散乱円盤天体

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ファイル:TheKuiperBelt 100AU SDO.svg
太陽系外縁天体の軌道要素と大きさをプロットしたもの。赤が散乱円盤天体。

散乱円盤天体(さんらんえんばんてんたい、Scattered disk object、SDO)は、海王星の重力によって、エッジワース・カイパーベルトから外側に散乱させられた太陽系外縁天体の名称である。

概要

散乱円盤天体の軌道要素は非常に幅が大きい。近日点距離はおおむね約30~40 AU(ほとんどは約30 AUを大きく超えないが、20 AU以下や50 AU近いものもある)、遠日点ははるか遠く(約65~数百 AU)にある。すなわち、近日点の付近ではエッジワース・カイパーベルト内に位置するが、軌道の大部分はその外側に位置する。離心率は0.3~0.7程度(最大のものでは0.9以上)、軌道傾斜角は0~30°がほとんどで、公転周期は350年以上。

最初に散乱円盤天体に分類されたのは1996年マウナケア天文台群によって発見された (15874) 1996 TL66であるが、最初に発見されたのは (48639) 1995 TL81995年スペースウォッチ)である。その他、代表的な散乱円盤天体に外縁天体としては最も大きい (136199) エリス(84522) 2002 TC302など、珍しい例としては小さな離心率と大きな軌道傾斜角 (e=0.11, i=46.8) を持つ2004 XR190や(ただし散乱円盤天体ではない可能性がある)、公転周期が1万年を超える (308933) 2006 SQ372(87269) 2000 OO67などがある。 太陽から遠く暗いため、未発見の大きなものが多数あると推測されている。

散乱円盤天体をエッジワース・カイパーベルト天体 (EKBO) に含むか否かについては見解が分かれるが、海王星と軌道共鳴の関係にあると推測されている天体のうち、最外部の天体(公転周期が海王星との比率で2:5や3:8など)には散乱円盤天体と区別しにくいものがあることは事実である。なお、近日点がエッジワース・カイパーベルトの外にある E-SDO (Extended Scattered Disk Object, Scattered-Extended Object) または DDO (Distant Detached Object) の存在が語られるようになって来ているが、E-SDOはEKBOには含めない。(90377) セドナは便宜上、散乱円盤天体に含まれることもあったが、むしろE-SDOに含まれるべきであろう。

関連項目

  • ケンタウルス族 - 散乱円盤天体とは逆に、エッジワース・カイパーベルトから内側に散乱させられたもの。
  • ダモクレス族 - 離心率や軌道傾斜角が極めて大きい小天体。近日点は木星より内側で、遠日点は散乱円盤天体並みかそれ以上。
  • 惑星X - 海王星より外側にあると仮定される惑星サイズの天体。散乱円盤天体の分布をこの惑星Xに関連付ける説もある。


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