キログラム

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キログラム
kilogramme
kilogram
記号 kg
度量衡 メートル法
国際単位系 (SI)
種類 基本単位
質量
定義 国際キログラム原器(IPK)の質量
由来 最大密度温度での1 Lの質量
語源 ラテン語 gramma(書かれた物、わずかな重量)
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ファイル:Prototype kilogram replica.JPG
シテ科学産業博物館に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている

キログラム: kilogram, : kilogramme, 記号: kg)は、国際単位系 (SI) における質量基本単位である。国際キログラムともいう。

グラム (gram / gramme) はキログラムの1000分の1と定義される。またメートル系トン (tonne) はキログラムの1000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。

単位の「k」は小文字で書く。大文字で「Kg」と表記してはならない。

参照: キロ#記号 k は K ではない

定義

1キログラムの定義は、「国際キログラム原器wikidata版 (IPK)の質量」である。SIにおいて、今なお普遍的な物理量ではなく人工物に基づいて値が定義されているのはキログラムだけである[1]。また、基本単位に接頭辞がついているのもキログラムだけである。

当初の定義

1キログラムの当初の定義は「1リットル質量」であった。1795年の定義では、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0度)における水」となっていたが[2]、その後、水の体積は温度に依存することが分かり、そのため、「最大密度(=液温摂氏4度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量」と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわちこのキログラムの定義には循環依存が含まれていることになる。この問題を避けるため、1799年に、当時の技術で上記のキログラムの定義に合わせた白金製の原器が作製された。これをアルシーヴ原器(kilogramme des Archives)と呼ぶ。

国際キログラム原器(IPK)による定義

ファイル:Prototype mass drifts.jpg
各国のキログラム原器(K21-K40)および、IPKの副原器K32・K8(41)[3]の経年による質量変化。すべての質量変化はIPKに対する相対変化であり、1889年時点でのIPKに対する偏差を0としている[4]。上記はすべて相対的測定結果であり、どの原器がもっとも環境変動に対して安定していたかを示す歴史的な測定結果というものは存在しない。どの原器も100年以上の間に質量が増大し、その中ではK21・K35・K40およびIPKが相対的に増加量が少なかったという可能性が高い。

1875年メートル条約に基き、1889年にキログラムは新しい国際キログラム原器(IPK:International Prototype Kilogram)の質量と定義された。国際キログラム原器は1879年に作成された3つの原器のうちの1つであり、測定の結果以前のアルシーヴ原器と当時の技術では質量差が認められなかったものであるが、これが1889年の第1回国際度量衡総会の決定によりキログラムの定義に使用されることとなった[5]

国際キログラム原器は直径・高さともに約39mm円柱形の、プラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金製の金属塊である[6][7][8]フランスパリ郊外セーヴル国際度量衡局(BIPM)に、2重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている[9]

キログラム原器の複製

上記1889年の第1回国際度量衡総会において、世界各国で用いる標準原器として各国に国際キログラム原器の複製を配布することが決定された[10]。当初40個の複製が作られて各国に配布・保管されている。これらの原器は約40年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている[11]。日本には1889年に複製のうち6番が原器として配布され、1890年に到着した[10]。日本国内ではこの6番を「日本国キログラム原器」としてキログラムの基準に使用している。なお、30番と39番も副原器として日本に配布され、39番は1947年に韓国に譲渡しており、1963年にE59番を新造している[12]。2009年9月には、BIPMから原器94番を新規に購入した[13]。副原器を含めた4器は茨城県つくば市独立行政法人産業技術総合研究所に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.176mg重いことが分かっている[14]

キログラム原器の不安定性

国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は洗浄直後の急速な汚染の他、年に1µg程度と見られている[14]。1988年-1992年の第3回各国キログラム原器の定期校正に際して、42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われたが、これにより国際キログラム原器の質量は約60µg減少した。これは1kgの6×10{{#invoke:Gapnum|main|-8}}倍に当たるので、国際キログラム原器による定義の精度は8桁程度ということになる。質量の定義をより明確にするため、質量単位「キログラム」は洗浄直後の国際キログラム原器の質量値として解釈されることになった[14]

