カプコン

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株式会社カプコンCAPCOM Co., Ltd.)は、大阪府大阪市に本社を置く、主にアーケードゲームコンシューマーゲームの開発・販売を行う日本ゲームメーカーである。

概要

1979年、アイ・アール・エム(IRM)株式会社として設立した。設立者はIPM辻本憲三で、IPMはスペースインベーダーブームの際に社運をかけ、社名を冠した『IPMインベーダー』を発表するもののインベーダーの筐体の市場は1年ほどで飽和状態に陥いる。その状態で下請けから製造の継続を求められ断れなかった。結果10億円分の在庫を多く抱えてしまった[1]。その直後、IPMはアイレムと社名変更して仕切り直しを図ろうとするが、辻本は同事業に続き、オリジナルゲームの製作に乗り出そうとする。しかし、当時まだコピーゲームがメインだったアイレムで辻本の意見は社内の理解が得られず、結果的に辻本を含む3人が退社した。この際インベーダー関連の在庫で被った負債を支払っている。

10億の借金により自宅さえも売り払い燻っていた辻本は、タイトーの社長ミハエル・コーガンより「お金を出すからビジネスをやってみないか」と言われ、コーガンより1億5千万を借り、それを元手に新規に会社を立ち上げることになった[2]。なお、カプコンという社名は1981年にIRMの子会社として設立した「カプセル・コンピュータ」に由来する。

オリジナルゲームを作ることを目的に設立されたものの、当初は開発者こそ多く抱えたものの開発ラインが整わず、比較的安易に製作が可能だったエレメカメダルゲーム)で、1983年に業界に参入する。ビデオゲームとしてはその翌年の1984年発売の業務用縦スクロールシューティングゲームバルガス』が第一弾となるが、その後コナミからの転職組藤原得郎岡本吉起により、名作と謳われるゲームが次々と開発され、徐々にゲーム会社としての知名度を上げていく。ただし、後の『ストリートファイターII』ブームが訪れるまで、経営的には火の車だったという。なお、ゲームの完成度の高さから当時「カプコンのゲームはナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)から移籍した人間が作っている」という噂がまことしやかに囁かれていたが、デマであった。岡本はこの噂に触れ、自分の作った作品がそう評価されるのは嬉しいと発言している。

その後、数度の経営危機を乗り越えながら数多くのヒット作を生み出している。他の同業メーカーよりも社内の世代交代のサイクルが早いのが特徴でもあり、2000年代以前にヒット作を手がけたゲームデザイナーなど主要な人物の大半は既に退社、独立している。

2018年4月の時点で現在社員3000人、顧客の20%が日本、80%が海外となっている[3]

事業所

実績

アクションゲーム対戦型格闘ゲームの雄として『ストリートファイター』、『魔界村』、『ロックマンシリーズ』、『ファイナルファイト』、『機動戦士ガンダム vs.シリーズ』、『デビルメイクライシリーズ』、『鬼武者』、『モンスターハンターシリーズ』、『大神』、『ビューティフルジョー』、『ヴァンパイア』などの傑作を多数製作している。

中でも1991年にアーケード用ゲームとしてリリースした対戦型格闘ゲームストリートファイターII』では、アーケードゲーム業界において「スペースインベーダー以来」とも呼ばれる大ブームを巻き起こし、『ブロックくずし』より後に創業したアーケードビデオゲーム会社としては、唯一かつ最大の大手メーカーとなった。

また『エリア88』、『エイリアンVSプレデター』、『天地を喰らう2・赤壁の戦い』などのキャラクターゲーム、『ブレス オブ ファイア』、『ロックマンX コマンドミッション』などのロールプレイングゲーム、『スウィートホーム』、『バイオハザードシリーズ』などのホラーゲーム、『逆転裁判』などのアドベンチャーゲームにおいても傑作を残している。

