梶芽衣子

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梶 芽衣子(かじ めいこ、1947年3月24日[1] - )は、日本女優歌手。本名および旧芸名、太田 雅子(おおた まさこ)。

東京都千代田区神田出身[2]オフィスカネダ所属。

来歴

八雲高校在学中より高橋圭三の事務所に所属し、1965年、高校卒業と同時に日活に入社[2][1]。同年に映画悲しき別れの歌』で本名の太田雅子でデビューし、石原裕次郎小林旭松原智恵子吉永小百合らが主演する映画で助演していた[1]

子役からのアイドルスターであった太田博之とコンビを組み、W太田として青春スターとして売り出され、1965年の映画『青春前期 青い果実』で主演を果たす。この頃は慣れないアフレコに四苦八苦しており、そんな梶をある大物女優があざ笑い、怒った梶はその女優に啖呵を切ったという。その噂は撮影所に瞬く間に広がって武勇伝となり、会社の重役からは絞られたものの、その事が切っ掛けでアフレコを一生懸命に練習し、上達した[3]1969年に出演した映画『日本残侠伝』で監督マキノ雅弘芸名梶 芽衣子改名される[4]。改名は成功し、以降不遇時代から抜け出す[2]

1970年の日活映画『野良猫ロックシリーズ』4作に主演し[注 1]人気を得る[1]。『大江戸捜査網』(東京12チャンネル)などのテレビドラマに日活女優として出演をする[2][4]1971年、日活がロマンポルノに移行したため退社しフリーとなる[2]。大江戸捜査網の出演が第2シリーズ迄なのはその為で、男優陣(杉良太郎、瑳川哲朗、中村竹弥、古今亭新駒)が三船プロに制作会社が移行した後も引き続き出演をしているのに対して、女優陣は梶芽衣子、岡田可愛➡古城都、江崎英子に交代をしている[2]1972年3月『純子引退記念映画 関東緋桜一家』を最後に引退した藤純子の後釜として東映に誘われ同年東映に入社した[2][6]。『銀蝶シリーズ』の後、『女囚さそりシリーズ』で人気を決定付けた[1][2]。本作で"ヒロインが台詞を喋らない方が凄みを増す"というアイデアは梶が出した[4][6]1973年、『女囚さそりシリーズ』の三作目に出演するかしないかで揉めているとき[7]深作欣二監督に請われて出演した『仁義なき戦い 広島死闘篇』でもヒロインを好演した[4]。『女囚さそり』のシリーズ化で揉めて東映とケンカ別れの形となり、同年退社し再びフリーとなる[8]。その後東宝の『修羅雪姫シリーズ』など、各社で主演映画が製作されていく。これらの作品は海外でも人気を呼び、クエンティン・タランティーノは梶の熱狂的ファンと公言[4]。タランティーノは映画『キル・ビル』で『修羅雪姫』のオマージュをし、梶の歌「修羅の花」と「怨み節」を流している。

東映の『女囚701号/さそり』を撮影していた当時、大手レコード会社のディレクターとの縁談が進んでおり、同作を最後に芸能界を引退して専業主婦となる決意を固めていた。映画が予想以上の大ヒットとなったため続編が企画されるが、梶は結婚を理由に出演を断る。しかし岡田茂の説得により「あと一作だけ」の条件で続編の出演に応じたところ[9]、その後も俊藤浩滋ら多くの関係者の説得を受ける形で続編の制作が続けられ、縁談は最終的に破談になってしまった[1][10][11]

一方でイメージ打破のためノーギャラで出演した『大地の子守歌』では、ほのかな優しさを主人公に向ける農婦の役を演じた[8]1978年には宇崎竜童と組んで2人の主演映画をやりたいという自身のブランのもと製作された『曽根崎心中』では[12]、強い女の情念を演じて新境地を開拓し、国内の主要映画賞を複数受賞した[8][13]。同作品で楽曲提供で付き合いのあった宇崎竜童を俳優業に引き入れ、宇崎はこれを切っ掛けに異分野の交友を急増させた[14]1982年東映で映画化された『鬼龍院花子の生涯』は、元は梶が東映に企画を持ち込んだもの[15]

テレビドラマでは大映ドラマに多く出演したほか、『鬼平犯科帳シリーズ』での密偵・おまさ役で長年出演した。

歌手としても前述の楽曲を歌い、これらは2000年代以降にCDで次々と復刻発売されている。2009年6月24日には25年ぶりの新曲『女をやめたい』をリリースし、2011年5月25日には31年ぶりのオリジナル・アルバム『あいつの好きそなブルース』をリリースした。

ヴァーナルの対談番組、及び『ぴったんこカン・カン』で「お酒は一滴も飲めない」と語っている。

実妹の太田とも子は元歌手で、『野良猫ロック』では姉妹共演を果たした他『とおく群衆を離れて』『恋はまっさかさま』などのシングル曲を出し、また「有沢とも子」の名義では『抱きしめて』『恋のおとずれ』などを出している。

