大和高田市

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大和高田市(やまとたかだし)は、奈良県中西部に位置する中和葛城地域の中核都市である。奈良県で最も人口密度が高い。近年は人口が漸減し、隣接市町が増加傾向にあるが、昼間人口は依然多い。岩手県陸前高田市広島県安芸高田市大分県豊後高田市とともに「高田」の名が付く市である。

地理

奈良盆地中西部の一角を占め、小さい面積の市域の大半は平坦地となっており、市の西北部は馬見丘陵の南端部となる。

市内を葛城川高田川が南北に貫流している。また北東部、橿原市との市境付近を曽我川が、北西部には葛下川が流れる。なお高田川はかつて現在の流路より東側を流れていたが、水害に悩まされていたことから1932年(昭和7年)から付け替え工事が開始され、現在の流路となった。旧流路は埋め立てられて道路化が図られ、現在の国道166号線および県道大和高田斑鳩線となっており、沿道の地名や橋梁欄干などの遺構にその名残を留めている。

近年の農地・溜池の宅地利用により、豪雨時の遊水場所が無くなり、市内の一部では豪雨時に床上・床下浸水の被害が発生している。

気候

夏は湿度が高く、冬は寒い。

隣接する自治体

歴史

市の西北部には5世紀の大型前方後円墳築山古墳(陵墓参考地・伝武烈天皇陵)や領家山古墳が存在し、馬見古墳群の南端を形成している。また日本書紀に見える百済意多郎(おたら)墓は築山古墳の南に位置する岡崎に比定されている。近年、この付近で池田遺跡が発見され多数の埴輪などが出土した。市域の大半は『和名抄』の大和国葛下郡(かつらぎのしものこおり)に属し、郷名については蓼田(たでた)郷に比定する説もあるが、葛下郡賀美郷の可能性が高い。延喜式内社石園座多久虫玉神社(通称竜王宮)が市内に鎮座する。また飛鳥時代に造営された横大路が市内を東西に貫通している。

中世には興福寺一乗院平田荘の荘官であった高田(當麻)氏が武士化して高田城(現在の片塩小学校周辺)を築き万歳(平)城を築いた万歳氏とともに一帯を領有したが、筒井順慶により滅ぼされ城も破却された。江戸時代には諸藩領や天領が錯綜しており、中期以降綿作が盛んになると高田本郷を中心に市場町として発展、近代には紡績工場が設置されたことで繊維産業の中心地となった。

1948年市制施行の際に、新潟県高田市(現・上越市)が既に市制を施行していたため大和国の「大和」を冠称。旧国名を冠して市名の重複を回避した最初の事例は大阪府泉大津市和泉国)であるが、省略せずに冠したのは当市が最初である。

1960年代以降、ユニチカ高田工場が閉鎖され、近年には中国製品との競合もあり、地場産業である繊維産業は衰退を続けている。一方バブル期には大阪方面勤務者が住宅を求めて流入し人口は増大したが、近年は若干減少傾向にある。

年表

古代
中世
  • 1432年(永享3年)- 高田城築城、当麻為秀が初代高田城主となる。
近世
近・現代

市域の変遷

明治22年 明治29年 昭和2年 昭和16年 昭和23年 昭和31年 昭和32年 現在
奈良県
葛下郡 北葛城郡 大和高田市 大和高田市 大和高田市
高田町 高田町 高田町
土庫村
松塚村
浮孔村
磐園村
陵西村 北葛城郡
陵西村
高市郡
天満村

伝説

  • 静御前源義経との別れの後、母・礒野禅尼の里である大和高田市礒野(いその)に身を寄せたと伝えられる。確たる文献証拠はないが、礒野の地には静御前の墓と伝える塚が残る。また、付近の磐園(いわその)は「いその」の古名と考えられ、石園、礒野も同じ名に由来していると考えられる。

行政

市の財政状況は2008年10月の時点で実質赤字比率県内ワースト4、財政力指数は県内12市中9位である[1]。但し、実質公債費比率や、将来負担比率等は周辺自治体に比べ低い[1][2]。これ以降、市の財政健全化政策が実施され、単年度での黒字を計上し、赤字比率を圧縮している。

また、2006(平成18)年4月からゴミ処理有料化を実施している。

歴代市長

  • 1948年(1月~5月):堀内為吉
  • 1948年~1952年:名倉仙蔵
  • 1952年~1956年:宮内熊太郎
  • 1956年~1968年:名倉仙蔵
  • 1968年~1972年:田中隆賢
  • 1975年~1979年:村島忠一
  • 1979年~1991年:森川保治
  • 1991年~1995年:田中信英
  • 1995年~2003年:松田利治
  • 2003年~:吉田誠克(現職)

