シャシ (自動車)
シャシ (Chassis) は、自動車の車体(ボディー)を除くすべての機構、または 車の足回り機構 を指す。シャーシ、シャシー、シャーシーとも表記される。
概要
「車の基本構成部分」を指す場合と、「車の足回り部分」を指す場合がある。
車の基本構成部分
シャシ (chassis) はフランス語で「フレーム」(枠)のことであり、自動車の骨格となるフレーム自体を指す。自動車初期に英語でも使われるようになり、シャシという用語は、フレームにエンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、ディファレンシャル、ステアリングギア、サスペンションなど、一連の走り装置を組み込んだ『車の基本構成部分』となる「ローリングシャーシ」を指すようになった。この意味でのシャシは漢字で車台(しゃだい)と表記される。これに対する用語はボデーであり、漢字では車体である。
セパレートフレームやマルチチューブラーフレーム方式では、ボデーは構造の点からはまったく必要のないもので、単にシャシ上に乗っている覆いである。トラックなどの商用車を製造するメーカーは、シャシのみ、ダッシュボードから前(ボンネット)とシャシのみ(カウルシャーシ)、運転席とシャシのみ(キャブシャーシ)といった車両を出荷している。これにより、別途特別仕様のボデーが架装できる。この例として、キャンピングカー、消防自動車、救急車など挙げられる。
構成
- 動力発生装置(パワーユニット) - ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、電動機など。
- 伝動装置(ドライブトレイン) - エンジンが発生させた動力を車輪に伝える。
- 走行装置(ランニング・システム)
- その他
など
車の足回り部分
モノコック構造の車両では、フレームの役割はボデーが担うようになり、独立したフレームはなくなった。モノコックボデーにおいてのシャシとは、エンジン、パワートレインを除いたフロアパン、サスペンション(アクスル)、ステアリングなどの『足回り部分』を指すようになっている。この場合、従来の『車の基本構成部分』を指すためにはプラットフォームという用語が用いられることも多い。
プラットフォーム、シャシ、車台
自動車開発の基本構成部品の意味でのシャシは、ボデーを乗せ替えることで別の車種を派生させることができる。1970年代にフォードが、異なる種類の車種を開発するベースとなる『基本構成部分』をまとめて、「プラットフォーム」と呼び始めた。その後、『基本構成部分』を指すシャシに代わる言葉として「プラットフォーム」を用いる自動車メーカーも増えてきた。プラットフォームはボデー以外の走行にかかわる『基本構成部分』を指す概念的な用語であり、具体的なパーツを指すものではない。概念的といわれる大きな要素がボデーである。モノコック構造のボデーは車を構成する大きな一つの構造体である。従来フレームが担っていた骨格相当の役割はボデーの機能の一つであり、これはプラットフォームの一部で車の基本構造である。しかし、同じボデーだが外見的な見栄えにかかわる部分(スタイル)などは具体的な個別の車種で変更される部分であり、これはプラットフォームには含まれない。
モノコック構造の場合、具体的な『基本構成部分』を意味するシャシはなく、概念的な『基本構成部分』としてのプラットフォームとして、具体的なボデー、エンジン、トランスミッション、パワートレイン、そして『足回り部分』としてのシャシが位置づけられる。また、フレーム構造では、概念的な『基本構成部分』をプラットフォーム、具体的な『基本構成部分』をシャシと表現することがあるがほぼ同義となる。
漢字表記の「車台」は具体的な『基本構成部分』を意味するシャシの日本語訳として作られたが、プラットフォームの説明のために、特に学術系で、概念的な『基本構成部分』を意味するプラットフォームを指して「車台」と紹介される場合がある。通常、具体的なボディを意味する用語である「車体」も、プラットフォームの「車台」と対比される場合には、概念的な意味での「車体」となる。
自動車での使用状況
現在の乗用車の多くはモノコック構造を使用しており、フレームを使用している乗用車は数少なくなってきている。
ただし、トラックなどの重量物を扱う自動車ではフレーム構造が主流であり、ピックアップトラックやそれをベースとしたSUVでは現在でも使用されている。フレーム構造ではないSUV、つまり、モノコック構造の乗用車をベースに作られたSUVはクロスオーバー車、CUV、XUVなどと呼ばれるようになっている。