静岡茶

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静岡茶(しずおかちゃ)は、静岡県で生産されているお茶緑茶)であり、そのブランド名である。牧之原台地とその周辺地域がその最大の生産地であり、生産量は日本国内第一位である。

宇治茶狭山茶と並んで日本三大茶とされる。

歴史

鎌倉時代円爾(聖一国師)が仏教修行のため渡ったから茶樹の種を持ち帰り、駿河国足久保に植えたことが、静岡茶の始まりと伝えられる[1]南北朝時代中原家文書『師守記』は、貞治元年(1362年)に山名郡浅羽庄の柴重西、岡郷付近(現・袋井市)の茶が中原家に贈られたと記す。江戸時代に入ると慶長年間より、御用茶を駿河の足久保や大河内から江戸の将軍家へ届ける下命があった[2]。また東海道沿道では参勤交代の武士を始め多くの旅人が行き交い茶の消費や江戸への出荷も増えた。

大政奉還の翌慶応4年、徳川慶喜は家督を田安亀之助改め徳川家達(いえさと)に譲ると、家達は静岡藩70万石に移封され、6000人もの幕臣が駿府に移った。その中の慶喜の護衛にあたった精鋭隊(静岡転出後は新番組と呼ばれた)隊長の中條金之助、副隊長の大草太起次郎松岡万ら約300名が明治2年、版籍奉還を受けて帰農を決意。牧之原台地で茶園の開墾に乗り出した[3]。明治3年には彰義隊の残党数名も合流した[4]。また大井川川越人足も明治3年の渡船許可によって職を失い、関係者の尽力によって100名ほどの者が牧之原への入植を許された[5]。その後農民らによる牧之原はじめ静岡県各地での茶園の開墾も増えていった。

牧之原台地は水の便が悪いため稲作農民から放置されており、開墾は大正時代初めにかけて続いた。ただし、水田ほど水を必要としない茶園も水の確保には苦労しり、灌漑などの環境整備、品種改良や栽培・茶葉加工方法の工夫による品質向上の取り組みは太平洋戦争後まで続いた[6][7]

表示基準

社団法人静岡県茶業会議所と社団法人日本茶業中央会により、以下の厳格な表示基準が規定されている。基準を満たさないものは「静岡茶」と表示することができない。

  • 静岡茶 - 静岡県内産茶葉を100%使用したもの。
  • 静岡茶ブレンド - 最終加工地が静岡県で、静岡県内産茶葉を50%以上100%未満使用したもの(配合比率を表示すること)。他県産、海外産の茶葉も使用される[8]

生産量

  • 仕上茶出荷額:197,625百万円(全国シェア63%、第一位)
  • 茶(生葉・荒茶)産出額:694億円(全国シェア46%、第一位)
  • 荒茶生産量:44,200トン(全国シェア45%、第一位)
  • 茶園面積:20,300ヘクタール(全国シェア41%、第一位)

出典:「平成16年産茶生産量統計」(農林水産省関東農政局静岡統計・情報センター)、「平成15年工業統計表 品目編」(経済産業省経済産業政策局調査統計部)

静岡茶に属するブランド

「静岡茶」として販売される以外に、一部ではさらに産地を限定した地域ブランドが存在する。

普及活動

見学・体験・販売施設[10]

条例制定

静岡県は2016年12月21日の県議会定例会で「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例」を可決した(同年12月27日施行)[11]

このほか静岡市や藤枝市には静岡茶の地産地消を推進するための条例が制定されている[11]

学校給食

島田市、掛川市、菊川市などでは静岡茶を学校給食に採用している[11]

出典・脚注

  1. お茶のまち静岡市・聖一国師生誕碑(2018年4月21日閲覧)
  2. 大石貞男著作集2 静岡県茶産地史  農山漁村文化協会 ISBN 4-540-03163-5 p.410-411
  3. 大石貞男著作集2 静岡県茶産地史  農山漁村文化協会 ISBN 4-540-03163-5 p.21-36
  4. 大石貞男著作集2 静岡県茶産地史  農山漁村文化協会 ISBN 4-540-03163-5 p.36-37
  5. 大石貞男著作集2 静岡県茶産地史  農山漁村文化協会 ISBN 4-540-03163-5 p.60-77
  6. 牧之原お茶物語牧之原市ホームページ(2018年4月21日閲覧)
  7. 牧之原台地開発の歴史関東農政局(2018年4月21日閲覧)
  8. 静岡知事兼世界緑茶協会会長川勝平太の発言より。
  9. 静岡茶発祥の地(足久保奥組)オクシズHP 2014年10月21日閲覧
  10. お茶体験施設静岡県ホームページ(2018年4月21日閲覧)
  11. 11.0 11.1 11.2 “「お茶愛飲条例」可決 小中学校に努力促す 静岡県議会”. 静岡新聞. (2016年12月22日). http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/313002.html . 2016閲覧. 

外部リンク

関連項目

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