の日野オートプラザに移された。2002年に創業60周年を記念して改装され、塗装も当時のカタログカラーに一新して東京モーターショーにも出展した。

脚注

  1. 地域情報誌「桐生タイムス」2018年2月28日発行分。そこに掲載されていた上毛電気鉄道幹部のコメントを要約すると「中古車両も検討したが、当社は18m車であり、JRなどの20m車とは違いがあるため、これまでのように上毛の路線に相応しい車両が見当たらなかったため、約90年ぶりの新型車両導入を決断した」とある。
  2. 群馬県など、上毛電鉄に19.5億円支援 - 日本経済新聞 2018年3月2日22時発信、同年同月5日閲覧。
  3. 1924年(大正13年)6月に鉄道免許状(「鉄道免許状下付」『官報』1924年6月11日)が下付され、1934年(昭和9年)11月に鉄道免許失效と起業廢止が許可(「鉄道免許失效並起業廢止許可」『官報』1934年11月24日)された

参考文献

  • 寺田裕一『ローカル私鉄車輌20年 東日本編』JTB、2001年
  • 『上電今昔物語』上毛電気鉄道、1996年

関連文献

  • 石関正典「上毛電気鉄道の乗合バス事業の変遷と縮小要因に関する考察」、『新地理』第55巻第2号、日本地理教育学会、2007-2008年、 12-27頁、 doi:10.5996/newgeo.55.2_12

外部リンク