2007年9月、国際キログラム原器が50µg軽くなっているという報道が一部でなされた[9]。しかし、これは同原器が突然50µg軽くなったことを意味するわけではない。上記のように原器は経年で徐々に質量を増すことが知られているが、BIPMの解説によると、1889年からの間に他の複数の複製と比較して、質量変動が約50µg少なかったということだという[15]

プランク定数による定義へ

他のSI基本単位は普遍的な物理量に基づく定義に改められてきたのに対し、キログラムだけが人工物に依存する単位として残っている。人工物による定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。このため1970年代から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。2011年10月21日に国際度量衡総会において、キログラム原器による基準を廃止し、新しい定義を設けることが決議された[16] [17]。 この決議を実現するために、キログラムをプランク定数 h によって定義することが2013年12月に提案された。これはプランク定数がもはや実験値ではなく、定義定数となることを意味する。この提案は、SI文書の第9版(現在は2006年の第8版[18])の1章〜3章の改訂(案)の一部として提案された[19]

[math]h = 6.626\, 069\, 57 \times 10^{-34} \, \mathrm{J\, s} [/math] (正確に)

これまではIPKの不確かさはゼロで、プランク定数に 4.4×10{{#invoke:Gapnum|main|-8}} の不確かさがあったのに対して、この新しいキログラムの定義では、プランク定数の不確かさはゼロになり、逆にIPKに4.4×10{{#invoke:Gapnum|main|-8}}の不確かさがあることになる[20]

プランク定数に基づく定義では、静止エネルギーと質量の関係式 E = mc2 を用いて、ある振動数 ν光子のエネルギー (E = ) と等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義する。すなわち、

キログラムは周波数{(299 792 458)2/6.626 069 57}× 1034 ヘルツ光子エネルギーに等価な質量である[21]

この2013年12月の提案は、アンペア (A)、ケルビン (K)、モル (mol) の再定義と併せて、2014年の第25回国際度量衡総会 (CGPM) で決議することが予定されていた[22]。しかし、2014年11月18 - 20日に開催されたCGPMでは、プランク定数の精度が十分でないことなどにより上記の定義への変更はなされず、次の2018年開催予定の第26回CGPMに向けて定義変更のための諸課題を解決すべし、との決議が採択された[23][24][25]

新定義の決議案

CIPMは新しい定義として、次回のCGPMにおける決議案を提出している。この決議案によれば、キログラムの定義は、以下になる予定である[26]

The kilogram, symbol kg, is the SI unit of mass. It is defined by taking the fixed numerical value of the Planck constant h to be 6.626 070 15×10–34 when expressed in the unit Js, which is equal to kg m2 s-1, where the metre and the second are defined in terms of c and ∆νCs."
キログラムはプランク定数の値を正確に 6.626 070 15×10-34 ジュール・秒(Js、これはまた m2 kg s-1 とも表せる)と定めることによって設定される[27]

 

次回の第26回CGPM(2018年11月13日~16日開催予定)で上記の新しいキログラムの定義が正式に採択されれば、129年にわたって使用されてきた国際キログラム原器が廃止されることになる。

なお、キログラムと共に、アンペアケルビンモルの定義も大きく変更されるので、これらの変更も含めた新しいSIの施行日は、周知期間・準備期間を置いて、2019年5月20日(メートル条約が締結された日であり世界計量記念日en:world metrology dayである。)となる予定である[28][29]

過去の様々な提案

現在の定義に変わる新しい定義の候補として、アボガドロ定数などを用いた各種の提案があった。 アボガドロ定数に基づく定義は、一定個数のケイ素(Si)原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1キログラムに含まれるケイ素原子の数を決定することができる。ケイ素が採用されたのは、ケイ素が不純物を含まない単結晶を作りやすいからである。国際度量衡委員会(CIPM)が中心となって、各国の研究機関でケイ素を用いてアボガドロ定数の不確かさを少しでも小さくするための研究が行われた。2010年時点でのアボガドロ定数の値