あこがれのスポーツ選手の内一人は花田勝

出演した『ぴったんこカン・カン』で、人生のモットーは「媚びない めげない くじけない」と発言した。

1970年代にプログラムピクチャーを量産する東映とはケンカ別れの形となったが[8]、今は岡田茂東映社長から言われた「傑作や名作はオレたちが作るんじゃない。お客さんが作るんだ。映画は多くさんのお客さんに観て頂いてヒットした映画が傑作であり名作なんだよ」という言葉を肝に銘じて、生涯娯楽作品に挑みたいと話している[11][16][17]

実家は神田の老舗寿司屋と伝えられてきたが、本人によるとこれは事実ではないという。父親は調理師だったが、日活への入社時にその事を宣伝部に伝えると「調理師じゃ面白くない。神田の出身だから、寿司屋でいこう。」となり、以降そのような略歴が記載された[18]

若手時代から現代まで変わらぬスレンダー体型は役者としての大きな武器である[1]

2017年に6年ぶりとなるシングル「凛」をリリース。また、2018年3月に43年ぶりとなるオリジナル・フルアルバムを発表する。ロックテイストを盛り込んだ作品をプロデュースしたのは、ミュージシャンであり音楽プロデューサーも務める鈴木慎一郎。43年前に梶のプロデューサーを務めた鈴木正勝の子息である[19]

人物・エピソード

  • 高所恐怖症である。
  • 酒を一滴も飲めない。
  • ペットが嫌いである。
  • 日活の新人時代、スタッフから大根を渡されて大根役者と言われるなど、パワハラを受けていた。
  • 日活の新人時代からの楽しみは「恨み日記」を書くことで、50年以上書き続けている「恨み日記」は、シュレッダーで処分している。
  • 日活の新人時代、風呂に入ってストレスを解消していた。
  • 日活時代、(この会社にないものは非行少女だ)と思い、非行少女役を目指すようになった。その甲斐があって、映画『野良猫ロックシリーズ』の主役に抜擢された。
  • 映画『女囚701号・さそり』の主演オファーがきた頃、梶には婚約者がいて、既に同棲をして梶は主婦業をしていた。しかし、『さそり』の大ヒットで梶が多忙になる一方、梶の所属事務所が東映と2年契約をしていたため、梶は婚約者と別れることになった。
  • 婚約者と別れる日、婚約者から「誰とも結婚するな。一生仕事を続けろ」と言われて梶は婚約者と約束をし、現在までその約束を守り続けている。
  • 映画『女囚701号・さそり』は菅原文太の映画のB級作品で、スタッフは誰も期待していなかった。しかし、予想に反して『さそり』が大ヒットし、その年の正月映画にもなった。
  • 梶が歌った『女囚さそり』の主題歌『怨み節』は120万枚のミリオンセラーになった。それ以降、梶が(言っても通らないだろうな)と思っていたことが通るようになり、人生が変わったという。
  • 『女囚さそり』の大ヒットで、それまで世間から全く注目を浴びていなかった刑務所の看守が注目されるようになり、梶のもとに全国の看守から感謝の手紙が送られてきた。
  • 『女囚さそりシリーズ』の頃、多忙だったため、手入れが簡単だとの理由で、ストレートのロングヘアーにしていた。
  • 子供好きであり、宝物は子役達からもらった手紙で、いつも化粧ケースに入れて持ち歩いている。
  • 自分に子供がいたら、娘にはテニスを習わせてウインブルドンテニスの会場へ連れて行き、息子には高校野球をやらせていた、という。
  • 高校野球の大ファンで、高校野球を泣きながら見ている。
  • スポーツ観戦が好きで、特に好きなスポーツは、高校野球と相撲とボクシング。
  • ドラマ『鬼平犯科帳』に2016年まで28年間出演したことを、誇りに思っている。
  • 2018年からプロデューサーの希望でロックを歌うようになったが、梶が「歌詞が分からないようなロックは歌わない」との希望をだし、歌詞が聞き取れるロックを歌っているという。
  • 11本の歯ブラシを使い分け、20分かけて歯磨きを行っている[20]。うち1本は奥歯用に、子供向けのアンパンマンの歯ブラシを使用している。

