パブロ・サンドバル

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パブロ・エミリオ・サンドバルPablo Emilio Sandoval , 1986年8月11日 - )は、ベネズエラ共和国カラボボ州プエルト・カベヨEnglish版出身のプロ野球選手三塁手)。MLBサンフランシスコ・ジャイアンツ所属。

愛称は、ジャイアンツのチームメイトのバリー・ジトに名づけられた "カンフー・パンダ"(Kung Fu Panda)[1][2]

経歴

プロ入り前

家族全員が野球好きという家庭に生まれ、野球を始めたのは4歳のとき[3]。学校から帰宅しては、自宅のガレージで4つ年上の兄マイケルの投球を打ち返して遊ぶ日々を送る[4]。当時憧れていた選手はオマー・ビスケルアンドレス・ガララーガだった[3]。その後、兄マイケルはミネソタ・ツインズと契約しプロ入り。一方のサンドバルも14歳のころにはプロのスカウト達から注目を集める存在になっていた。ドミニカ共和国でのトーナメントに参加した際にはテキサス・レンジャーズのスカウトから入団契約を持ちかけられたが、その後レンジャーズ側からは何の連絡もなかった[4]

ジャイアンツ傘下時代

2003年5月8日サンフランシスコ・ジャイアンツと契約。

2004年にルーキー級アリゾナリーグ・ジャイアンツでプロデビュー。捕手として46試合に出場して打率.266・26打点・4盗塁の成績を残した。

2005年から三塁に転向。A-級セイラムカイザー・ボルケーノズEnglish版でプレーし、75試合に出場して打率.330・3本塁打・50打点・2盗塁の成績を残した。

2006年は三塁のほか、一塁手としての起用が増えた。この年はA級オーガスタ・グリーンジャケッツEnglish版でプレーし、117試合に出場して打率.265・1本塁打・49打点・3盗塁の成績を残した。

2007年は三塁手としての起用はなく、一塁と捕手を兼任した。この年はA+級サンノゼ・ジャイアンツEnglish版でプレーし、102試合に出場して打率.287・11本塁打・52打点・3盗塁の成績を残した。

ファイル:Pablo Sandoval on July 15, 2010.jpg
サンフランシスコ・ジャイアンツ時代
(2010年7月15日)

2008年はA+級サンノゼでプレーし、68試合に出場して打率.359・12本塁打・59打点・2盗塁の成績を残した。6月にAA級コネチカット・ディフェンダーズに昇格し、44試合に出場。打率.337・8本塁打・37打点と活躍し、8月13日にジャイアンツとメジャー契約を結んだ[5]

ジャイアンツ時代

2008年8月14日ヒューストン・アストロズ戦でメジャーデビュー。デビュー戦は「5番・捕手」として先発出場し、3打数で安打こそ出なかったが1打点を挙げた[6]。メジャー初安打は2日後のアトランタ・ブレーブス戦で、第1打席にマイク・ハンプトンから二塁内野安打を放つと、この日は3安打を記録している[7]。以降、9月28日のシーズン最終戦までメジャーに残って41試合に出場し、打率.345・3本塁打・24打点という成績を残した。

2009年は、主に三塁手として153試合に出場。フルシーズン1年目ながらジャイアンツ打線の中軸に座り、首位打者争いでハンリー・ラミレスに次ぐ2位となったほか、25本塁打を記録した。ジャイアンツはポストシーズン進出こそ逃したものの88勝74敗で5年ぶりの勝ち越しとなり、サンドバルはチームについて「若手とベテランが一体になってシーズン最後までそれを争えたのは良かった」、自身について「10点満点!」と振り返った[3]

2010年は開幕戦に3番・三塁として出場し、4月の1ヶ月間で打率.368と前年以上の成績を挙げる。この頃からジャイアンツの地元カリフォルニア州サンフランシスコでは、サンドバルの愛称からパンダの広告やグッズが目立つようになった[8]。しかしその後は成績が下降し、6月終了時では打率.274まで落ち込んだ。同月28日のロサンゼルス・ドジャース戦では2点ビハインドの9回裏一死一・三塁と、本塁打が出れば逆転サヨナラ勝利となる好機で打順が回ってきたが、チームは新人のバスター・ポージー代打で起用しサンドバルをベンチへ下げている[9][10]。後半戦も調子は上向かず、そのままレギュラーシーズンが終了。ジャイアンツはナショナルリーグ西地区を制し7年ぶりにポストシーズン進出を果たしたが、サンドバルはリーグ最多の26併殺打を喫するなど不振にあえいだ。ポストシーズンでチームは、ブレーブスとの地区シリーズを3勝1敗で、フィリーズとのリーグ優勝決定戦を4勝2敗で、そしてレンジャーズとのワールドシリーズを4勝1敗で制し、56年ぶり6度目の世界一に到達。だがサンドバルはこのポストシーズン15試合中、出場は6試合に留まった上に打率.176・3併殺とレギュラーシーズンの不振を引きずっていた。この不振の原因が体調管理の拙さによる太りすぎにあるとみたチームは、サンドバルに「オフの間に減量ができなければマイナー落ち」と通告。これを受けサンドバルは、球団OBのバリー・ボンズ陸上十種競技の元世界記録保持者ダン・オブライエンらとトレーニングしたり、好物のポテトチップス炭酸飲料を断ったりして減量に励み[11]、38ポンド(約17.2キロ)落とした[12]