開発されたゲームは日本に留まらず海外においても高い評価を得ているものが多く、『ストリートファイター』や『バイオハザード』など海外主体で映画化された作品も存在している。

アーケードゲームでは自社開発のシステム基板CPシステム』(CAPCOM PLAY SYSTEM)シリーズで多くの名作を残す。『CPシステムIII』以降は他社開発の基板(『NAOMI』、『Nu』など)へと転換していった。『ストリートファイターII』の大ブーム以降は対戦型格闘ゲームを多数制作・発売していたが、後にプライズゲームからは撤退し、2018年1月現在はラインナップを縮小しながらも業務用ビデオゲームやメダルゲーム機の開発・販売を行っている。なお、カプコンはジャパンアミューズメントエキスポ2018には出展しないことになった[4]

海外のゲームソフトの日本語版のパブリッシャーでもあり、かつては『Grand Theft Auto』(Rockstar Games)、『DiabloII』、『WarCraftIII』、『Dark age of Camelot』、『ゴッド・オブ・ウォー』などについても日本でのパブリッシャー権限を有していた。

E3ショーの変容に伴い、海外向けタイトルのプレゼンス向上策として、プライベートショー「Gamers' Day」を強化し、欧米にて開催している。(米国4月・英国10月)2008年のアメリカ「Gamers' Day」は4月12日に開催[5]

国内におけるサポート業務はコンシューマゲームとアーケードゲームで分化しており、コンシューマゲームは本社で、アーケードゲームはユーザーサポートが東京支店、オペレーターサポートが上野事業所がそれぞれ担当している。

他会社との関係

分野を問わず他社とのコラボレーションが多いのもカプコンの特徴であり、マーヴルヒーローとカプコンのキャラクターの競演を実現した『マーヴル VS. カプコン』シリーズ、格闘ゲームの分野でカプコンと双璧をなしたSNKのキャラクターと自社キャラクターを競演させる『CAPCOM VS. SNK』シリーズ、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)の各種ゲームのキャラクターと自社キャラクターが競演する『NAMCO x CAPCOM』(共同開発、ナムコより発売)など多数存在する。任天堂のゲームにもセガグループセガゲームスセガ・インタラクティブ)、バンダイナムコエンターテインメントなどと共にゲストキャラクターが出演するなどしている。

一方で、コーエーテクモグループコーエーテクモゲームス)とは、カプコンが保有していたプレイ機能の特許をめぐり、2018年現在もカプコンとコーエーテクモゲームスとの間で係争中である(後述)[6][7][8][9]

かつてはサッカーJリーグセレッソ大阪のユニフォームスポンサーも務めていた(1997年まで)。また、1990年代前半には、カプコンレーシングチームとして、F3000(今のフォーミュラニッポン)にも出場していた。

