勅令

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勅令(ちょくれい)

  1. 国王皇帝天皇などの君主が直接発する命令・法令のこと。ナントの勅令など。
  2. 日本における法令の一形式。この項目で記述する。

勅令(ちょくれい)とは、日本においては天皇が発した法的効力のある命令を指す。対して勅許(ちょっきょ)とは、天皇の許可を指し、勅令による免許を意味する。

ここでは緊急勅令やいわゆる「ポツダム勅令」についての記述を含む。

概要

大日本帝国憲法第9条に定められていた法形式であり、法律を執行するためまたは公共の安寧秩序を保持しおよび国民の幸福を増進するために天皇が制定していた。憲法上法律事項とされていない事項を対象とする場合は勅令による制定が可能であった。法律事項以外でも、に関することは軍令で、皇室に関することは皇室令で定めていたので、これらを除いたものが勅令事項とされていた。日本国憲法施行後は、法律事項となったものを規定するものを除き、昭和22年政令第14号(日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令)第1項の規定により、政令と同一の効力を有するものとされており、位階令など一部には現在でも効力を有しているものがある。現在、勅令(法律の効力を持ついわゆる「ポツダム勅令」を除く。)は、前述のように政令としての効力があるため、その廃止や改正は政令により行われている。

勅令の公布手続は1886年制定の公文式及び1907年制定の公式令によって定められていた。公式令によれば、法律と同様に上諭を付けて公布され、天皇の御名 御璽の後に内閣総理大臣、場合によっては内閣総理大臣及び当該勅令条項を主管する国務大臣、あるいは内閣総理大臣以下全ての国務大臣による副署を加えて公布された。

「緊急勅令」とは、大日本帝国憲法第8条に基づき緊急時の法律に代わるものとして天皇が発布した命令である。緊急命令の一種ではあり、明治憲法下では勅令の形で行われた。緊急の際、法律事項について天皇が議会にかけずに発することができた[1]。法形式として命令に属してはいたものの、法律と同等の効力が認められた[1]。帝国議会の閉会中、公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるため緊急の必要があるときに発する立法的緊急勅令(第8条)のほか、内外の状況によって帝国議会を召集できないときに財政上必要な処分をおこなうために発することを可とした、第70条規定の財政的緊急勅令があった[1]。 詳細については、緊急勅令の項を参照。

「ポツダム勅令」については、ポツダム命令の項を参照。

主要な勅令

以下の一覧で示されるものの大半は廃止されるか失効している。現に効力を有する又は有すると判断されているものについてはその旨特記する。

明治時代
大正時代
昭和時代

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 『世界大百科事典』第2版(1988)

関連項目