UDトラックス

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ファイル:UD Trucks Quon CW.jpg
主力製品のQuon(2代目)

UDトラックス株式会社(ユーディートラックス)は、日本大型車専門(トラックバス)の自動車メーカーである。スウェーデン多国籍企業ボルボ・グループの子会社であり、ボルボグループ製品の輸入もおこなっている。

法人格としては、2007年1月30日エヌエー株式会社として設立され、2010年4月9日ボルボ・グループ・ジャパン株式会社への社名変更をへて2014年1月1日に現社名に変更した法人であり、同社と合併した(旧)UDトラックス株式会社は、2010年2月1日に日産ディーゼル工業株式会社(にっさんディーゼルこうぎょう)から社名変更した法人である。

なお、日産ディーゼル工業は日産自動車傘下であったが、2007年にボルボの子会社となり資本関係が消滅。ただしその後も業務提携は継続していた。日産自動車製の商用車に搭載されるディーゼルエンジンを生産していたこともある。前身は1950年5月1日民生産業から分社された民生デイゼル工業であり、1953年の日産自動車の資本参加をへて1960年日産ディーゼル工業へ社名変更した。旧会社時代のUDエンジン搭載車については民生産業も参照。

概要

ファイル:Minsei diesel.jpg
UD MINSEIの文字がみられる
1955年(昭和30年)の広告

主力商品はトラックで、大型トレーラーの国内市場占有率筆頭である。普通トラック国内シェアは日野自動車いすゞ自動車三菱ふそうトラック・バスについで第4位。

このほか、日本におけるボルボトラックスボルボペンタボルボ建設機械の各事業も当社にて展開している。

旧会社名の略称「日産ディーゼル」や通称の「ニッサンディーゼル」とともに、旧社名当時から「UD」(ユーディー/ユーデー)の名称でも広く親しまれている。

かつてGM式の単流掃気方式2サイクルディーゼルエンジンUniflow Scavenging Diesel Engine」を製造し、その頭文字をエンジン商標としていた。UDの商標は2サイクルエンジン製造終了後も継続して使用され、現在はUDを "Ultimate Dependability"(究極の信頼)の頭文字に由来するとしている。

旧社名時代には自動車業界内では「日デ」(ニチデ)と略されていた。1972年まで大型バスを、1976年まで大型トラックをそれぞれ製造していた日産自動車の車種と区分を明らかにするため、日本自動車工業会自動車雑誌が主に用いていた。なお、鉄道ジャーナル誌など一部では「日産ディ」の表記も見られる。

また運輸事業の現場では、単に「日産」の通称も用いられていた[1]

日産グループからボルボグループへ

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ボルボグループの協力下で新興国に特化して製造されるQuester

1999年ルノーは日産自動車との資本提携時に日産ディーゼルへ出資して株主名簿記載順位第2位となり、ルノー指揮下でリストラを進行した。

2003年3月、日産ディーゼル車架装のおよそ6割を担っていた富士重工業伊勢崎製作所(2003年にスバルカスタマイズ工房として独立、2011年より桐生工業伊勢崎工場)がバス車体製造事業から撤退。それにともない、バスボディの調達先を西日本車体工業へ集約した。

2005年3月、経営再建が終了してルノー所有株式が放出され、再び日産自動車傘下になる。

2006年3月、筆頭株主の日産自動車が保有する株式19パーセント中13パーセントをスウェーデンのトラックメーカーボルボへ売却し、ボルボが筆頭株主になる。同年9月、残る6パーセントもボルボへ売却されて日産自動車と資本関係は消滅した。「日産ディーゼル」の会社名は変更しないと発表された。

2007年2月20日、ボルボは完全子会社化を目的として株式公開買付けを実施すると発表し、日産ディーゼルも賛同を決議した。同年7月23日、買付け成立にともない東京証券取引所上場廃止となった。

2009年11月、2010年1月1日付で日本ボルボを吸収合併し[2]、日産ディーゼル子会社クリエイトセンター、ならびに同じく子会社でシステムブレーンの流れをくむボルボ・インフォメーション・テクノロジー・ジャパン(ボルボITジャパン)も同日付で吸収合併する[3]ウェブサイトにて発表される。

2010年1月19日付の各紙朝刊で、同年2月1日に「UDトラックス」へ社名を変更すると報道されるが、「2月1日の社名変更は事実だが、新社名は1月26日に発表する」とウェブサイト上で発表[4]。同年1月26日に「UDトラックス」への社名変更が2月1日付けで発表され、ブランドも「UDトラックス」に統一された[5]