2011年は開幕から打率3割台を維持していたが、4月末に右手有鈎骨の骨折が発覚し[13]、6月中旬までの長期欠場を強いられた。前半戦終了時点で打率.303と前年から成績を向上させた。この年は故障したホセ・レイエスの代役という形ながらオールスターにも初めて選出され、試合ではブランドン・リーグから適時二塁打を放った[14]。後半戦はさらに調子を上げ、9月15日のコロラド・ロッキーズ戦ではサイクル安打を達成[15]。最終的にチームはポストシーズンへ進出できずワールドシリーズ連覇を逃したが、個人成績では2年ぶりに打率.300・20本塁打超えを果たした。

2012年1月17日にジャイアンツと1715万ドルの3年契約を結んだ[16]。108試合に出場し、12本塁打63打点1盗塁、打率.283と打撃成績を大幅に低下させたが、ワールドシリーズで10月24日の第1試合で3打席連続の本塁打を放った活躍でワールドシリーズのMVPに選出された[17]

2013年開幕前の3月に開催された第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ベネズエラ代表に選出された[18]。シーズンでは141試合に出場し、2年ぶりに規定打席に到達した。自己2位となる79打点をマークしたが、5年ぶりに盗塁なしで、自己ワーストの18失策を記録するなど、走と守で精彩を欠いた。

2014年は自己最多となる157試合に出場して攻守に復活を果たす。まず攻撃面では、打率.279・16本塁打・73打点という打撃成績をマーク、得点圏では.291を記録した。オフの10月30日FAとなった。

レッドソックス時代

2014年11月25日ボストン・レッドソックスと総額9500万ドルの5年契約[19](2020年・1700万ドルの球団オプション付き[20])を結んだ[21][22]

2015年6月18日に試合中にインスタグラムで「いいね」を押した事を受け、球団から1試合の出場停止処分を受けた[23]。126試合に出場したが、2009年にレギュラーの座を獲得して以来、いずれも自己ワーストの打率.245・10本塁打・47打点という成績に終わった。

2016年はオープン戦で結果を残せず、三塁手の座を若手のトラビス・ショウに奪われ、更には4月13日に左肩痛で故障者リスト入りすると、5月3日には同箇所の手術を受けたことによりシーズン中の戦線復帰は絶望的となり、同年は7打席に立ったのみだった。

2017年開幕前には第4回WBCベネズエラ代表への参加の意思を表明していたが、2月7日にレッドソックスから代表参加の許可が下りず、不参加となった[24]。シーズンでは7月14日DFAとなり[25]、19日に自由契約となった[26]

ジャイアンツ復帰

2017年7月22日に古巣ジャイアンツとマイナー契約を結んだ[27]。8月5日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[28]

2018年、4月28日のドジャースとのダブルヘッダー第1戦、6-15と大量リードを許した中の最終回に2戦目に救援投手を温存するため登板した。先頭打者はマックス・マンシー。2球でショートゴロに抑えると、続くヤズマニ・グランダルカーブを交え、最後は142kmのストレートでサードゴロ。3人目はこの日本塁打を含む3安打のクリス・テイラーチェンジアップカーブを駆使し追い込むと、最後はショートゴロに抑え、この試合で登板したジャイアンツ投手の中で唯一の三者凡退を記録した。

プレースタイル

ファイル:Pablo Sandoval.jpg
2008年には捕手として11試合に出場した

メジャー2年目となる2009年シーズンを迎える前から、殿堂入りの元強打者ウィリー・マッコビーに「彼は第二のアルバート・プホルスになりつつある」と言われたほど[29]、打撃技術に関しての評価が高い。ただし、どんなボールでも振りにいく "フリースインガー" の一面もあり、2008年にはストライクゾーンを外れた球を振りにいった確率が53.8%もあった。当時の打撃コーチのカーネイ・ランスフォードは「ボールをよく見るように彼を指導してきたが、まるでライオンを檻に入れようとしているみたいだ。ダグアウトから打席に向かうときの彼はバットを振ることで頭がいっぱいのようだから、こちらとしては必ず『ストライクを振れよ』と言うようにしている」と話している[30]

