パレット (輸送)

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ファイル:Warehouse md17.jpg
品を載せて2段積みにされたパレット(写真左部)と20枚以上積まれた大量のパレット(写真右部)

パレット(pallet)は、物流に用いる、荷物を載せるための荷役台。もっとも代表的な平パレットの他に、ボックスパレット、シートパレットなどの多くの種類が存在する。

工場トラックコンテナ倉庫、運送会社での営業所などでの荷役作業を扱いやすくするためのもので、一般的なパレットであれば、運搬の際には台上に荷物を載せ、パレットの脚と脚の間にフォークリフトハンドリフトの爪を差し込んで持ち上げる。造りのしっかりしたパレットであれば、荷物をはい付けた状態で2段、3段と重ねたり、パレットラックなどの保管設備に格納したりすることができる。材質は木材でできたものが多いが、湿気などに強い合成樹脂製も多くなっている。

なお、航空輸送(とりわけ航空会社)においては、アルミ合金で作られた板状のULDをパレットと呼ぶ。その場合、本項で述べているものは、スキッド(skid)と呼ぶことが一般的である。

主なサイズ

特筆事項が無い場合、数値の単位はmm(ミリメートル)

国によってサイズが異なることから、国際物流での障害解消のため、相互利用のための標準規格サイズの策定が行われている。

日本

1970年にT11型(1100mm×1100mm×144mm)がJISにより一貫輸送用平パレットとして規格化され、その名のとおり「イチイチ」と俗称されている。一貫輸送用平パレットとは、構造・寸法など規格によって統一されたパレットを広範囲の業界及び各輸送機関で相互に共同運営するパレットプールシステムで利用されるパレットのことである。

ただし、業界によってはT12型など異なるサイズを標準利用としている場合もあり、全てにおいて標準化されているわけではなく、日本国内では業種ごとに100種類くらいのサイズがあると言われている。

材質

日本では製パレットから合成樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン)製のものに移行してきているが、木材資源が豊かなヨーロッパでは環境保護のために樹脂製ではなく木製のパレットの使用量が圧倒的に多い(ヨーロッパでは比較的気温と湿度が低く、害虫や木材腐朽菌が少ないという理由もある)。

木製パレット

古い伝統を持つパレットであり、十分な強度や耐荷重量を持ち、生産・廃棄にかかるコストが低いといった総合的なバランスの良さから今日でも広く使われている。特に、一部が破損した場合においても修理が容易である点は他の材質にない大きな長所である。しかし、その反面湿気には弱く、湿度の高すぎる環境では変形したり朽ちてしまう可能性がある。木材資源としてリサイクルすることもできるが、防腐剤が使われていることがあるため、一部の国では焼却処分(燃料としてのリサイクルを含む)が禁止されている。

また、害虫(幼生・卵含む)が木製パレット内部に存在したまま国境を越え、深刻な環境破壊をもたらしているという教訓を得てからは、一部の国でポプラ合板、もしくは燻蒸など殺虫処理をしたもの以外の生木製パレットを使用した物品の輸入を禁止している。

使用済みの木製パレットを廃棄する場合、法律上は産業廃棄物ではなく家庭ゴミと同じ一般廃棄物として扱う(一部の業種を除く)。しかし、市町村で処理ができない場合、一般廃棄物処理業者が少ないために合法的に処理することが困難な状態に陥ることがあり、問題となった。そのため、木製パレットについては2008年4月1日より、他の事業系一般廃棄物とは切り離して産業廃棄物として扱うべく法改正が行われた。廃棄物の処理及び清掃に関する法律#問題点を参照。

合成樹脂製パレット

ファイル:山下埠頭のパレット.jpg
4方向から爪を刺せるパレットも存在する。

プラスチックパレット(略してプラパレ)とも呼ばれる。製パレットと比べ強度や耐荷重量に優れ、破損が少ないのが特徴である。その強度を活かし、リフトアップ用の穴が4方向に設けられたものも見られる。木製パレットと比較して、湿気に強く湿度の高い環境での使用にも耐え、輸出に先立つ殺虫処理も不必要である。一方で、木製パレットと異なり、破損してしまった場合の再生は困難であり、産業廃棄物として廃棄せざるを得ないという欠点がある。

金属製パレット

アルミニウムで作られたパレットで、強度耐荷重量面での優秀さは群を抜く。コストの高さ、パレット自体の重量による運用の難しさなどから、一般にはあまり使用されないパレットである。アルミニウム製のボックスパレットは、医療関係の物流でしばしば見られる。また、航空輸送においてもアルミ製のパレットが使用されることがある。

紙製パレット

特殊なクラフト紙で組み立てられたパレット。使用される事業所・工場ではしばし「段パレ」(段ボールパレット)と呼ばれる。耐荷重量は決して低くないが強度は非常に低く、使い捨てを前提として運用される。しかし、廃棄リサイクルの容易さは特筆に価するものがあり、環境保護の観点から敢えてこのパレットが採用される場合もある。メリットは、コストが安い、スペースをとらない、軽くて省スペースなので輸送コストが安くつくなど。

シートパレット

従来の立体構造のパレットとは異なり、特殊クラフト紙や合成樹脂製の薄いシート状のパレット。英語ではスリップ・シート (: Slip sheet)と呼ぶ。専用のフォークリフトとともに使用され、米・飼料・肥料といった袋状の物に用いられることが多い。専用のフォークリフトは一般的な2本の爪ではなく、シートと同寸法以上のプラテンと呼ばれる板状の積載台を持ち、シートパレットの端のタブを掴んでプラテン上に引き寄せて載せ、押し出して降ろすために、油圧で動作するプッシュプルのアタッチメントを持っている。

積み上げた高さに対するパレットの高さによる損失が無い、軽いため空パレットを手で簡単に持ち運ぶことができるなどの利点がある。また、シートパレット上の荷物を崩すことなくシートパレットを抜き取ることもできる。また、通常のパレットの上に敷く形でシートパレットを併用することにより、運輸の途中までパレットの優位性を活かしつつ途中からスリップシートの優位性を活用するといった利用法もできる。

ロールボックスパレット

ロールボックス、ロールパレット、カゴ台車、カゴ車、台車などとも呼ばれる。金属製のゲージに、キャスターが付いた金属製または樹脂製の底板を組み合わせたもの、主に荷物の搬送、仕分や保管に使用される。

底板を跳ね上げ左右のゲージを折り畳むことができる。保冷や防塵を目的としたカバーで覆い使用することもある。

外部リンク