市議会

  • 会派構成
    • 市政会 - 12人(代表者:戸谷隆史)
    • 公明党 - 3人 (代表者:堂本正信)
    • 日本共産党 - 3人(代表者:太田 敦)
  • 運営(2007年5月9日現在)
    • 議長 - 朝井啓祐(市政会)
    • 副議長 - 泉尾安廣(市政会)
    • 監査委員 - 平郡正啓(市政会)
    • 議会運営委員会 8人 - 委員長:中谷修一(市政会)
    • 総務財政委員会 6人 - 委員長:西川繁和(市政会)
    • 民生文教委員会 6人 - 委員長:太田 敦(日本共産党
    • 環境建設委員会 6人 - 委員長:上田 浄(公明党
    • 清掃対策特別委員会 6人 - 委員長:萬津力則(市政会)
    • 財政健全化特別委員会 6人 - 委員長:友田順子(公明党

人口

大和高田市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より

大和高田市の人口推移

  • データ出典 奈良県統計課の調査による各年10月1日の人口。
  • 2007年10月1日現在 : 69,689人
  • 人口増加率(2002年→2007年) : -4.4%

人口は1999年をピークに減少傾向にある。

市名について

1948年の市制施行当初から「大和高田市」の名称が用いられているが、これは新潟県高田市(当時、現在は直江津市と合併し上越市)との混同を避けるためであった。この他に高田と名の付く自治体は岩手県陸前高田市広島県安芸高田市大分県豊後高田市などがあり、町村字地名などを含めると高田地名は全国に見られる。なお、「大和高田」の名称自体は、近鉄の「大和高田駅」が「高田駅」から改称された1941年より使用されていた。

ゴミ処理手数料未納問題

市の清掃工場に市内だけでなく、認められていない県外からの産業廃棄物を搬入しながら手数料を支払わない処理業者の存在が明らかになったものである。市と業者との話し合いは長く続いたが、裁判所による和解調停の結果、2004年6月になって月20万円235ヶ月賦、総計4,700万円を返還する和解案が提示された。この和解案に対する市議会での議論では、反対を主張する議員が過半を占めたものの、採決では和解案受諾が決議されている。

行政機関

消防

国・県の機関

市内および奈良県中南部の主要官公庁はほとんど西町・大中近辺に集中している。

国の機関

県の機関

  • 奈良県高田総合庁舎(大中)
  • 奈良県警察高田警察署(神楽)
  • 高田土木事務所(東中)
  • 中和労働会館(西町)
  • 高田旅券センター(幸町・オークタウン大和高田内)
  • 高田こども家庭相談センター(大中)
  • 高田しごとiセンター(西町)
  • 葛城広域行政事務組合(西町)
  • 京奈和自動車道用地事務所(根成柿)

司法

経済

産業

北葛城郡広陵町と並び繊維や靴下などの工業が発達し、中でもパンティストッキングの生産量は日本一である。しかしながら、近年の中国等からの格安繊維製品輸入の増大により、地場産業は存亡の危機にさらされている。

  • 産業別人口(2000年)
第1次産業 328人
第2次産業 12,036人
第3次産業 20,321人

企業

本社を置く企業

商業施設

市内の主な商業施設

かつて存在したスーパーマーケット

金融機関

証券会社

農業協同組合

高田支店(南本町)、陵西支店(市場)、天満支店(吉井)

日本郵政グループ

(※2014年6月現在)

日本郵便株式会社
  • 大和高田郵便局(神楽)- 集配局。
  • 大和高田築山郵便局(築山)
  • 大和高田日之出郵便局(日之出東本町)
  • 陵西(おかにし)郵便局(市場)
  • 大和高田旭北郵便局(旭北町)
  • 大和高田片塩郵便局(片塩町)
  • 大和高田曽大根(そおね)郵便局(甘田町)
  • 大和高田北本町(きたほんまち)郵便局(北本町)
  • 天満郵便局(根成柿)
  • 大和高田松塚簡易郵便局(松塚)
  • 大和高田東雲簡易郵便局(東雲町)
  • 大和高田出(いで)簡易郵便局(出)
ゆうちょ銀行
  • 大阪支店 オークタウン大和高田内出張所(幸町)(ATMのみ/ホリデーサービス実施)
この他簡易郵便局を除く各郵便局にATMが設置されており、大和高田・大和高田片塩の各郵便局ではホリデーサービスを実施。

姉妹都市・提携都市

報道機関

地上波放送局

ケーブルテレビ

  • KCN(近鉄ケーブルネットワーク株式会社)

新聞社

読売新聞大和高田通信部は香芝市にある。

地域

学校教育

小学校
中学校
高等学校
短期大学
その他の学校

社会教育

文化施設
  • さざんかホール
図書館
公民館
  • 大和高田市立中央公民館
  • 磯野中央公民館
  • 磯野町公民館
  • 出公民館
  • 陸西公民館
  • 奥田公民館
  • 北敷島町公民館
  • 蔵之宮公民館
  • 新田町公民館
  • 菅原公民館
  • 築山公民館
  • 出屋敷公民館
  • 土庫公民館
  • 中町公民館
  • 西坊城公民館
  • 東中公民館
体育施設