1996年にはテレビ特撮ドラマ『七星闘神ガイファード』を東宝と共同で製作。番組スポンサーとしても名を連ね、2年後の1998年にはゲームソフトも発売した。

2006年には、テレビ特撮魔弾戦記リュウケンドー』のスポンサーとなり、絵本を出版した。

沿革

  • 1979年5月30日 電子応用ゲーム機器の開発・販売を目的として、大阪府松原市アイ・アール・エム(IRM)株式会社として設立。
  • 1981年5月 子会社である日本カプセルコンピュータ株式会社を設立。
  • 1981年9月 アイ・アール・エム株式会社が社名をサンビ株式会社に変更。さらに羽曳野市に本社を移転。
  • 1983年6月11日 販売部門を担当する会社として、大阪市平野区株式会社カプコン(旧)を設立。7月には開発第1号機としてメダルゲームの『リトルリーグ』を発売した。
  • 1983年10月 東京都新宿区に東京支店を設置した。
  • 1984年5月 第一作目として業務用ビデオゲーム『バルガス』を発売した。
  • 1985年8月 米国カリフォルニア州にて米国法人である「カプコンUSA」を設立。
  • 1985年9月 業務用ゲームとして『魔界村』を稼働。後にファミリーコンピュータにも移植してこちらも大ヒット。
  • 1987年12月 家庭用ゲームとしてファミリーコンピュータ用ソフト『ロックマン』を発売。
  • 1989年1月 サンビが日本カプセルコンピュータ及びカプコン(旧)を吸収合併し、株式会社カプコンに変更した。本社を大阪市東区(後の中央区)に移転した。
  • 1989年8月 イギリスロンドンに英国駐在員事務所設置。
  • 1989年12月 業務用ゲーム『ファイナルファイト』を発売。
  • 1991年2月 株式会社ユニカを買収し、完全子会社となり、12月には株式会社カプトロンに社名変更した。
  • 1991年3月 業務用ゲームとして『ストリートファイターII』を稼働。大ブームを巻き起こした。翌1992年には家庭用ゲーム機としてスーパーファミコンに移植し、大ヒットとなる。
  • 1993年10月 株式を大阪証券取引所市場第二部に上場。
  • 1993年 データイーストが発売した『ファイターズヒストリー』が多くの面で自社の『ストリートファイターII』と酷似し著作権を侵害しているとして日米での販売禁止を求め、著作権法、不正競争防止法違反で訴えを起こす。
  • 1994年7月 本社を大阪市中央区内平野町の自社ビルに移転した。
  • 1994年 日米で裁判になっていたデータイーストと和解が成立。
  • 1996年3月 家庭用ゲームとしてPlayStation用ソフト『バイオハザード』を発売。記録的なロングセラーを達成して、サバイバルホラーゲームとして大きなムーブメントを起こした。
  • 2000年10月 株式を東京証券取引所市場第一部に上場。
  • 2002年3月 ハリウッド映画『バイオハザード』が公開、全世界で1億200万米ドルの興行収入を達成。
  • 2004年2月 出版事業に参入。
  • 2004年3月11日 PlayStation 2用ソフトとして、『モンスターハンター』を発売し大ヒット。さらに、第8回CESA GAME AWARDSにおいて最優秀賞を受賞した。
  • 2006年10月 ドワンゴグループと共同し、ポータルサイト運営会社の株式会社ダレットを設立。
  • 2006年8月 Xbox 360用ソフトとして『デッドライジング』を発売。
  • 2008年5月 簡易株式交換により株式会社ケーツーを完全子会社化。
  • 2008年11月 遊技機の開発、設計、製造および販売を目的として、株式会社エンターライズの株式を90%取得。
  • 2014年6月:会社側が提案した買収防衛策の継続議案が株主総会で否決された[10]
  • 2014年8月:コーエーテクモゲームスに対し、カプコンが保有するプレイ機能の特許を侵害したとして、『戦国無双シリーズ』と『零シリーズ』の2タイトル合計約10億1300万円のの損害賠償と販売差し押さえを求め大阪地裁に提訴[6]
  • 2017年9月1日:完全子会社であった株式会社カプコン・モバイルを吸収合併[11]
  • 2017年12月14日:大阪地裁においてコーエーテクモゲームスに対する訴訟の第一審判決が下され、『零シリーズ』の特許侵害に関してはカプコン勝訴、『戦国無双シリーズ』の特許侵害に関してはカプコンの訴訟を棄却する判決がそれぞれ下された[7][8]。カプコンは『戦国無双シリーズ』の特許侵害に関する判決を不服として12月27日に知的財産高等裁判所へ控訴[9]
  • 2018年3月29日:知的財産高等裁判所において、コーエーテクモゲームスが提訴していた審決取消訴訟を退ける判決が下される[12]
  • 2018年4月1日:完全子会社であった株式会社カプトロンを吸収合併[13]