守備面では、メジャー昇格後は基本的に三塁手としての出場が多いが、その他に一塁手と捕手もこなすユーティリティーさを持ち合わせており、前回2014年までのジャイアンツ在籍時には監督のブルース・ボウチーにも重宝されていた[31]。幼少期は左投げの右翼手だったが、9歳か10歳のころに「(憧れのオマー・ビスケルと同じ)遊撃手や、三塁手や捕手もやってみたい」として右投げに転向しており[4][32]、さらにマイナーリーグでは主に一塁手として出場していた。現在も登録上は右投げであるが、左手で投げることも可能である[31]

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
2008 SF 41 154 145 24 50 10 1 3 71 24 0 0 0 4 4 1 1 14 6 .345 .357 .490 .847
2009 153 633 572 79 189 44 5 25 318 90 5 5 0 5 52 13 4 83 10 .330 .387 .556 .943
2010 152 616 563 61 151 34 3 13 230 63 3 2 0 5 47 12 1 81 26 .268 .323 .409 .732
2011 117 466 426 55 134 26 3 23 235 70 2 4 1 7 32 9 0 63 12 .315 .357 .552 .909
2012 108 442 396 59 112 25 2 12 177 63 1 1 0 7 38 4 1 59 13 .283 .342 .447 .789
2013 141 584 525 52 146 27 2 14 219 79 0 0 0 6 47 5 6 79 19 .278 .341 .417 .758
2014 157 638 588 68 164 26 3 16 244 73 0 0 0 7 39 6 4 85 16 .279 .324 .415 .739
2015 BOS 126 505 470 43 115 25 1 10 172 47 0 0 1 2 25 1 7 73 14 .245 .292 .366 .658
2016 3 7 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 4 0 .000 143 .000 .143
2017 32 108 99 10 21 2 0 4 35 12 0 1 0 1 8 0 0 24 4 .212 .269 .354 .622
SF 47 171 160 17 36 9 0 5 60 20 0 0 0 2 8 0 1 29 7 .225 .263 .375 .638
'17計 79 279 259 27 57 11 0 9 95 32 0 1 0 3 16 0 1 53 11 .220 .265 .367 .632
MLB:10年 1077 4324 3950 468 1118 228 20 125 1761 541 11 13 2 46 301 51 25 594 127 .283 .334 .446 .780
  • 2017年度シーズン終了時
  • 太字はリーグ1位

年度別守備成績

捕手守備


捕手




















2008 SF 11 76 6 0 1 1.000 2 7 3 .300
2009 3 21 2 0 0 1.000 0 1 1 .500
通算 14 97 8 0 1 1.000 2 8 4 .333
内野守備


一塁(1B) 二塁(2B) 三塁(3B)




































2008 SF 17 100 12 1 7 .991 - 12 3 14 0 0 1.000
2009 26 181 10 3 10 .985 - 120 70 195 11 13 .960
2010 11 79 0 0 6 1.000 - 143 93 228 13 23 .961
2011 6 54 6 0 3 1.000 - 0 0 0 0 0 .
2012 0 0 0 0 0 . - 106 71 214 10 16 .966
2013 - - 137 77 206 18 14 .940
2014 - - 151 89 282 11 27 .971
2015 BOS - - 123 78 200 15 19 .949
2016 - - 2 1 3 1 0 .800
2017 - 1 0 0 0 0 .--- 29 10 43 5 2 .914
SF 9 55 1 0 8 1.000 - 38 23 50 3 4 .961
'17計 9 55 1 0 8 1.000 1 0 0 0 0 .--- 67 33 93 8 6 .940
通算 72 479 30 4 35 .992 1 0 0 0 0 .--- 963 578 1642 100 131 .957
  • 2017年度シーズン終了時

表彰

記録

背番号

  • 48(2008年 - )