出演作品

映画

「太田雅子」名義

「梶芽衣子」名義

テレビドラマ

「太田雅子」名義

「梶芽衣子」名義

音楽番組

劇場アニメ

バラエティ

CM

著書

  • 『真実』 構成/清水まり、文藝春秋、2018年3月。自伝

ディスコグラフィ

シングル

  • 仁義子守唄/恋に命を(1970年7月5日)テイチク
  • 命の涙/悲しい笑顔(1971年3月5日)
  • 浜辺のメルヘン/愛への期待(1971年7月5日)
  • 銀蝶渡り鳥(『銀蝶渡り鳥』主題歌)/銀蝶ブルース(1972年3月5日)
  • 怨み節(『女囚さそり』シリーズ主題歌)/女の呪文(1972年12月1日)
  • 芽衣子のふて節/おんなはぐれ唄(1973年4月15日)
  • やどかり/かきおき(1973年9月1日)
  • はぐれ節/牙のバラード(1973年7月10日)
  • 修羅の花(修羅雪姫主題歌)/ほおやれほ……(1973年12月25日)
  • ジーンズぶるうす(『ジーンズブルース 明日なき無頼派』主題歌)/因果花(1974年3月25日)
  • この新しい朝に/雨の夜あなたは(1974年11月25日)
  • 命日/あかね雲(1975年9月21日)ポリドール移籍
  • 欲しいものは/今更叱らないでください〜恋文〜(1977年2月21日)
  • 袋小路三番町/残り火(1977年9月21日)
  • あかね雲/元町シャンソン(1978年5月21日)
  • 晩夏/陽よけめがね(1979年7月21日)
  • 酒季の歌/ああ いいお酒(1980年5月21日)
  • 熱い酒/長崎はアジサイ模様の哀愁(1980年1月)
  • 乾いた華/霧雨ホテル(1984年12月21日)EPICソニー
  • 不思議ね/舟にゆられて(1994年7月21日)テイチク
  • 女をやめたい/思い出日和(2009年6月24日)※25年ぶりの新曲
  • 凛(2017年3月22日)FIX

アルバム

  • 銀蝶渡り鳥(1972年7月1日)テイチク
  • 梶芽衣子の魅力〈A面「さそり」サントラ、B面「銀蝶」サントラ〉(1972年12月25日)
  • はじき詩集(1973年6月1日)
  • やどかり〈オリジナルベスト12〉(1973年10月25日)
  • 男・女・こころの哀歌(1974年4月25日)
  • ゴールデンスター・ツイン・デラックス(1974年5月25日)
  • 去れよ、去れよ、悲しみの調べ(1974年11月25日)
  • きょうの我が身は……(1975年12月21日)ポリドール移籍
  • あかね雲(1978年8月21日)
  • 別れ 怨み 涙うた(1979年11月21日)
  • 酒季の歌(1980年10月28日)
  • 梶芽衣子ベスト・コレクション(2010年3月24日、歌手40周年記念CD-BOX)
  • あいつの好きそなブルース(2011年5月25日)
  • 追憶(先行2018年3月4日/一般4月18日)※43年ぶりのオリジナルフルアルバム[23]

受賞

1976年度
1978年度『曽根崎心中
1995年度

脚注

注釈

  1. シリーズは全5作だが、第1作のみ主演は和田アキ子[5]。二作目以降が梶の主演。

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「prf」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 『日本映画俳優全集・女優編』 キネマ旬報社、1980年、188-189。
  3. 日本経済新聞私の履歴書」。
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 『Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol. 2』 シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年、23-40頁「梶芽衣子インタビュー」。ISBN 978-4-401-75101-3。
  5. 梶芽衣子「あいつの好きそなブルース」(10)『東京スポーツ』連載、2011年5月25日。
  6. 6.0 6.1 70年代シネマ女優たち 梶芽衣子 | アサ芸プラス
  7. 梶芽衣子「あいつの好きそなブルース」(19)『東京スポーツ』連載、2011年6月9日。
  8. 8.0 8.1 8.2 8.3 【バック・トゥ・ザ報知映画賞】第3回(78年)主演女優賞・梶芽衣子” (2015年10月19日). 2015年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
  9. 『朝日新聞』夕刊、2013年4月24日号「(人生の贈りもの)女優・梶芽衣子:3」
  10. 東京スポーツ』2011年6月8~10日付「梶芽衣子 あいつの好きそなブルース」(16)~(20)。
  11. 11.0 11.1 「女をやめたい」梶芽衣子4 梶芽衣子 オフィシャルブログ 2009-06-09
  12. 藤井浩明監修 『映画監督増村保造の世界』(1999年)ワイズ出版、515頁。
  13. 朝日新聞』夕刊、2013年4月25日号「(人生の贈りもの)女優・梶芽衣子:4」
  14. 連載「芸能生活40年・宇崎竜童 運がよければ」(34)~(45)「東京スポーツ」、2011年12月6~23日。
  15. 週刊現代』、講談社2010年1月23日、 62-67頁。「東映伝説のプロデューサー日下部五朗の『無頼派活動屋人生』」『東京スポーツ』2010年4月6日 - 4月30日、高岩淡 『銀幕おもいで話』 双葉社、2013年、166-175。ISBN 4-5757-14-01-1。
  16. 梶芽衣子「あいつの好きそなブルース」(18)『東京スポーツ』連載、2011年6月8日。
  17. 『朝日新聞』夕刊、2013年4月26日号「(人生の贈りもの)女優・梶芽衣子:5」
  18. 徹子の部屋』 2015年2月9日放送
  19. 梶芽衣子43年ぶりオリジナルアルバム発表、新宿でコンサート”. 音楽ナタリー (2018年2月2日). . 2018閲覧.
  20. 梶芽衣子、歯ブラシ11種を使い分け 歯磨きに「20分くらいかかる」/芸能/デイリースポーツ online
  21. 『朝日新聞』1969年7月29日付朝刊9面、ラジオ・テレビ欄。
  22. 『毎日新聞』1971年11月10日付朝刊24面、ラジオ・テレビ欄。
  23. 梶芽衣子 オフィシャルサイトnews 2018-03-11

外部リンク



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