NA = 6.022 141 29(27) × 1023 mol−1

CODATA2010年推奨値。括弧内は標準不確かさ)には、8桁目に不確かさがある。国際キログラム原器による精度は8桁なので、あと1桁精度を上げることができれば、キログラムの定義を原子質量標準に置き換えることに意味が出てくる[30]。なお、2014年の提案では、キログラムの定義には上述のようにプランク定数が使用され、アボガドロ定数はモルの定義に使われることとなった。

他には以下のような提案があった。

  • かつてプランク定数とキログラムを関連づけることでアンペア (ampere;A) を定義するのに用いられたワット天秤を用いて定義する。
  • 超伝導コイルで発生する磁場で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する。
  • ジョセフソン定数 (KJ4.835 978 70(11) × 1014 Hz/V) とフォン・クリッツィング定数 (RK2.581 280 744 34(84) × 104 Ω) を用いて定義する。すなわち、真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに、1秒あたり 6.241 509 629 152 65 × 1018電荷による直流の電流が流れるとき、導体に 2 × 10−7 m/s加速度が生じたときの、その導体の1メートル当たりの質量を1キログラムと定義する。
  • の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な電流によって定義する。

グラムとキログラム

グラム(gram, 仏語: gramme, 記号: g)は質量の単位であり、SIにおいてはキログラムの1000分の1 (10−3 kg) と定義されている。「キログラム」は、明らかにグラムに接頭辞キロ(kilo-)を付けたものである。しかし、SIにおいては、グラムではなくキログラムが基本単位となっており、グラムはその分量単位の一つとされている。

グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのは、以下のような経緯があるからである。

フランスにおいて1789年の革命が勃発した後、国王ルイ16世は新しい時代の度量衡単位の策定を、アントワーヌ・ラヴォアジエニコラ・ド・コンドルセピエール=シモン・ラプラスジャン=シャルル・ド・ボルダアドリアン=マリ・ルジャンドルなど主に科学者達で構成された委員会に委嘱した[31] 。その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1(=10cm)で構成された立方体の升に入った水の質量、すなわち1リットルの大気圧下で氷の溶けつつある温度(0度)における水について、grave(グラーブ、記号G)と名称が与えられた質量単位を標準とする事が提案された[32]。その語源はgravity(重力)から由来したものである。

当初はこのgrave(グラーブ、グラーヴ)が質量の基本単位として原器が作られる予定であった。またこれを元として、1graveの1,000分の1を別の質量単位名で、仏語gramme(グラム)ないしgravet(グラベト、グラヴェト)、また1graveの1,000倍を別の質量単位名を用いてtonne(トン)ないしbar(バー)と称するように名称が考案されたりもした。そしてやがて来るフランス革命の波に襲われ、科学者達の研究は途中で中断するのだが、その後、新しい革命政府が樹立されると再びメートル法が注目されるようになった。しかしそのフランス革命の後、質量の単位は大きな転機を迎えることとなる。

1795年の(暫定)メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位をgraveから、その1000分の1を表すgrammeへと変更したのである。理由は諸説あるが、有力な説の一つとして、1graveという大きさの質量が当時、メートル法以前の昔から使われてきたいくつかの質量の旧単位と比較しても、大きな単位であるということがある。そのためフランスの科学者達は、グラーブは日常的に使う質量単位としては大き過ぎるであろうと危惧し、フランス共和政府と共に、質量の基本単位は1グラーブの1000分の1である1グラムを質量標準として使用すべきであると決定したという説があるが、真相は定かではない。

しかしながら質量標準を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は基本単位とした1グラムの1000倍、即ち当初の予定通り1graveの質量原器を作ることを決めたわけであるが、その名称が使われることはなくグラムの1000倍を表すために接頭辞のキロ (k) を付けた名称、"キログラム (kg)"の名前を冠した原器を作ることと決めた。これはあくまでも質量の基本単位をグラムにしたことに起因する。こうして当初の質量単位grave(グラーブ)の名称は姿を消すのである。