代表歴

脚注

  1. Anthony Castrovince / MLB.com, "For ballplayers, what's in a (nick)name? / When it comes to clever monikers, this generation is lacking," MLB.com, February 10, 2009. 2009年9月12日閲覧。
  2. Tim Liotta, "Liotta: Giants’ offensive future rests with ‘Kung Fu Panda’," San Francisco Examiner, June 25, 2009. 2009年9月12日閲覧。
  3. 3.0 3.1 3.2 石井孝尚 「『カルトヒーローを探せ!』サンフランシスコ・ジャイアンツ編 パブロ・サンドバル」 『月刊スラッガー』2010年1月号、日本スポーツ企画出版社、2009年、雑誌15509-1、67-69頁。
  4. 4.0 4.1 4.2 Henry Schulman, Chronicle Staff Writer, "GIANTS SPRING TRAINING / All the comforts of far-away home / Sandoval gets support from family at spring training," SFGate, March 8, 2009. 2009年9月12日閲覧。
  5. Giants add Pablo Sandoval, Travis Ishikawa and Ryan Rohlinger”. MLB.com Giants Press Release (2008年8月13日). . December 20, 2014閲覧.
  6. "Aug 14, 2008, Giants at Astros Box Score and Play by Play," Baseball-Reference.com. 2011年4月13日閲覧。
  7. "Aug 16, 2008, Giants at Braves Box Score and Play by Play," Baseball-Reference.com. 2011年4月13日閲覧。
  8. 鉄矢多美子鉄矢多美子『Field of Dreams』第254幕 サンフランシスコに巻き起こったパンダブーム!」 『nikkansports.com』、2010年5月4日。2010年10月9日閲覧。
  9. "Jun 28, 2010, Dodgers at Giants Box Score and Play by Play," Baseball-Reference.com. 2010年10月9日閲覧。
  10. 石井孝尚 「勝率ランキング順『全30チーム前半戦完全総括』サンフランシスコ・ジャイアンツ サンドバル復調と投手陣奮起で巻き返しも充分可能」 『月刊スラッガー』2010年9月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-9、63頁。
  11. Chris Haft / MLB.com, "Sandoval sticking with strict routine," SFGiants.com, February 4, 2011. 2011年7月16日閲覧。
  12. John Shea, Chronicle Staff Writer, "Range much improved for Twinkle-Toes Sandoval," SFGate, March 15, 2011. 2011年10月4日閲覧。
  13. Chris Haft / MLB.com, "Panda out with broken hamate bone in hand," SFGiants.com, April 30, 2011. 2011年7月16日閲覧。
  14. "Jul 12, 2011, AL All-Stars at NL All-Stars Play by Play and Box Score," Baseball-Reference.com. 2011年7月16日閲覧。
  15. "Sep 15, 2011, Giants at Rockies Play by Play and Box Score," Baseball-Reference.com. 2011年10月4日閲覧。
  16. Chris Haft (2012年1月17日). “Giants give Sandoval three-year extension”. MLB.com. . December 20, 2014閲覧.
  17. “ジ軍サンドバルがシリーズMVP”. 日刊スポーツ. (2012年10月29日). http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/f-bb-tp2-20121029-1039587.html . 2012閲覧. 
  18. 2013 Tournament Roster The official site of World Baseball Classic (英語) 2016年3月3日閲覧
  19. 2015年から2017年まではそれぞれ1700万ドル、2018年と2019年はそれぞれ1800万ドル。契約金は300万ドル。
  20. 違約金500万ドル。
  21. Red Sox and third baseman Pablo Sandoval agree to five-year contract”. MLB.com Red Sox Press Release (2014年11月25日). . December 20, 2014閲覧.
  22. Mark Polishuk (2014年11月25日). “Red Sox Sign Pablo Sandoval”. MLB Trade Rumors. . December 20, 2014閲覧.
  23. Sandoval sits after violating social media policy MLB.com (2015年6月18日) 2015年6月28日閲覧
  24. Pablo Sandoval no irá al Clásico Mundial de Béisbol con Venezuela (スペイン語) (2017年2月7日) 2017年3月4日閲覧
  25. http://www.espn.com/mlb/story/_/id/20040647/boston-red-sox-designate-pablo-sandoval-assignment
  26. Megan Zahneis (2017年7月19日). “Sandoval's tenure with Sox ends with release” (英語). MLB.com. . July 19, 2017閲覧.
  27. ジャイアンツがサンドバルとマイナー契約 日刊スポーツ 2017年7月23日
  28. Chris Haft (2017年8月6日). “Called up by Giants, Sandoval overjoyed” (英語). MLB.com. . 2017年8月8日閲覧.
  29. Jerry Crasnick, "Giants' present plans include Sandoval," ESPN.com, April 1, 2009. 2009年9月12日閲覧。
  30. Chris Haft / MLB.com, "Free-swinging Giants eschew walks / Offense last in National League in earning free passes ," SFGiants.com, May 20, 2009. 2009年9月12日閲覧。
  31. 31.0 31.1 鉄矢多美子 「鉄矢多美子『Field of Dreams』第234幕 首位打者争いサンドバル、ブレークの秘密」 『nikkansports.com』、2009年8月17日。2009年9月12日閲覧。
  32. John Shea, Chronicle Staff Writer, "New-look Giants lose to Astros," SFGate, August 14, 2008. 2009年9月12日閲覧。

関連項目

外部リンク

テンプレート:サンフランシスコ・ジャイアンツ

テンプレート:2013 ワールド・ベースボール・クラシックベネズエラ代表