新宿御苑

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新宿御苑(しんじゅくぎょえん)は、東京都新宿区渋谷区に跨る環境省所管の庭園である。

概要

もともとは江戸時代に信濃高遠藩内藤家下屋敷のあった敷地である。 1879年明治12年)に新宿植物御苑が開設され、宮内省(現在の宮内庁)の管理するところとなったが、第二次世界大戦後は一般に公開され、現在は環境省管轄の国民公園として親しまれている。2006年平成18年)に、「新宿御苑」の名を冠してから100周年を迎えた。開園100周年事業の一環として、絶滅が危惧されている植物の保護センターを設置することが計画されている。

例年4月には内閣総理大臣主催の「を見る会」、11月上旬には環境大臣主催の「菊を観る会」が開催される。大正天皇昭和天皇大喪の礼が執り行われた場所でもある。

隣接する東京都立新宿高等学校の敷地は、1921年(大正10年)にこの新宿御苑の土地の一部が東京府へ下賜されたものである。

歴史

  • 1872年 - 農業振興を目的とした内藤新宿試験場となる。
  • 1879年5月 - 皇室の御料地、農園の新宿植物御苑となる。
  • 1906年5月 - 新宿御苑が開園する。
  • 1917年4月 - 初の観桜会の開催(戦後は「桜を見る会」)
  • 1927年2月 - 大正天皇大喪の礼が行われる。
  • 1929年11月 - 初の観菊会の開催(戦後は「菊を観る会」)
  • 1945年5月 - 空襲を受け施設がほぼ全焼する(旧御休所と旧御凉亭は現存)
  • 1949年5月 - 国民公園となり一般に利用が開放される。
  • 1989年2月 - 昭和天皇大喪の礼が行われる。
  • 2006年4月 - 植物園自然保護国際機構(BGCI)による「植物園の保全活動に対する国際アジェンダ」に登録。
  • 2012年11月 - 大温室がリニューアルオープン。
  • 2014年9月 - 9月4日に代々木公園で採取された蚊からデング熱ウイルスを検出したことから、環境省は、9月7日より臨時閉園を行い、蚊の捕獲調査を実行。その結果、同月19日に園内にデングウイルスを持った蚊を採取した。なお、新宿御苑の利用者からは感染者は出ていない。その後、外周部の施設は10月9日から、御苑全体は10月17日から開園を再開[1]

見所・イベント

御苑内は約58ヘクタールのスペースに「日本庭園」、「イギリス風景式庭園」、「フランス式整形庭園」を組み合わせており、樹木の数は1万本を超える。日本さくら名所100選に選定されており、65種・約1300本のがあり、春には花見の名所として大勢の観光客で賑わう。ソメイヨシノが見ごろを迎える3月下旬から4月上旬にかけても多くの来園者を迎えるが、一般財団法人国民公園協会ではイチヨウを御苑の桜の代表品種として位置付けており、イチヨウ等の多品種のヤエザクラが見ごろを迎える4月中旬から下旬を御苑の桜のベストシーズンと位置付けている[2]

「玉藻池」を中心とする回遊式日本庭園は、内藤家下屋敷の庭園『玉川園』の遺構であり、安永元年(1772年)に完成した。

多くの温室植物を集めた大型温室は1958年(昭和33年)に完成し、当時としては東洋一の規模であった。2007年(平成19年)5月13日に建て替えのため閉館し、2012年(平成24年)11月20日にリニューアルオープンした。

来園者が森に親しむための「母と子の森」も作られている。

文化財

御苑内の施設は1945年(昭和20年)5月の空襲で大きな被害を受けたが、戦災を逃れた建造物も残る。

  • 旧洋館御休所 天皇や皇族の休憩所として1896年(明治29年)に建てられた洋風木造建築で、国の重要文化財に指定されている。19世紀アメリカで流行したスティックスタイルがベースで増築を繰り返している。昭和24年から平成6年までは管理事務所として使われたが平成13年には元の姿(大正13年当時)に戻され一般公開されている[3]

御苑の守衛などが使用していた旧新宿門衛所、旧大木戸門衛所など昭和初期の建造物も見ることができる。

イベント

桜を見る会
毎年4月に内閣総理大臣主催で開催される。ヤエザクラの開花時期に合わせて4月中旬頃に開催されることが多いが年によって前後し、遅い年は葉桜になっていることもある[4][5]。政財界や文化・芸能、スポーツ界など各界の著名人が1万人前後招待され、一般利用者は入園できない(当該日は、一般開園時間が遅れる)。戦前は皇室主催の観桜会として開催され、始まりはそれまでの会場であった浜離宮から変更された1918年(大正6年)に遡る。
菊を観る会(菊花壇展)
毎年11月1日から15日まで、御苑内の日本庭園にて環境大臣主催で開催される。期間中は特別開館期間となり休園日もなく入園が可能。130年以上続く菊花壇展のルーツとなったのは1878年(明治11年)、皇室関係者向けの「菊花拝観」を宮内庁が主催して赤坂の仮皇居で開催。1904年(明治37年)より新宿御苑でも菊の栽培、1929年(昭和4年)から観菊会が行われた[6]。同展示会の特色ある展示物のひとつである菊花壇「大作り花壇」とは、1884年(明治17年)より作られており[6]、1株の菊を数百輪集めて、半円形の形状に仕上げて咲かせた技法の名称。他に回遊式の日本庭園の景観・順路に沿ってさまざまなテーマに合わせて上家(うわや)の建物内に趣向を凝らした花壇が展示されている。
森の薪能
毎年10月の夜に新宿区観光協会と財団法人国民公園協会新宿御苑の共催で開催される。伝統芸能の普及などを目的とし、これまでに観世・金春・宝生・喜多と各流派のが行われている。始まりは1985年(昭和60年)だが、御苑内に舞台を設置するため雨天の場合中止となり、通算すると実際の開催は2年に1度をやや上回る程度である。

規模

  • 面積約58.3ha
  • 外周約3.5km
  • 標高26m - 36m(標高差11m)

周辺駅

データ

  • 入園時間 - 9:00 - 16:00(閉園は16:30)
    (茶室は 10:00 - 16:00)
  • 休園日 - 毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)と年末年始(12/29~1/3)
    (3月25日から4月24日と11月1日から15日については、月曜日も開園)
  • 入園料 - 大人(高校生以上)200円、小中学生50円、幼児無料
    各種割引などあり(いずれも2010年4月現在)

脚注

  1. 新宿御苑の開園について 新宿御苑公式サイト
  2. 新宿御苑の桜をもっともっと楽しもう!”. 一般財団法人国民公園協会. . 2016閲覧.
  3. 「明治の洋館24選」pp28-31
  4. 新宿御苑で桜を見る会 首相、拉致問題「前進に全力」”. 産経ニュース. 産経新聞 (2018年4月21日). . 2018閲覧.
  5. 葉桜を前に「桜を見る会」、高木美帆選手ら参加 : 政治”. 読売新聞 (2018年4月21日). . 2018閲覧.
  6. 6.0 6.1 環境省発行元・2007年度菊花壇展リーフレット

参考文献

「明治の洋館24選」淡交社 2009年

関連項目

外部リンク

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