2014年、ボルボ・グループ・ジャパンと合併、同社を存続会社とし商号は「UDトラックス」とする[6]

バス事業の変遷

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国内市場では最終期に製造されていたスペースランナーA(LKG-AP系)

バス事業に関しては、2007年より三菱ふそうとバス製造事業における業務提携を開始。2007年5月のスペースランナーAならびに三菱ふそう側でのエアロスター-S販売開始以後、同社との相互OEM供給が開始された。

2009年1月21日、西日本車体工業が同年8月31日をもって車体製造終了および会社解散を決定した(のち解散日は翌2010年10月31日に延期)。UDトラックスが西日本車体工業へのバス車体製造発注を打ち切った事が理由であった[7][8]。これを受け、同年8月31日、三菱ふそうとバス事業に関する合弁会社設立に向け協議開始の覚書を締結。相互OEM供給を事実上終了し、UDトラックス販売の車両は全て三菱ふそうからのOEM車種になった。

西日本車体工業解散3日前の2010年10月29日、三菱ふそうとの合弁会社設立協議打ち切りと、相互OEM供給終了が発表された[9][10]。これらの結果、自前のバス車体製造施設を保有していないUDトラックスは、事実上バス事業から撤退することとなり、2011年にはバスの生産と販売が休止された[11]

のちに中国製ボルボバスの輸入を模索するも、日本国内の道路運送車両法対応費用と売り上げ予測が釣り合わずに断念し、完全な撤退を決めたと2012年9月に報じられた[11]

現在バス車両のアフターサービスや部品供給は、西日本車体工業の事業を引き継いだ西鉄車体技術(旧社名・共栄車体工業)が行っている[9][12]

2014年3月19日、ボルボグループは新興国市場向けの新規開発バスのブランドとして、「日本東南アジアで強固なブランド力を有したUD」バスの名を「UD Buses」として用いると発表している。当初はインドで製造・販売し、バンガロールのバス工場を輸出ハブとする[13]が、日本国内でのバス事業再開の計画はないとしている[14]

沿革

新旧2法人をわけて記述する。

旧法人

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民生デイゼル T80G型
  • 1950年5月1日 - 民生産業株式会社の自動車部門が分社し、民生デイゼル工業株式会社として発足する。
  • 1953年12月 - 日産自動車株式会社が資本参加する。
  • 1955年
  • 1960年12月 - 商号を日産ディーゼル工業株式会社 へ変更する。
  • 1971年 - 本店を埼玉県川口市から同県上尾市大字壱丁目1番地に移転。
  • 1979年 - 「NISSAN DIESEL」のロゴを変更。同年登場のレゾナより採用。(バスは1982年より採用)
  • 1987年 - 株式会社リビングサービス(のちの株式会社テクサス)を設立[17]
  • 1995年 - CI採用。楕円に「UD」と入ったエンブレムが登場。同時に「NISSAN DIESEL」のロゴを再び変更。
  • 2000年1月 - 日産ディーゼル販売株式会社の営業を譲受する[16]
  • 2002年2月 - キャブに高品位塗装する「純正カスタムペイント」サービスを開始する。
  • 2003年4月 - 新エンブレム登場。楕円に「UD」と入ったエンブレムから新タイプ(「UD」と読めるのは共通だが、幾何学的デザインとなった)に変更。
  • 2004年6月 - 中型車のエンジンをトラックは6月、バスは8月以降順次日野自動車株式会社からのOEMへ変更し、電気二重層コンデンサを用いたパラレルハイブリッド方式の「キャパシタハイブリッド」技術を日野へ供与する。
  • 2005年6月13日 - 自社開発の尿素SCR(選択的触媒還元)システム・「FLENDS」に関する技術を三菱ふそうトラック・バス株式会社にも供与し、両社の技術提携を発表する。
  • 2006年
    • 3月27日 - ボルボが日産自動車より全株式数の13パーセントに当たる4000万株を取得して筆頭株主になる。
    • 9月28日 - ボルボが主要株主から優先株式、日産自動車保有残株の全てで全株式数約6パーセントに当たる1800万株を、それぞれ取得して日産自動車との資本関係が消滅する。
  • 2007年
    • 3月29日 - エヌエー株式会社が株式公開買い付けを実施し、全株式数の96パーセントに当たる約2億9千万株を取得して当社の親会社となる。
    • 5月21日 - 三菱ふそうエアロスター-Sの販売開始により、2006年7月13日に発表された三菱ふそうトラック・バスとの相互OEM供給[18]が開始され、大型ノンステップバスや中型バスは日産ディーゼルが製造して三菱ふそうへ、大型観光バスや大型ワンステップバスなどは三菱ふそうから日産ディーゼルへ、バス用エンジンも相互に供給する。同時に日野製エンジンはトラック向けのみ採用継続になる。
  • 2008年1月1日 - 組織再編。一部事業をボルボグループへ統合[19]
  • 2009年
    • 1月1日 - 直系の販売会社を日産ディーゼルトラックス株式会社(のちのUDトラックスジャパン株式会社)に統合して発足させる。
    • 7月1日 - 子会社の日産ディーゼルロジコム株式会社を合併[20]
    • 8月31日 - 三菱ふそうトラック・バス株式会社とバス事業に関する合弁会社設立協議開始の覚書を締結[21]し、バスの企画・研究開発・生産・販売の事業を両社から合弁会社へ移管統合するため協議を進める。
    • 11月1日 - ボルボの完全子会社である日本ボルボ株式会社の全株式を取得し完全子会社とする[2]
  • 2010年
    • 1月1日 - 子会社の株式会社クリエイトセンターボルボ・インフォメーション・テクノロジー・ジャパン株式会社[3]、ならびに日本ボルボ株式会社[2]を吸収合併する。
    • 2月1日 - (旧)UDトラックス株式会社へ商号を変更する。以降エンブレムを楕円に「UD」のマークと「UD TRUCKS」の英文字に変更。
    • 2月15日 - ボルボ製大型トラックを大手企業へ向け販売開始する。
    • 8月24日 - 西日本車体工業製のバス最終生産車を出荷し、以後(旧)UDトラックス株式会社のバスは三菱ふそうからOEM供給[22] される。
    • 10月29日 - 三菱ふそうトラック・バスとのバス事業に関する合弁会社設立協議と交渉を終了[9][10]
    • 10月31日 - 西日本車体工業が解散[8][7]
  • 2011年
  • 2012年 - 国内でのバス事業再開を断念したと発表[11]
  • 2013年
  • 2014年1月1日 - 子会社のUDトラックスジャパン株式会社とともにボルボ・グループ・ジャパン株式会社に合併し解散[6]

