国税不服審判所

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国税不服審判所(こくぜいふふくしんぱんしょ、英語:National Tax Tribunal)は、財務省設置法(平成11年7月16日法律第95号)第22条に基づき国税庁に設置される特別の機関である。

沿革

  • 1970年(昭和45年) - 従前の協議団制度に代えて、国税庁の附属機関として国税不服審判所が設置される。
  • 1984年(昭和59年) - 附属機関から特別の機関となる。

職務

国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行なう(国税通則法(昭和37年4月2日法律第66号)第78条第1項)。

組織

国税不服審判所は、本部及び各国税局の所在地に対応した12の支部で構成される(国税不服審判所組織規則第1条)。

  • 本部
    • 国税不服審判所
      • 所在地:東京都千代田区霞が関3-1-1
  • 支部・支所
    • 東京国税不服審判所
      • 所在地:東京都千代田区九段南1-1-15
        • 所管区域:東京都・千葉県・山梨県
    • 東京国税不服審判所横浜支所
      • 所在地:神奈川県横浜市中区山下町37-9
        • 所管区域:神奈川県
    • 関東信越国税不服審判所
      • 所在地:埼玉県さいたま市中央区新都心1-1
        • 所管区域:埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県
    • 関東信越国税不服審判所長野支所
      • 所在地:長野県長野市西後町608-2
        • 所管区域:長野県
    • 関東信越国税不服審判所新潟支所
      • 所在地:新潟県新潟市中央区営所通二番町692-5
        • 所管区域:新潟県
    • 大阪国税不服審判所
      • 所在地:大阪府大阪市中央区大手前1-5-63
        • 所管区域:大阪府・奈良県・和歌山県
    • 大阪国税不服審判所京都支所
      • 所在地:京都府京都市左京区聖護院円頓美町18
        • 所管区域:京都府・滋賀県
    • 大阪国税不服審判所神戸支所
      • 所在地:兵庫県神戸市兵庫区水木通2-1-4
        • 所管区域:兵庫県
    • 札幌国税不服審判所
      • 所在地:北海道札幌市中央区大通西10
        • 所管区域:北海道
    • 仙台国税不服審判所
      • 所在地:宮城県仙台市青葉区本町3-2-23
        • 所管区域:宮城県・岩手県・福島県・秋田県・青森県・山形県
    • 名古屋国税不服審判所
      • 所在地:愛知県名古屋市中区三の丸3-2-4
        • 所管区域:愛知県・三重県・岐阜県
    • 名古屋国税不服審判所静岡支部
      • 所在地:静岡県静岡市葵区追手町10-88
        • 所管区域:静岡県
    • 金沢国税不服審判所
      • 所在地:石川県金沢市新神田4-3-10
        • 所管区域:石川県・福井県・富山県
    • 広島国税不服審判所
      • 所在地:広島県広島市中区上八丁堀6-30
        • 所管区域:広島県・山口県・島根県
    • 広島国税不服審判所岡山支所
      • 所在地:岡山県岡山市北区天神町3-23
        • 所管区域:岡山県・鳥取県
    • 高松国税不服審判所
      • 所在地:香川県高松市天神前2-10
        • 所管区域:香川県・愛媛県・徳島県・高知県
    • 福岡国税不服審判所
      • 所在地:福岡県福岡市博多区博多駅東2-11-1
        • 所管区域:福岡県・佐賀県・長崎県
    • 熊本国税不服審判所
      • 所在地:熊本県熊本市中央区二の丸1-3
        • 所管区域:熊本県・大分県・鹿児島県・宮崎県
    • 国税不服審判所 沖縄事務所
      • 所在地:沖縄県那覇市旭町9
        • 所管区域:沖縄県
  •  組織の概要等

国税審判所本部は、全国12の支部を統括し、審判所全体の管理・運営や、各支部に係属した個別事件の処理に関する助言指導(本部照会制度、相互審査制度)等の事務を行っている。

各支部は、実際の事件処理を担い、各支部に配置された国税審判官が、担当審判官1名及び参加審判官2名から成る合議体を構成して審査請求事件の調査・審理を行い、審査請求に対する判断(主文、理由)を示した「議決」をする。そして、国税不服審判所長[1]は、この合議体の議決に基づいて、裁決をする(実際の裁決権は、内部規程で各支部の所長(首席国税審判官)に委任されており、いわゆる専決処理がされている。)。

国税審判官、国税副審判官及び国税審査官は、基本的には、各国税局プロパーの職員の中から人事異動で任命される(なお、国税審判官は税務署長級、国税副審判官は副署長級、国税審査官は統括官級又は上席級である。)が、事件を担当する国税審判官の約半数に、弁護士・公認会計士・税理士等の有資格者が、任期付公務員として登用されている[2]

なお、行政審判機関としての性格や、国税庁に対する中立性・第三者性保持の観点から、国税不服審判所本部所長には裁判官からの出向者が、主要支部である東京国税不服審判所長には検察官からの出向者が、同じく大阪国税不服審判所長には裁判官からの出向者が充てられるのが通例である。このほか、本部及び主要支部に、裁判官又は検察官からの出向者が若干名配置されている(なお、裁判官からの出向者の出向中の身分(官名)は、検察官からの出向者と同じく「検事」となるのが例である。)。

  • 歴代国税不服審判所長

八田卯一郎、島内乘統、成田喜達、春日通良、井上哲男、 金子順一、孝橋宏、生野考司、畠山稔、増田稔

  • 歴代東京国税不服審判所長

寳金敏明、小西敏美、 高井新二、安田博延、柏村隆幸

  • 歴代大阪国税不服審判所長

吉野孝義、 的場純男、 山下郁夫、田中敦、 中本敏嗣、本多俊雄、西川知一郎、瀧華聡、黒野功久、西田隆裕

その他

大蔵省主税局税制第三課長早田肇は、国税不服審判所の誕生の経緯について、「従来から、協議団制度に対しては、次のような批判が寄せられていた。第1に、協議団が国税局の付属機関として国税局長の指揮下に置かれ、しかも審査請求に当たって協議団の議決を経るのではあるが、裁決権は国税局長が保持する形をとっているところから、裁決に対して直税部、調査部等のいわゆる主管部が強い影響力を及ぼしているのではないかとの疑念が持たれ、このような制度のもとでは、納税者の納得を得られるような裁決は期し難いとの批判が生じていた。第2に、納税者の不服について真に個別性に応じた解決をはかるためには、場合によっては通達と異なる法令の解釈を行なう必要も生じるのであるが、国税局長の下におかれ、国税庁長官の発する通達に応じ得ないのではないかという批判も見られた。税制調査会の税制簡素化特別部会においては、これらの情勢および批判をふまえつつ、慎重な検討を重ねた結果、国税庁の付属機関として、自ら裁決権を有する不服審査機関を設置すべきであるという結論に達したものである。」と論じている[3]

脚注

  1. “こういったポストには法曹の御出身の方々を任命しているところでございます”[1] 第5回国税審査分科会、第25回税理士分科会及び第6回酒類分科会の3分科会合同会議
  2. [2] - 平成23年度税制改正大綱
  3. 「特集・国税不服審判所の誕生」大蔵省主税局税制第三課長早田肇“国税不服審判所の成立経過”月刊「税務実務」May.1970,Vol.2No.5

関連項目

外部リンク