町名等

町名 読み 郵便番号 町名 読み 郵便番号
秋吉 あきよし 635-0053 曙町 あけぼのちょう 635-0012
旭北町 あさひきたまち 635-0036 旭南町 あさひみなみまち 635-0035
有井 ありい 635-0072 池尻 いけじり 635-0021
池田 いけだ 635-0077 礒野 いその 635-0093
礒野北町 いそのきたちょう 635-0094 礒野新町 いそのしんまち 635-0063
礒野東町 いそのひがしちょう 635-0061 礒野南町 いそのみなみまち 635-0062
市場 いちば 635-0074 いで 635-0043
今里 いまざと 635-0031 今里川合方 いまざとかわいほう 635-0032
内本町 うちほんまち 635-0087 永和町 えいわちょう 635-0083
大谷 おおたに 635-0076 大中 おおなか 635-0095
大中東町 おおなかひがしちょう 635-0091 大中南町 おおなかみなみちょう 635-0092
大東町 おおひがしちょう 635-0016 岡崎 おかざき 635-0073
奥田 おくだ 635-0052 勝目 かじめ 635-0042
春日町 かすがちょう 635-0067 片塩町 かたしおちょう 635-0085
甘田町 かんだちょう 635-0056 北片塩町 きたかたしおちょう 635-0084
北本町 きたほんまち 635-0097 蔵之宮町 くらのみやちょう 635-0044
材木町 ざいもくちょう 635-0011 幸町 さいわいちょう 635-0015
栄町 さかえまち 635-0064 三和町 さんわちょう 635-0014
昭和町 しょうわちょう 635-0013 東雲町 しののめちょう 635-0017
神楽 じんらく 635-0025 曽大根 そおね 635-0055
田井 たい 635-0041 田井新町 たいしんまち 635-0047
高砂町 たかさごちょう 635-0081 高田 たかだ 635-0022
築山 つきやま 635-0071 土庫 どんご 635-0002
中今里町 なかいまざとちょう 635-0037 中三倉堂 なかみくらどう 635-0045
南陽町 なんようちょう 635-0057 西坊城 にしぼうじょう 635-0058
西町 にしまち 635-0096 西三倉堂 にしみくらどう 635-0046
根成柿 ねなりがき 635-0051 野口 のぐち 635-0075
東中 ひがしなか 635-0065 東三倉堂町 ひがしみくらどうちょう 635-0034
日之出町 ひのでちょう 635-0022 日之出西本町 ひのでにしほんまち 635-0024
日之出東本町 ひのでひがしほんまち 635-0023 藤森 ふじのもり 635-0004
本郷町 ほんごうちょう 635-0082 松塚 まつづか 635-0001
南今里町 みなみいまざとちょう 635-0033 南本町 みなみほんまち 635-0086
吉井 よしい 635-0059 掲載のない場合 635-0000

団体・NPO

  • 大和高田商工会議所
  • 大和高田社会福祉協議会
  • 大和高田クラブ(社会人野球チーム)
  • 特定非営利活動法人青少年自立援助センターブルーム

交通

鉄道

路線バス

道路

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

神社

寺院

レジャー

観光

祭り・行事

  • 四季大祭
  1. 春・高田千本桜 - 高田川畔、大中公園一帯(4月第1週)
  2. 夏・高田活活(いきいき)祭り - 文化会館「さざんかホール」、馬冷池公園一帯(7月21日・22日)
  3. 秋・おかげ祭り - 竜王宮、片塩商店街(10月)
  4. 冬・高田御坊まつり - 専立寺、本町商店街(2010年は休止)
  • 奥田蓮取り行事(7月7日)
  • 天神社夏祭り(7月21日)
  • 天神社秋祭り - 「高田」「本町壱」「大和」の3台の地車だんじり)曳行(10月の体育の日を含む日曜日と月曜日) 
  • 天神社お渡り-数百年間続いている、時代装束にて天神社から長谷本寺まで神輿のお渡り(10月)

大和高田市出身の人物

大和高田市愛唱歌

大和高田市を舞台とした作品

  • 鉄道唱歌 第五集 関西・参宮・南海篇」(1900年11月)
    • 39. 高田わかれて右ゆけば 河内に走る線路あり
    • 40.右の窓よりながめやる 葛城山の南には 楠氏の城に名を挙げし 金剛山もつづきたり
  • 葛城みち」(司馬遼太郎
  • 竹内街道」(司馬遼太郎)

市外局番

参考文献・出典

  1. 1.0 1.1 財政統計研究所
  2. 『県政だより奈良 2008年10月号』2008年

外部リンク