現法人

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UDトラックス Kazet
三菱ふそうトラック・バスからOEM供給された小型トラック
ファイル:UD trucks Condor (5th Gen).png
UDトラックス Condor
いすゞ自動車からOEM供給された中型トラック
  • 2007年
    • 1月30日 - ボルボの資産管理子会社で現在の存続会社であるエヌエー株式会社が設立。
    • 3月29日 - 日産ディーゼル工業株式会社の株式公開買い付けを実施し、全株式数の96パーセントに当たる約2億9千万株を取得して筆頭株主となる。
  • 2010年4月9日 - ボルボ・グループ・ジャパン株式会社に商号変更。
  • 2014年
    • 1月1日 - (旧)UDトラックス株式会社とUDトラックスジャパン株式会社を合併。(新)UDトラックス株式会社に商号変更する[6]
    • 3月19日 - インドでUDブランドのバスを製造すると発表[13]する。
    • 4月1日 - ボルボ・ロジスティクス・コーポレーション・ジャパン株式会社を合併[27]
    • 6月25日 - 三菱ふそうトラック・バスからの小型トラックOEM供給に合意する。
  • 2015年7月10日 - 本社新社屋が竣工。
  • 2016年2月 - いすゞ自動車株式会社からの中型トラックOEM供給に合意する。

生産拠点

かつての生産拠点

  • 鴻巣工場(埼玉県鴻巣市
    • エンジン部品等の鋳造
    • 2015年1月にユニキャリア傘下の「グローバルコンポーネントテクノロジー」に売却し、同社鴻巣工場となっている。
  • 羽生工場(埼玉県羽生市

車種一覧

現行車種

トラック

バス

2014年3月19日にバス事業に再参入し、インドをはじめとする成長市場で販売を行っている[13][28][29]

  • SLF(新興国向け大型路線バス。インドで発売。)
  • BRT(新興国向け連節路線バス。インドで発売。)

産業エンジン

その他

絶版車種

発売順に掲載する。

バス

前述のとおり、日本国内においては2010年10月29日でバスの車種全ての販売が終了し、2011年に生産も終了している[11]

トラック

産業エンジン

その他

販売会社

2010年の旧法人のUDトラックスへの変更に伴い、連結決算対象の3社(子会社1、持分法適用2)及び北海道販売は連動して社名を変更した[30][31]。その後、岩手・栃木も変更し、現在は群馬のみが「日産ディーゼル」を含む名称となっている。また、販売会社であるUDトラックスジャパンについては前述のとおり旧法人の新法人への合併の際にともに合併しており、現在は当社で直営している。

