チェレスタ

提供: miniwiki
移動先:案内検索
チェレスタ
別称:セレスタ
各言語での名称
Celesta
Celesta
Célesta
Celesta
チェレスタ
分類

鍵盤楽器

関連楽器
演奏者


チェレスタ(またはセレスタ、イタリア語:celesta)は体鳴楽器に分類される鍵盤楽器の1つ。パリの楽器制作家オギュスト・ミュステルが発明し、1886年に特許を得た。

概要

ファイル:Celesta inside (photozou 175938661).jpg
チェレスタの内部。フェルトで巻かれたハンマーが金属板を叩くことで音が鳴る。

小型のアップライト・ピアノのような形態の楽器で、フェルト巻きのハンマーにより、共鳴箱付きの金属音板を叩いて高音域を発生させる楽器。この鍵盤により、鍵盤楽器に分類される。同様の構造をした楽器で鍵盤付きグロッケンシュピール(鉄琴)と呼ばれる楽器があり、こちらの方が歴史はずっと古く、モーツァルト魔笛で使用されているのが広く知られているが、ハンマーが真鍮象牙などでできているため、チェレスタの方が柔らかい音で、鍵盤付きグロッケンシュピールはきらびやかな音で、相互に代用すると間違ったことになってしまう。

音域は、ピアノ中央ハから上へ4オクターブが従来の標準であった。高音を担当する楽器であり、そのままでは加線やオクターヴ記号を頻繁に使わなくてはならなくなるため、1オクターヴ高い音が出る移調楽器として記譜される。しかしアルバン・ベルクがその作品『ヴォツェック』で誤って5オクターヴの楽器と勘違いして使用したことから、従来の4オクターヴよりも音域を広げて製作するメーカーも開発者のミュステルを含めて出始めた。現在では5オクターヴや5オクターヴ半の音域を持つ楽器が完全に主流になっている。5オクターヴの場合には、ピアノ中央ハよりすぐ下のファから、ピアノの最高音のドよりすぐ上のファまでの音域となり、5オクターヴ半の場合には、それよりも低いドまで出ることになる。これらを使用する作品においては、記譜が誤りでないことを表明するために「5オクターヴのチェレスタ」などとスコアに但し書きされる。

チェレスタのソロの為の作品は未だに少ないが、この楽器のみで即興演奏をする森ミドリのようなアーティストも存在する。ロバート・W・マンのチェレスタとピッコロの為の作品など、彼が使うチェレスタの楽器法は現在でも評判が高い。ボグスワフ・シェッフェルは最近になってチェレスタと室内オーケストラの為の協奏曲を書いた。チェレスタは今日ではシュトゥットガルトの楽器メーカー・シートマイヤーが行っている国際作曲コンクールなどによって、独奏楽器としての活用が大いに奨励される楽器へ変貌した。

使用楽曲の例

室内楽

協奏曲

管弦楽曲

  • チャイコフスキー:バレエ曲『くるみ割り人形』 第2幕の最初の曲から音楽に彩りを添え、『こんぺいとうの踊り』では美麗なソロを披露。
  • チャイコフスキー:交響的バラード『地方長官』 あまり知られていないが、『くるみ割り人形』と共に、チャイコフスキーがチェレスタの能力を見事に活かしたといえる作品。
  • マーラー交響曲第6番 当時の大交響曲にしては珍しく、チェレスタが音楽表現上、非常に重要な役割を演ずる曲。二人の奏者で演奏されることが多い。
  • マーラー:『大地の歌』 ハープ、マンドリン、チェレスタが重要な役割を演ずる曲であると渡辺譲が述べている。
  • バルトーク弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 タイトルにチェレスタとあるが、実は題名にないピアノの方がより活躍する。
  • ショスタコーヴィチ交響曲第4番 終楽章のラストに長いソロがある。この曲の謎めいた終局はチェレスタという楽器がなければ成り立たない。彼は第5、6、11、13 - 15番でも、チェレスタに非常に印象的な出番を与えており、特に第13番はチェレスタのソロで全曲を閉じるし、第15番でも偶数楽章に短いながらもソロを含んでいる。
  • グローフェ:組曲『グランド・キャニオン』 第3曲『山道を行く』の終盤、山小屋から響くオルゴールを表すとされる華麗なソロがある。また、第1曲『日の出』、第4曲『日没』でも地味ながら曲に彩りを添えている。
  • ホルスト:組曲『惑星宇野功芳が、ハープ、チェレスタ、鐘などの活かしたかたが素晴らしいと著書にて述べている。
  • 矢代秋雄交響曲(1958年)
  • ジョエル・メラ:『アレゴリーズ』最後に長いチェレスタ・ソロの部分を持つ。

オペラ

その他

主なメーカー

現在流通しているメーカーはヤマハシートマイヤー、コルベルクのみで、ほかのメーカーはすべて生産を中止した。

参考文献

  • "Celesta", The New Grove Dictionary of Music and Musicians, second edition, edited by Stanley Sadie and John Tyrrell (London, 2001).
  • "Celesta", The New Grove Dictionary of Jazz, second edition, edited by Barry Kernfeld (London, 2002).
  • Curt Sachs: Celesta. In: Real-Lexicon der Musikinstrumente. Berlin 1913, S. 73.
  • Curt Sachs: Handbuch der Instrumentenkunde. Leipzig 1920, S. 22f.
  • James Blades: Percussion Instruments an their History. Faber & Faber, London/Boston 1984.
  • John Henry van der Meer: Celesta. In: Ludwig Finscher (Hrsg.): Die Musik in Geschichte und Gegenwart. Zweite Auflage, Sachteil 2. Kassel/Stuttgart 1995, Sp. 479f.
  • Hubert Henkel, Sven Dierke: Schiedmayer. In: Ludwig Finscher (Hrsg.): Die Musik in Geschichte und Gegenwart. Zweite Auflage, Personenteil 14. Kassel/Stuttgart 2005, Sp. 1329-1331.
  • Jean-Paul Vanderichet, Jean Batigne : Les Instruments de percussion, collection Que sais-je ? no 1691 au Presses universitaires de France, 1975.
  • Marc Honegger, Dictionnaire de la musique : technique, formes, instruments, Éditions Bordas, coll. « Science de la Musique », 1976, 1109 p. [détail des éditions] (ISBN 2-04-005140-6)
  • Denis Arnold : Dictionnaire encyclopédique de la musique en 2 tomes, (Forme rondo T. I, p. 831) Université d'Oxford — Laffont, 1989. (ISBN 2-221-05654-X)
  • John Beck1 : Encyclopedia of Percussion, éditions Routledge, (p. 466) (ISBN 978-1138013070).

外部リンク