これが後の1799年に作成された「確定キログラム原器」となった。こうしてメートル法制定当初、長さの単位をm(metre; メートル)、質量の単位をg(gramme; グラム)とした基本単位が出来上がった。しかし、メートルとグラムとではその規模が異なる。すなわち、グラムで量られる質量を持つものはセンチメートル台の大きさであることが多く、逆にメートルで測られる大きさを持つものはキログラム台の質量を持つことが多い。そのため、メートルの代わりにセンチメートルを採用し、センチメートル (仏語: centimetre)・グラム (仏語: gramme)・秒 (仏語: seconde) を基本単位とする単位系が構築されるようになった。これがCGS単位系である。

しかし、電磁気学の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしまう。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・キログラム・秒を基本単位とするMKS単位系へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系(SI)においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。

キログラムの分量・倍量単位の接頭辞は、キログラムではなくグラムを基準にして付けられる。これは、SIでは二重に接頭辞を付けることを禁じているためである。そこで、キログラムを基準として接頭辞が付けられるように、キログラムに代わる新たな単位名称を付けようという提案が何度かなされている。quilo(記号:q)やkilon(記号:k)といったものが提案されているが、正式に議論にかけられたものは、現時点ではない。

重量との関係

いわゆる「1キログラムの重量(重さ)」は、1kgの質量をもつ物体に重力が働くことによって生じるであり、これを表すには重量キログラム(kgf, kgw, キログラム重)という、質量のキログラムとは異なる単位がある。定義された重量キログラムは地球表面(の特定の場所)において1キログラムの質量を持つ物体に働く約9.806 65ニュートン(力のSI単位)の重力である。980.665 cm/s2(この値が定義されたときはCGS単位系が主として使われていた)という重力加速度の値は、グラム重を定義するために第3回国際度量衡総会(CGPM)で定められた協定値であるということに注意する必要がある。重力加速度は緯度や高度、場所によって異なるので、この値が定められるまではグラム重という単位は値が不明確な単位であった。 テンプレート:GravEngAbs

分量・倍量単位

テンプレート:SI multiples

接頭辞は歴史的な理由(上記#グラムとキログラム参照)により、キログラムではなくグラムに対して付けられる。例えば1キログラムの100万分の1の質量は、1「マイクロキログラム」ではなく1ミリグラム(1000分の1グラム)となる。マイクログラムもよく用いられ、「µg」と表記するが、webコンテンツなどでは「µ」に代え「u」と代用表記される、すなわち「ug」となる場合もある[33]。実用されている分量・倍量単位は次の通り。

  • キログラム (kg) -- 103 g (1 kg)
  • グラム (g) -- 100 g (10−3 kg)
  • ミリグラム (mg) -- 10−3 g (10−6 kg)
    • 1立方ミリメートルの水の質量は1ミリグラムである。
    • 砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。
  • マイクログラム (µg) (mcg)-- 10−6 g (10−9 kg)
  • ナノグラム (ng) -- 10−9 g (10−12 kg)
  • ピコグラム (pg) -- 10−12 g (10−15 kg)
  • フェムトグラム (fg) -- 10−15 g (10−18 kg)
  • アトグラム (ag) -- 10−18 g (10−21 kg)
  • ゼプトグラム (zg) -- 10−21 g (10−24 kg)
  • ヨクトグラム (yg) -- 10−24 g (10−27 kg)
    • 核子原子分子の質量はヨクトグラムのオーダーである。より軽い粒子のためにはヨクトグラムでも大きすぎるが、現時点ではヨクトよりも小さな値を表すSI接頭辞は存在しない。
    • 1原子質量単位は 1.660 54 yg
    • 電子の質量は 0.000 91 yg
    • 陽子の質量は 1.672 6 yg
    • 中性子の質量は 1.674 9 yg

次のようにグラムにメガ以上のSI接頭辞を付けることも考えられるが、キログラムの1000倍の質量に対して、1メガグラムという名前が用いられることは一般にはなく、トンが使われる。さらにはトンの倍量単位に対し、トンにSI接頭辞が付されることも多い(とくにキロトン (kt) やメガトン (Mt))。

