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安息香酸は、体内に取り込まれると肝臓にて代謝され馬尿酸となり尿として排泄される。
 
安息香酸は、体内に取り込まれると肝臓にて代謝され馬尿酸となり尿として排泄される。
 
== 安全性に関する議論 ==
 
[[2007年]]、英国食品基準庁は食品添加物と[[注意欠陥・多動性障害]]との関係を調査する為に[[二重盲検法]]による広域スクリーニングを実施した結果、数種類の合成着色料である[[タール色素]]と、合成保存料の安息香酸ナトリウムを同時に摂取した群に相関を認めたという研究報告があり<ref>Donna McCann et al "Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial" [[ランセット|Lancet]], 370(9598), 2007 Nov 3, pp1560-7. PMID 17825405</ref><ref>Schab DW, Trinh NH, "Do artificial food colors promote hyperactivity in children with hyperactive syndromes? A meta-analysis of double-blind placebo-controlled trials"] ''Journal of developmental and behavioral pediatrics'' 25 (6), 2004 Dec, pp423-34. PMID 15613992</ref>、注意欠陥・多動性障害の子供は、安息香酸を保存料として使用されている食品は避けたほうがいいと勧告している<ref>[http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2007/sep/foodcolours Agency revises advice on certain artificial colours] '''(英語)''' (Food Standards Agency)</ref>。しかし、欧州食品安全当局([[EFSA]])は同じ研究報告を評価し、観察された影響の臨床上の意義が不明なことや、研究結果の一貫性の無さ、小さなエフェクトサイズの意義が不明なこと、[[用量反応性]]の情報がないこと、食品添加物の行動への影響を誘発させる生物学的メカニズムが考えられないことを挙げ、ADIを変更する根拠にはならないとしている<ref>[http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178694645855.htm EFSA evaluates Southampton study on food additives and child behaviour] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20081201112536/http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178694645855.htm |date=2008年12月1日 }}</ref>。
 
 
ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) の報告によれば、清涼飲料水中に安息香酸と[[アスコルビン酸]]が共存する場合には微量の[[ベンゼン]]が生成する可能性があり、生成量は [[水素イオン指数|pH]]、温度、他の不純物(主に[[金属]][[イオン]]が影響するものと思われる)、[[紫外線]]の影響を受けるという<ref>
 
{{PDFlink|[http://www.bfr.bund.de/cm/208/hinweise_auf_eine_moegliche_bildung_von_benzol_aus_benzoesaeure_in_lebensmitteln.pdf BfRによる原著文献(ドイツ語)]}}</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2006/foodinfo200605.pdf P30に国立医薬品食品衛生研究所安全情報部による日本語の摘要]}}</ref>。
 
 
ベンゼンの曝露は各種の[[悪性腫瘍|ガン]]や骨髄性[[白血病]]のリスクを高めるが、試験結果によればベンゼン濃度は最大でも 20 [[ppm|ppb]] 程度に留まり、BfRも現時点でのリスクは評価できないほど小さいとしている。
 
 
なお、ベンゼンの摂取許容量(時間加重平均濃度 1 ppm、40年曝露での白血病リスク増加はみとめられなかった)を定量的に考慮すると、直ちに健康被害が発生するとは考えづらい。
 
  
 
== 使用基準 ==
 
== 使用基準 ==

2019/4/28/ (日) 08:13時点における最新版


安息香酸(あんそくこうさん、: benzoic acid: Benzoesäure)は示性式 C6H5COOH の芳香族化合物であり、特に芳香族カルボン酸である。ベンゼン水素原子1個がカルボキシ基置換された構造を持つ。水に溶かすと酸性を示し、pKa は 4.21 である。

安息香酸のカルボキシル基に対してオルト位の水素原子がヒドロキシル基に置換されると、サリチル酸となる。

抗菌静菌作用があるので、水溶性のナトリウム塩、安息香酸ナトリウム (sodium benzoate) などは清涼飲料等の保存料として添加されている。酸型保存料の一種。殺菌作用はない(既に細菌などの増殖したものに対しては無効)。旧厚生省は安息香酸を天然に存在しない添加物に分類している[1]

発見と命名

ユストゥス・フォン・リービッヒフリードリヒ・ヴェーラーにより、1832年に構造決定がなされた。

安息香(ベンゾイン)は香料として用いられる樹脂の一種であり、この中に安息香酸のエステルが多いことからこの名がとられた。

製法

安息香酸はアルキル側鎖を1つ持つ芳香族(たとえば、トルエンエチルベンゼンクメンなど)を酸化することで得られる。この反応ではベンゼン環に隣接する水素-炭素間の結合が攻撃される。ベンジル位にC-H結合がない場合はベンゼン環が酸化される。 また、ベンズアルデヒドC6H5CHOの酸化によって得ることも出来る。

体内での代謝

安息香酸は、体内に取り込まれると肝臓にて代謝され馬尿酸となり尿として排泄される。

使用基準

日本国内では、安息香酸はキャビアマーガリン清涼飲料水シロップ及び醤油のみに、安息香酸ナトリウムはそれに加えて、菓子製造に用いる果実ペースト及び果汁に使用できる。対象ごとに使用量も設定されている。 [2]

脚注

  1. 厚生省「表5 食品添加物の年齢別摂取量」マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査 (平成12年12月14日 厚生省) (日本食品化学研究振興財団)
  2. 厚生省行政情報-食品添加物リスト-添加物使用基準リスト 1 [1]