宣伝・広告

  • テレビCMは関西テレビ制作時代劇などにスポンサーを付いており、コンドルのCMを主に放送していた。1990年代以降はしばらくテレビCMは放映していなかったものの、2004年のクオン登場時から2008年までテレビ埼玉を中心にクオンのCMを放送していた。2018年5月14日からテレ玉で放送している「熱夏の足跡」で10年ぶりにテレビのスポンサーに付く。
  • ラジオCMはNACK5の「SUNDAY LIONS」などで流していた。
  • 書籍・雑誌広告はバスラマ・インターナショナルなどに書籍・雑誌の広告を出していた。また、西武バスの車内広告下部などにも当社の広告が入ったものが存在した。

脚注

  1. 大阪市交通局発行の「大阪トラフィック・ログ」大阪市営バス保有車両一覧表では「日産」、三菱ふそうトラック・バスも「三菱」と記されている
  2. 2.0 2.1 2.2 [1]
  3. 3.0 3.1 [2]
  4. 当社の社名とブランドに関する報道について - 日産ディーゼル2010年1月19日付プレスリリース
  5. 日産ディーゼル工業、会社名の変更とブランド名の統一 - 日産ディーゼル2010年1月26日付プレスリリース
  6. 6.0 6.1 6.2 UDトラックス、関連2社と合併 14年1月
  7. 7.0 7.1 「子会社の解散に関するお知らせ」の一部変更に関するお知らせ (PDF)”. 西日本鉄道 (2010年6月14日). . 2017閲覧.
  8. 8.0 8.1 子会社の解散に関するお知らせ (PDF)”. 西日本鉄道 (2010年1月21日). . 2017閲覧.
  9. 9.0 9.1 9.2 バス事業に関する合弁会社の設立協議打ち切りのお知らせ”. UDトラックス (2010年10月29日). . 2017閲覧.
  10. 10.0 10.1 UDトラックス社とのバス事業に関する合弁会社の設立協議交渉終了について”. 三菱ふそうトラック・バス (2010年10月29日). . 2017閲覧.
  11. 11.0 11.1 11.2 11.3 11.4 UD、バス事業撤退 国内市場縮小 希望退職700人募る - 日本経済新聞電子版2012年9月17日(全文は会員のみ公開)
  12. 西日本車体製バスボディのアフターサービス体制について 2010年8月25日 UDトラックス株式会社 ニュースリリース
  13. 13.0 13.1 13.2 Volvo Group introduces UD buses”. Volvo Buses India (2014年3月19日). . 2014閲覧.
  14. バスラマ・インターナショナル No.143 P.67 2014年4月 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-143-6
  15. UD型エンジンとは、どんなエンジン? : 福山自動車時計博物館
  16. 16.0 16.1 UD Trucks - UDトラックスの沿革
  17. 17.0 17.1 [3]
  18. 日産ディーゼル、三菱ふそう バスの相互OEM供給に関し基本合意 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2006年7月13日付共同プレスリリース
  19. [4]
  20. [5]
  21. 日産ディーゼルと三菱ふそう、バス事業における協力を拡大 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2009年8月31日付共同プレスリリース
  22. 最終生産車は西鉄バス壱岐自動車営業所配属の6265号車(スペースランナーRA)。バスラマ・インターナショナルSPECIAL10 西工の軌跡(ぽると出版) 2010年9月発行 ISBN 978-4-89980-017-0 P.9
  23. “子会社の異動を伴う出資持分譲渡に関するお知らせ” (プレスリリース), プレス工業, (2011年8月4日), http://www.presskogyo.co.jp/files/news/2011/110804.pdf . 2018閲覧. 
  24. [6]
  25. “新興国市場向け新大型トラック「クエスター」を発表” (プレスリリース), UDトラックス, (2013年8月26日), http://www.udtrucks.com/ja-jp/news-and-media/press-releases/japan/2013/20130826-1 . 2013閲覧. 
  26. “様々な顧客ニーズに応える新大型トラック「クエスター」” (プレスリリース), UDトラックス, (2013年8月26日), http://www.udtrucks.com/ja-jp/news-and-media/press-releases/japan/2013/20130826-2 . 2013閲覧. 
  27. [7]
  28. Volvo Group introducing UD bus range
  29. In the city
  30. [8]
  31. [9]

関連項目

外部リンク