字幕

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字幕(じまく)とは映画テレビ等の映像メディアで、題名・配役・解説・会話等の情報を文字を用いて表示する画面、もしくは文の総称。

字幕の種類・技術・技法

一般的な用語

タイトル (title)
一般の字幕を意味する語。ただし、字幕以外にも意味が多いため、単なる「タイトル」という語はあまり使われない。
キャプション (caption)
題名や説明等で用いる文章。字幕一般の意味で使うこともある。
スーパーインポーズ (super-impose, super-imposing method)
映画フィルムの映像技術用語の一つ。元来は複数のものを重ね合わせる意味で、映画フィルム上に字幕を書き込んだフィルムを載せて焼き付けたことから、こう呼ばれる。転じて、(フィルムに限らず)映像に図や文字や他の映像を重ねること、または重ねたもの。スーパーインポーズでつけられた字幕を字幕スーパーと呼ぶ。
テロップ (telop, television opaque projector)
元はオペークプロジェクタ商標。それから一般名詞化し、テレビ放送等の画面に文字や図を重ね書きする装置。もしくは重ね書きした文字や図。

翻訳関係

サブタイトル (subtitles)
字幕用語として使われる場合、音声や、外国語表示の内容を文字にしたもの。翻訳や、聴覚障害者対応、発言の意味を分かりやすくするためにつけられる。詳しくは後述。
日本語字幕
日本語による字幕。他国語のコンテンツを翻訳するか、日本語のコンテンツにつけられる。
中間字幕 (insert title)
サブタイトルと同様に音声の内容を文字にしているが、カットインする、つまり、映像を中断して暗転した画面に表示する。無声映画に使われ、トーキーの出現により姿が減った。

聴覚障害者関係

文字多重放送 (teletext)
テレビ・ラジオ放送の空き帯域を使って文字情報を放送する技術。主に字幕に使われるが、他の用途もある。
字幕放送
字幕に文字多重放送や、デジタル放送のストリームを使ったテレビ放送。ただし、外国語コンテンツの放送で、吹き替え放送に対する語として使うこともある。
クローズドキャプション (closed caption)
表示・非表示を切り替えることができる字幕。アメリカ合衆国の文字多重放送規格のことをさす場合もある。13インチ以上の受像機への対応が法律で(Television Decoder Circuitry Act)義務付けられているが、通常の受像では隠されている。ビデオのパッケージには"CC"と表示される。日本では字幕放送と同義で用いられることもある。
リアルタイムキャプション/リアルタイムキャプショニング(リアルタイム字幕)
生放送番組などに、リアルタイムで字幕をつけること。

クレジット関係

クレジットタイトル (credit titles)、クレジット (credit)
各種権利者・関係者の表示。スタッフ出演者著作権者などを表示する。
オープニングクレジット (opening credit)、エンディングクレジット (ending credit, closing credit)
コンテンツの最初と最後に表示されるクレジット。映画では、オープニングでは主要なクレジット、エンディングでは全てのクレジットが表示されることが多い。
ロール (roll)
画面内を下から上へ(縦書きでは左から右へ)流れる字幕。ロールとは巻物の意味で、かつては巻物に字幕を書いてそれを開くさまを撮影したことに由来する。
スタッフロール (staff roll)
スタッフ、あるいはクレジット全般を表示するロール。
エンドロール
エンドクレジットにロールを使ったもの。

劇場

字幕表示装置
劇場において、役者のせりふと同期して外国語や古語を表示する装置。舞台側面に設置されることが多い。最近は、観客席のシートの後ろに個別に字幕を表示する装置もある[1]

サブタイトル

字幕用語の場合、広義の字幕のうち、音声の内容を(必要なら翻訳して)文字にしたものを、サブタイトル(複数形でsubtitles) という。サブ (sub) と略す。

同様に、無声映画で音声の内容を表す字幕である中間字幕が画面の中央に表示されるのに対し、画面の下辺部 (sub) に表示されることからこう呼ばれる。ただし、まれに上辺部や、(縦書きできる言語では)左右辺部に表示されることもある。

本来の音声を何らかの理由で利用できない視聴者のために用意される。具体的な用途には以下のようなものがある。

翻訳

他言語の話者のために、翻訳して字幕にするものである。

翻訳字幕を付ける場合は、音声の内容以外に、映像に元からあった説明などの字幕や、被写体に書かれた文字なども、内容を理解するために必要ならば翻訳して表示される。

サブタイトルの表示に使われる技術は、メディアによって異なる。

  • 映画では、スーパーインポーズを使って、フィルムに直接書き込まれる。
  • テレビでは、かつて撮影にフィルムが使われていた時代には、映画同様スーパーインポーズが使われた。現在では、ビデオ編集技術でビデオ信号を加工する。
  • DVD以後の映像ディスクは、字幕専用の字幕トラックを使う。必要がなければ消したり、(用意されていれば)複数言語を切り替えたりできる。
  • 動画ファイルでは、Oggなど近年のマルチメディアファイルフォーマットは字幕ストリームを使える。ただし、AVIなどは、字幕ストリームをサポートしていない。

聴覚障害者対応

聴覚障害者のためにつけられる字幕である。

聴者健常者)のための字幕と異なり、必要があれば物音なども字幕として表示される。

テレビ放送では、字幕は聴者にとって視聴の妨げとなるため、文字多重放送や、デジタル放送のストリームを使って字幕が送られる。対応していない受像機では字幕は表示されない。ただし、聴覚障害者を視聴者に想定した番組([手話放送など)では、通常の(隠れていない)字幕を表示することもある。また、2000年ころから、NHKニュース(「NHKニュースおはよう日本」など)で、放送中の事前取材したニュース映像に映っている人の日本語による発言内容が、ほぼそのまま(省略部分を補い、方言訛りなどを修正しながら)字幕表示される場合が多くなった。

高齢者や聴覚障害者がテレビ放送から情報を得る時、音声情報のみであると聞き取れない場合があるため、テレビ放送画面で活字情報を提供(字幕放送)することで伝わる可能性が高くなる。現在では、テレビコマーシャル(花王の字幕付きテレビコマーシャルが2012年9月から、またライオンの字幕付きコマーシャルが2013年4月からトライアル放送が行われている。他にもパナソニックキヤノンも実施したことがある)にも字幕を付ける試みが行われている。

総務省において「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の充実に関する研究会」[2]が2006年(平成18年)10月から実施されている。2009年10月、平成20年〜平成29年までの字幕放送・解説放送の普及目標を定めた「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を策定、各放送局がスポンサーと共に推進中である[3]

その他

中国語は、地域によって発音の差が激しく、標準語(普通話)をリスニングできない者も多い。一方、書き言葉の差異は少なく、広い地域で標準語が理解される。このため、中国語圏の映像作品には、中国語の音声に対し中国語字幕が付いていることが多い。

音楽番組(主に地上波テレビ)やカラオケでは、歌詞が字幕で表示される場合がある。

語学学習者のために、字幕がつけられることもある。

出典

  1. 独立行政法人日本芸術文化振興会 理事長よりのご挨拶
  2. 総務省「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の充実に関する研究会」
  3. NEW MEDIA 「月刊ニューメディア」2013年2月号記事“字幕CM実施の環境整備へ総務省、民放、スポンサーが確実に動き出す”

関連項目