中性子

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中性子(ちゅうせいし、: : : : : neutron

原子核を構成する中性の粒子。ニュートロンともいう。質量は 939.6MeVで,陽子の質量にほぼ等しく,電子の質量の約 1840倍である。スピン 1/2のフェルミオンで,中性であるにもかかわらず大きい磁気モーメント(-1.913×μN。μN核磁子)をもつ。クォーク構造は udd。1932年ジェームズ・チャドウィックが発見した。ただちにウェルナー・カルル・ハイゼンベルクは中性子と陽子とが原子核の構成要素であると指摘して,従来の核理論の難点を解消し,核構造論の基礎を築いた。ハイゼンベルクは陽子と中性子とは,質量やそれらを結合させる核力がほぼ等しいので,核子という一つの粒子の違った荷電状態であるとみなした。この考え方は素粒子の分類に広く用いられている。中性子は電荷をもたないので核の中へ入りやすく,容易に核反応を起こすので原子核の研究に重要な役割を果たす。中性子はエネルギーによって分類されており,核分裂などの核反応で放出されるエネルギーが数百万eVのものを速い中性子,水素を含む物質中で減速された数千eVのものを遅い中性子,さらに減速されて物質中の熱運動の程度になった約 0.025eVのものを熱中性子という(中性子の減速)。速い中性子よりも遅い中性子のほうが核反応を起こしやすい。熱中性子線は,その波動性(ド・ブロイ波長〈ド・ブロイ波〉が 1Å程度)を利用して結晶や分子の構造解析や,中性子の大きい磁気モーメントを利用した磁性の研究など,広く物性研究に用いられる。中性子線はその透過性を利用して,X線やγ線と同様に,物体を透視する非破壊検査に用いられる。自由な中性子は不安定であって平均寿命 15分程度で崩壊し,電子と反電子ニュートリノを放出して陽子に転換する。この過程が原子核内で起こるのが放射性元素のβ崩壊である。



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