田村憲久
田村 憲久(たむら のりひさ、1964年(昭和39年)12月15日 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(8期)、裁判官訴追委員会委員長。
厚生労働大臣(第2次安倍内閣)、総務副大臣(第1次安倍内閣)、文部科学大臣政務官(第1次小泉第2次改造内閣・第2次小泉内閣)、厚生労働大臣政務官(第1次小泉内閣)、衆議院厚生労働委員長、自民党副幹事長等を務めた。
父は日本土建名誉会長の田村憲司。伯父は労働大臣や運輸大臣、通商産業大臣、衆議院議長を務めた元衆議院議員の田村元[1]。祖父は弁護士で元衆議院議員の田村秢[2]。TBSアナウンサーの田村真子は娘。
Contents
来歴
三重県松阪市生まれ[3]。三重県立松阪高等学校、千葉大学法経学部経済学科卒業[4]。同大学卒業後の1988年(昭和63年)、日本土建に入社[注 1][5]。1994年(平成6年)から伯父・田村元の秘書を務める[6]。
1996年(平成8年)、引退する伯父・元の地盤を引き継ぎ[7]、第41回衆議院議員総選挙に自由民主党公認で三重4区から出馬し、初当選[4]。
2002年(平成14年)に第1次小泉内閣で厚生労働大臣政務官、2003年(平成15年)に第1次小泉第2次改造内閣で文部科学大臣政務官に任命[4]。2003年から自民党三重県連会長を務める[4]。2006年(平成18年)に発足した第1次安倍内閣では総務副大臣(情報通信、郵政民営化の担当[8])を務めた[4][5]。
2009年(平成21年)の第45回衆議院議員総選挙では、三重4区で民主党の森本哲生に敗れるが、重複立候補していた比例東海ブロックで復活し5選(惜敗率2位)[9]。2010年9月に発足した自由民主党シャドウ・キャビネットでは「厚生労働大臣」に就任[4]。
2012年(平成24年)12月の第46回衆議院議員総選挙では、三重4区で前回敗れた森本を下し6選[10]。選挙後に発足した第2次安倍内閣で厚生労働大臣に任命され、初入閣[4]。2014年(平成26年)の内閣改造で退任[11]。同年にそれまで所属していた平成研究会を退会し無派閥となった[12]。2015年(平成27年)には水月会に参加[13]。
2017年(平成29年)の第48回衆議院議員総選挙では三重県内小選挙区の区割り変更に伴い、三重1区で出馬し、8選。
2018年(平成30年)7月23日の記者会見で所属する派閥の代表を務める石破茂の自由民主党総裁選挙出馬について「我々としては立候補してほしいという思いはある。決して安倍首相が駄目だというつもりはないが、安倍さんだけというのも政権与党として無責任。もし安倍さんが支持を受けなくなれば、次がいるという形を作る必要がある」と述べた[14]。
政策・主張
厚生労働大臣として
2012年12月[15]から2014年9月[11]まで、厚生労働大臣を務めた。
- 危険ドラッグ
危険ドラッグについて、従来は成分構造が似ていても個々の物質ごとに検証が必要で指定に時間がかかり、検証の間に構造の一部を変えたドラッグが出回るなど、いたちごっこが続いていたが、それらへの対策として、成分構造が似ていればまとめて規制可能な包括指定の導入や[16][17][18]、それまで規制のなかった危険ドラッグの所持、使用などについても禁止する法改正に取り組んだ[19][20]。また、関東信越厚生局麻薬取締部を視察した際、危険ドラッグの販売店自体が社会悪であるとして、取り締まりの強化を要望した[21]。
- 生活保護
生活保護について、自民党の「手当より仕事」を基本とした、給付水準の引き下げの公約や[22][23]、デフレで物価が下落傾向にある中でも給付水準を見直さなかった結果、生活保護のうち生活費に充てる「生活扶助」が、低所得世帯の生活費を上回る現象が起きていたことを踏まえて[24][25][26][27]、保護費の引き下げを決定した[28]。また、財務省などが先発医薬品の使用を望む受給者に後発医薬品との差額を負担させる案を検討していることについては、「大胆すぎる。そこまでは考えていない。」と述べ、義務や強制ではない後発薬の使用促進やその仕組みをつくりたいとの考えを示した[29]。なお、自民党は第46回衆議院議員総選挙の公約で、医療扶助が保護費の半分近くを占めていることへの対策として後発医薬品の使用義務化を掲げていた[22]。
政調会長代理として
- 健康増進法改正
