支笏湖

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支笏湖
所在地 日本の旗 日本
北海道石狩振興局管内)
位置
面積 78.48[1] km2
周囲長 40.4 km
最大水深 360.1 m
平均水深 265.4 m
貯水量 20.9 km3
水面の標高 247 m
成因 カルデラ湖
淡水・汽水 淡水
湖沼型 極貧栄養湖
透明度 17.5 m
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支笏湖(しこつこ)は、北海道千歳市にある淡水湖支笏洞爺国立公園に属し、日本最北の不凍湖となっている。

概要

約4.4万年前に支笏火砕流(Spfl)、支笏降下軽石(Spfa)を噴出した大噴火(総噴出量139.5DRE km3)によって形成された支笏カルデラに、水が溜まったカルデラ湖である。形成当初の形状は円形であったが、カルデラの縁に恵庭岳風不死岳が噴出したことにより、現在のようなくびれた形となった[2]

「日本最北の不凍湖」であるが、これは温かい水が湖の深部に残存していて水面を暖めるため、湖面の水温が下がりにくいので凍りにくくなっているためである。しかし、低温の日が続いた場合には結氷することがある。最近の全面結氷は2001年(平成13年)で、その前は1978年(昭和53年)まで遡る[3]

また支笏湖は、透明度の高さで有名な摩周湖バイカル湖に匹敵する透明度を有している。環境省の湖沼水質調査では何度も日本一に認定されている[4]。湖の北西には、北海道三大秘湖の一つであるオコタンペ湖がある[5]

地理

北海道南西部に位置し、湖の周囲は約40km、最大水深360m、平均水深265mである。国内では秋田県の田沢湖に次いで日本で2番目の深度となっている[6]

面積は琵琶湖19程(国内では8番目の大きさ)だが最大水深は3倍以上もあり、貯水量20.90km3は国内では琵琶湖に次いで2番目に多く、琵琶湖の貯水量の34にまで達する[7]

屈斜路湖に次いで日本で2番目に大きいカルデラ湖である。湖の北側にはいずれも活火山である、恵庭岳、南側には風不死岳(ふっぷしだけ)・樽前山の支笏三山がそびえる。また、モラップ・キムンモラップなどの低い山々にも囲まれている。

名前の由来

アイヌ民族は、支笏湖を「シコッペッ[8](支笏川、現在の千歳川)の水源の湖」の意で「シコットホ[9]」(シコツ川・その湖)あるいは「シコット[10]」(シコツ川・湖)と呼び[11]、改まった場合には「シコテムコ・エアン・パラト」(シコツ川の・水源・そこに・ある・広い湖)と称えていたという[12]。なお、支笏川は日本語で「死骨」に通じることから縁起が悪いとし、1805年(文化2年)に現在の千歳川に改名し、後に「千歳」の地名の由来となった[13][14]

なお、水深が深く、水底に枯木などがあるため一度沈んだら浮かんでこないなどを理由に、「死骨湖」であるという俗説もあるが、これは誤りである。

漁業

支笏湖漁業協同組合が第5種共同漁業権を有する[15]。1894年(明治27年)より阿寒湖から移入されたチップ(ヒメマス)の養殖事業を行っている。発眼卵は支笏湖以外での放流や養殖に使われる他、孵化した稚魚は支笏湖に放流もされる。成長した魚は組合員による漁獲のほか遊漁用として捕獲される[16]。なお、資源保護のため解禁期間は6月1日から8月31日までで、漁業者・遊漁者共通の禁漁区域が設定されている[17]

観光

  • 支笏湖ビジターセンター
  • 山線鉄橋(王子軽便鉄道の遺構。「洋紙の国内自給を目指し北海道へと展開した製紙業の歩みを物語る近代化産業遺産群」に認定[18]
  • 水中観光船
  • 支笏湖ボートハウス
  • 支笏湖観光センター
  • 美笛の滝
  • 苔の洞門
キャンプ場
  • 美笛キャンプ場
  • モーラップキャンプ場
  • ポロピナイキャンプ場
  • オコタン野営場

イベント

  • 支笏湖湖水まつり
  • 支笏湖紅葉まつり
  • 千歳・支笏湖氷濤まつり

水運

第二次世界大戦後、道路整備が進むまで湖周辺へのアクセスは船に限られたため、水運が盛んに行われていた。明治時代後期には御料林から切り出した木材をまとめた丸駒温泉や観光地へ向かう小船が、昭和時代になると恵庭鉱山千歳鉱山から産出した鉱石を搬出する鉱石運搬船が加わった。1955年、企業船組合が発足し、人送や観光目的の船着き場が現在の場所へ集約。現在の商店街や観光施設が集中する契機となった。1960年には遊覧船の運航権が三井観光開発に売却[19]。2014年現在は、加森観光グループの系列会社が運行を行っている[20]

交通

車を利用する場合
バスを利用する場合

支笏湖が登場する作品

映画
TVドラマ
小説
  • 草野唯雄 『支笏湖殺人事件』1984年。ISBN 978-4195677544。
  • 津村秀介 『定山渓・支笏湖殺人事件-寝台特急「エルム」の暗転』1997年。ISBN 978-4334724771。
  • 渡辺淳一『無影橙』
  • 桐野夏生『柔らかい頬』
ガイドブック
  • 大橋弘一 『自然ガイド 支笏・樽前』2002年。ISBN 978-4894532199。
歌謡曲

出典

脚注・出典

  1. 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積 (PDF)”. . 2015閲覧.
  2. 東京大学出版会 『日本の地形2 北海道』2004年。
  3. II章 支笏湖をとりまく環境の現状と変遷 (PDF)”. 日本水産資源保護協会. p. 20. . 2014閲覧.
  4. “湖沼の水質日本一に支笏湖 環境省調査で6年連続”. 苫小牧民報 (苫小牧民報社). (2013年12月26日). http://www.tomamin.co.jp/2013128464 . 2014閲覧. 
  5. 北海道三大秘湖は、阿寒のオンネトー・上士幌の東雲湖とオコタンペ湖である。また、阿寒のシュンクシタカラ湖・津別のチミケップ湖・東雲湖で北海道三大秘湖と言うこともある。
  6. 支笏湖 国土地理院 湖沼湿原調査
  7. 支笏湖学のすすめ その10 ― 北海道地質調査業協会 (PDF)
  8. アイヌ語ラテン翻字: si-kot-pet 「大きい・くぼみ・川」の意。
  9. アイヌ語ラテン翻字sikot-toho
  10. アイヌ語ラテン翻字sikot-to
  11. アイヌ語地名リスト ゴ~シブ P51-60P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). . 2017閲覧.
  12. 山田秀三 『北海道の地名』 北海道新聞社、1984年。
  13. 歴史散歩ちとせ”. 千歳市. . 2017閲覧.
  14. アイヌ語地名リスト セッ~ツキガ P71”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). . 2017閲覧.
  15. 支笏湖漁業協同組合とは 支笏湖漁業協同組
  16. ヒメマス増殖について”. 支笏湖漁業協同組合. . 2014閲覧.
  17. ヒメマス釣り・遊魚案内 支笏湖漁業協同組
  18. 近代化産業遺産認定リスト (PDF)”. 経済産業省. p. 7. . 2014閲覧.
  19. 原始の森と湖に・・・支笏湖丸駒温泉旅館80年誌p18(丸駒温泉旅館1995年刊)
  20. 支笏湖観光船・支笏湖観光運輸ホームページ(2014年12月7日閲覧)

関連項目

外部リンク