  • ヨタグラム (Yg) -- 1024 g (1021 kg, 1018 t (1 Et))
  • ゼタグラム (Zg) -- 1021 g (1018 kg, 1015 t (1 Pt))
  • エクサグラム (Eg) -- 1018 g (1015 kg, 1012 t (1 Tt))
  • ペタグラム (Pg) -- 1015 g (1012 kg, 109 t (1 Gt))
  • テラグラム (Tg) -- 1012 g (109 kg, 106 t (1 Mt))
  • ギガグラム (Gg) -- 109 g (106 kg, 103 t (1 kt))
  • メガグラム (Mg) -- 106 g (103 kg, 1 t)

接頭辞はグラムに対して付けられるため、100倍・10倍・1/10および1/100を表す接頭辞を付けた次のような単位も一応考えられ、後述のようにこれらを表す漢字も作られているが、現実には用いられず、理論上の単位の域を出ない。またかつては1万倍を表す「ミリア」という接頭辞も存在したが、これもあまり用いられることなく、現在では廃止されている。

  • ミリアグラム -- 104 g (101 kg)
  • ヘクトグラム (hg) -- 102 g (10−1 kg)
  • デカグラム (dag) -- 101 g (10−2 kg)
  • デシグラム (dg) -- 10−1 g (10−4 kg)
  • センチグラム (cg) -- 10−2 g (10−5 kg)

表記

漢字ではグラムが「瓦蘭姆」と音訳され、ここから「瓦」一字だけでグラムの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現気象庁)が「瓦」をその中に含む以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。中国では、「瓦」はワットを表し、グラムには「克」の字を当てているため、それに合わせて「兛」(キログラム)、「兞」(ミリグラム)といった漢字が作られている。

これらの漢字表記は、計量法上は使用することはできない。

  • マイクログラム (µg) -- {瓦少}
  • ミリグラム (mg) -- 瓱
  • センチグラム (cg) -- 甅
  • デシグラム (dg) -- 瓰
  • デカグラム (dag) -- 瓧
  • ヘクトグラム (hg) -- 瓸
  • キログラム (kg) -- 瓩(中国では、日本と独立にキロワットの意味の文字として作られている)
  • ミリアグラム (104 g) -- {瓦万}
  • トン (t, 103 kg) -- 瓲 (略して 屯 とも表記される)

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+210A - ℊ
ℊ
グラム
U+338D - ㎍
㎍
マイクログラム
U+338E 1-13-51 ㎎
㎎
ミリグラム
U+338F 1-13-52 ㎏
㎏
キログラム
U+3315 - ㌕
㌕
全角キログラム
U+3318 1-13-36 ㌘
㌘
全角グラム
U+3319 - ㌙
㌙
全角グラムトン

Unicodeには、文字様記号としてテンプレート:UnicharCJK互換用文字として以下の文字が収録されている。

これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない[34][35]

参考文献

  • 水島茂喜、上田和永、大岩彰「1kg質量標準の校正(2008-2009)」『産総研計量標準報告』Vol.8 (2011) No.2, pp.185-200。計量標準総合センター