作品一覧

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行

わ行

輸入ゲーム

日本での所有販売権

主なグループ会社

  • 株式会社エンターライズ
  • CAPCOM USA,INC.(米国内のグループ統括会社で版権管理も兼ねる)
  • 株式会社K2(『天誅』などのソフトを開発してきたメーカーを子会社化)
  • ビーライン・インタラクティブ,INC.(欧米向けのオンライン・モバイル端末向け開発を目的として米国に設立された子会社、旧社名はカプコン・インタラクティブ)
  • ビーライン・インタラクティブ・カナダ,INC.(加コズミック・インフィニティー社をM&Aにより子会社化、2回の商号変更を行いカプコン・インタラクティブ・カナダ社を経て、ビーライン・インタラクティブ・カナダ社となる)
  • 株式会社ビーライン・インタラクティブ・ジャパン(上記ビーライン社開発作品の日本国内向けローカライズ、配信を行っている)

過去

  • クローバースタジオ株式会社(2007年3月31日に解散)
  • 株式会社フラグシップ(2007年6月1日に吸収合併)
  • カプコンチャーボ株式会社(2009年1月30日に解散)
  • 株式会社ダレット(2011年3月28日に吸収合併)
  • 株式会社カプコン・モバイル(2017年9月1日に吸収合併)
  • 株式会社カプトロン(2018年4月1日に吸収合併)

出身者

広報番組

  • ハギーのとこトンやってみよう!(通称ハギとこ!) - パブリシティ企画推進室室長の萩原良輔(ハギー)をMCに2010年7月8日からUstreamで配信しているカプコンの情報を提供するウェブ番組。放送後はYouTubeなどでダイジェスト版が見られる[15][16][17][18]

提供番組

脚注

  1. 朝日新聞2016年8月12日夕刊3面「人生の贈り物-私の半生-」より。
  2. ゲームメーカー・カプコン創業者が「世界最高のワイン造り」に励む理由
  3. カプコン創業者・辻本憲三氏の生き方に迫る番組「ザ・リーダー」が4月15日に放送
  4. 「JAEPO18」、出展規模567小間に拡大予定。ゲームマシン 2017年12月1日
  5. 2008年3月期 中間決算説明会 - 事業戦略資料 (PDF, 1.22MB)
  6. 6.0 6.1 カプコン、「戦国無双」販売元を提訴 特許権侵害と主張, (2014年8月26日), オリジナルの2015年6月8日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20150608020745/http://www.asahi.com/articles/ASG8V4K7YG8VPTIL01G.html 
  7. 7.0 7.1 カプコン特許訴訟、主目的の侵害は認められず。ゲームマシン 2018年1月1日
  8. 8.0 8.1 特許侵害訴訟の一部勝訴判決に関するお知らせコーエーテクモゲームス 2017年12月14日
  9. 9.0 9.1 株式会社カプコンとの間の訴訟に関するお知らせコーエーテクモゲームス 2018年4月2日
  10. 〔株主総会〕カプコン、買収防衛策を総会で否決
  11. 2018年3月期有価証券報告書カプコン
  12. 当社特許第3350773号審決取消訴訟における当社特許維持判決(勝訴)のお知らせカプコン 2018年3月29日
  13. “株式会社カプコン | 連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ” (プレスリリース), 株式会社カプコン秘書・広報IR部広報IR室, (2018年1月31日), http://www.capcom.co.jp/ir/news/html/180131c.html 
  14. [JAEPO2015]Rayarkのスマホ音ゲー「Cytus」がアーケード化。カプコンブースにて「Cytus OMEGA」がサプライズ発表 - 4Gamer.net 2015/2/14閲覧
  15. ゲームを売るために必要なのは認知と宣伝――カプコンのパブリシティ業務を牽引する萩原良輔氏に,Ustream番組や雑誌の自社出版など,異彩を放つ戦略の真意を聞いてきた
  16. 「ゲームを新しい層に広めたい」カプコン広報ハギーこと萩原良輔さんロングインタビュー
  17. ダ・ヴィンチ
  18. ハギとこ

参考文献

関連項目

外部リンク

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