生命

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生命(せいめい、: life: vita ウィータ)

生物が示す基本的な特質と考えられているもの。自己を維持するための代謝,自己増殖としての成長,同型のものを再生産する複製,外界への反応性と適応性などの特質をあわせもつ物質複合体あるいは個体の状態をいう。生命をさらに特徴づけるものは,有機分子を変換し原形質,細胞,器官などから生体全体というように連続的に大きな単位へと組織化してゆく点である。生物は代謝により外界から物質を取り込み,生体の構成物質を絶えず更新している。これは主として原形質の合成と破壊の過程である。成長は生体の大きさが増大するが,これは通常,原形質の破壊速度よりも合成速度の方が高いために起こる。複製は最も顕著な特質であり,いちばん基本のレベルでは一つの細胞が二つの細胞へと分裂する。この過程で核酸で構成される遺伝子によって遺伝情報が伝達される。遺伝子自体の複製により,生体の多様な特徴の指令が次世代へ伝えられる。反応性と適応性は,環境の変化に応じて生物が自己を変える能力があることを意味する。この二つの特質は自然選択過程の基本的な決定因子である。自然選択を通じて生物の遺伝的特徴は長い時間と多くの世代を経て進化する。

生命の本質に関する考察は,歴史的に生気論機械論的概念との間で分かれてきた。生気論では,生物を非生物から区別し生命の根底にある本質を形成するなんらかの「生命力」の存在を認める。機械論では,生命が特質としてもつあらゆる現象は基本的な化学と物理学の法則に従う処理過程と変換現象で説明できるとし,究極的に生物は原子と分子で構成されたものであってそれ以上のものではないと主張する。

原核生物である細菌類藍藻類は地球上でもっとも古い生命形態と考えられている。南アフリカ共和国北東部トランスバール地方のフィグツリー層から発見されたこれらの化石は,年代測定により 35億年前のものとされた。地球自体の年齢は約 46億年と考えられているので,この化石は,生物が地球の誕生から数億年以内に出現したことを示している。神による無生物からの生命の創造という宗教的なものから,一連の化学反応によって生命が初期の地球上に誕生したという科学的な理論まで,生命の起源に関する仮説は数多くある。近年の実験結果からの仮説によれば,初期地球上で豊富だったメタン,アンモニア,水蒸気といった無機化合物が,大気中の放電と紫外線放射をエネルギー源としてアミノ酸などの単純な有機分子へと形づくられていったとされる。こうして生じた単純なアミノ酸がどのようにして複雑に組織化された自己複製システムしての生命となったのかという問題は,まだ完全には解明されていない。




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