脚注

  1. イアン・ホワイトロー、「単位の歴史 測る・計る・量る」p.101、冨永星訳、大月書店、ISBN 978-4-272-44037-5、2009年5月20日第1刷発行
  2. Decree on weights and measures” (1795年4月7日). . 2011閲覧. “Gramme, le poids absolu d'un volume d'eau pure égal au cube de la centième partie du mètre , et à la température de la glace fondante.”
  3. K8(41)は誤って41番と刻印されたが、付属品は正しく8番とされている。したがって8番と刻印された原器はなく、この原器がK8(41)と呼ばれる。
  4. G.テンプレート:NbspGirard (1994). “The Third Periodic Verification of National Prototypes of the Kilogram (1988–1992)”. Metrologia 31 (4): 317–336. Bibcode 1994Metro..31..317G. doi:10.1088/0026-1394/31/4/007. 
  5. New Techniques in the Manufacture of Platinum-Iridium Mass Standards, T. J. Quinn, Platinum Metals Rev., 1986, 30, (2), pp. 74–79.
  6. The International Prototype(IPK) BIPM
  7. 国際キログラム原器と分析化学 三浦 勉(産業技術総合研究所計測標準研究部門)、ぶんせき、p.164、2012年3月
  8. イアン・ホワイトロー、「単位の歴史 測る・計る・量る」p.101、冨永星訳、大月書店、ISBN 978-4-272-44037-5、2009年5月20日第1刷発行
  9. 9.0 9.1 「国際キログラム原器、50マイクログラムの減量明らかに」AFPBB News
  10. 10.0 10.1 https://www.aist.go.jp/science_town/standard/standard_01/standard_01_01.html 「“ものさし”のふるさと!?」 産総研 2015年10月14日閲覧
  11. 水島他、p.185。
  12. 計量のはなし…《質量・キログラム・㎏》編 (PDF)”. 秋田県計量検定所. . 2010閲覧.
  13. 水島他、p.190。
  14. 14.0 14.1 14.2 水島他、p.188。
  15. なおこれは1988年-1992年の定期校正時期の知見であり、同様の報道は以前にも1990年および2003年ごろにメディアで取り上げられているという。BIPM FAQsグラフ
  16. (On the possible future revision of the International System of Units, the SI)
  17. “キログラムの基準「原器」廃止へ 長さに続き”. 朝日新聞. (2011年10月22日). http://ajisaibunko.sblo.jp/article/49945119.html . 2011閲覧. 
  18. [1] SI brochure (8th edition)
  19. http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_draft_ch123.pdf] Draft Chapters 1, 2 and 3 of the 9th SI Brochure(Draft dated 16 December 2013) , p.13/29
  20. [2] 新しいSIについてのよくある質問、Q10+A10 
  21. [3] 藤井賢一, “キログラムの再定義をめぐる最近の動き”, 実教出版, じっきょう理科資料No.57(2005年3月4日発行)
  22. http://www.bipm.org/utils/en/pdf/Press_release_resolution_1_CGPM.pdf
  23. Resolutions adopted by the CGPM at its 25th meeting (18‐20 November 2014) 表紙を入れてpp.3-4、that despite this progress the data do not yet appear to be sufficiently robust for the CGPM to adopt the revised SI at its 25th meeting, encourages • continued effort in the NMIs, the BIPM, and academic institutions to obtain data relevant to the determination of h, e, k, and NA with the requisite uncertainties, • the NMIs to continue acting through the CCs to discuss and review this data, • the CIPM to continue developing a plan to provide the path via the Consultative Committees and the CCU for implementing Resolution 1 adopted by the CGPM at its 24th meeting (2011), and • continued effort by the CIPM, together with its Consultative Committees, the NMIs, the BIPM, and other organizations such as the International Organization of Legal Metrology (OIML), to complete all work necessary for the CGPM at its 26th meeting to adopt a resolution that would replace the current SI with the revised SI, provided the amount of data, their uncertainties, and level of consistency are deemed satisfactory.
  24. 重さの基準、分銅不要に? 「1キロ」決定に新手法
  25. kg新基準、日本など確立…原器の分銅 130年で幕
  26. Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI) Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),Appendix 3. "The base units of the SI",第3ページ目, 2018-02-06
  27. 臼田孝、新しい1キログラムの測り方、p.199、ブルーバックス B-2056、2018年4月20日第1刷、講談社、ISBN 978-4-06-502056-2
  28. Joint CCM and CCU roadmap for the adoption of the revision of the International System of Units 3ページ目、2019年の欄
  29. Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI) Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),第1ページ目, 2018-02-06
  30. 日高洋「アボガドロ定数はどこまで求まっているか」『ぶんせき』2005年2月号 pp. 72–76。PDF
  31. Adler, Ken (2004). The Measure of all Things - The Seven -Year-Odyssey that Transformed the World. London: Abacus, 89. ISBN 0 349 11507 9. 
  32. The name "kilogram": a historical quirk. BIPM
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関連項目

外部リンク

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