2017年、受動喫煙防止を目的とした健康増進法改正案について、自民党と厚生労働省の案をまとめる役割を務めていた[30]。自民党案は「禁煙・分煙・喫煙」の表示を義務化して喫煙店を維持する案であったため、塩崎恭久厚労相が「職場の歓送迎会や会合・会食などで喫煙可能な店だったときには、事実上これは拒否できないので、望まない受動喫煙“イヤイヤ受動喫煙”こういう事態を強いられることになる」と問題点を指摘していたが[31]、田村は「喫煙ボックスで吸う話になって、食事する所で吸う場合にはならないから、たぶん『イヤイヤ受動喫煙』する方、望まざる受動喫煙をする方はいないだろう」として塩崎の主張を退け、自民党案を軸とした法案の合意に意欲を示した[32]。
アンケートへの回答
以下は複数の選択肢の中からひとつを選ぶ形式のアンケートへの回答。
- 選択的夫婦別姓制度導入に反対[33]。
- 集団的自衛権の行使を認める閣議決定が行われたことを大いに評価する[33]。
- 他国からの攻撃が予想される場合には先制攻撃もためらうべきではないことにどちらかといえば賛成[33]。
- 日本の防衛力はもっと強化すべきことにどちらかと言えば賛成[33]。
- 永住外国人の地方参政権を認め、外国人労働者の受け入れを進めるべきかについてはどちらとも言えない[33]。
- 首相の靖国神社参拝にはどちらかと言えば賛成[33]。
- 北朝鮮に対しては対話よりも圧力を優先すべきかについてはどちらとも言えない[33]。
- 公共事業による雇用確保は必要かについてはどちらとも言えない[33]。
- 日本でもカジノを解禁すべきかについてはどちらとも言えない[33]。
- 女性宮家に反対[34]。
- 原発ゼロ政策に反対[34]。
不祥事・疑惑
- 徳洲会幹部との会食問題
- 厚生労働大臣時代の2013年5月17日頃、医療法人徳洲会グループの副理事長ら最高幹部4人と料亭で会食していた[35]。この席では、自民党の園田修光が立候補した同年7月の参議院選挙運動の支援を要請していたと言われている[36]。11月8日の厚生労働委員会で田村は「幹部と会ったかどうかは定かでない」と述べ、菅義偉官房長官も記者会見で「閣議前に田村氏から話があった。大臣規範にのっとって適切に対応しているので問題ない」との見解を示した[37]が、13日の同委で田村は「同僚議員に誘われた酒席に徳洲会の方々がおられた」と認めた。徳田毅陣営の選挙違反事件捜査に関わる話はしていないとしているが、産経新聞は徳洲会が病院職員らを使った選挙運動をしていることを田村が認識していた場合は、大臣の資格にかかわると述べている[38]。
- 田村は会食の代金については、自身が払ったことはないと思うとし、徳洲会に払ってもらった記憶もないと述べた[39]。同年6月に徳田の姉(同事件の公職選挙法違反容疑で逮捕)と大臣室で面会していたことについては、当初は徳田が姉に同行していたと説明したが、数分後に園田だったと訂正。面会の経緯については、徳田の姉は自身が通っていた眼科医で、「たわいもない話をして帰られただけ」と説明した[40][39]。
- 田村は徳洲会との関係について「そもそも『徳洲会』と私はつきあいがほとんどなく、政治献金を受けたりパーティー券を買ってもらったという記録は全くない」と述べている[41]。
発言
- 2018年6月15日の衆院厚生労働委員会において、穴見陽一が受動喫煙対策についての意見を述べている参考人に対し「いい加減にしろ」とやじを飛ばした問題について、「そもそもやじなのか。委員長は静粛に、と求めておらず、審議の妨害になっていない」と発言し、穴見を擁護した[42]。
人物
- 鳩山邦夫主宰の派閥横断型政策グループ「きさらぎ会」の役員を務めている[43]。
- 「一番初めにアベノミクスという言葉を安倍総理というか総裁に伝えたのは私です」と述べている[44]。
- 自らの喫煙歴について、「厚労相になるためではないが、数年前にたばこをやめた」と述べている[45]。
家族・親族
- 田村家
- 父・憲司[2](日本土建名誉会長)
- 1931年 -
- 兄・欣也(日本土建代表取締役会長)
- 妻
- 娘・真子(TBSアナウンサー)
- 伯父・元(政治家)[1]
所属団体・議員連盟
- 日本会議国会議員懇談会[47]
- 神道政治連盟国会議員懇談会[47]
- みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会[47]
- 全国はちみつ公正取引協議会(顧問)
- イクメン議員連盟(共同座長)
- 自民党動物愛護管理推進議員連盟
- TPP交渉における国益を守り抜く会
- 子どもの貧困対策推進議員連盟(2016年2月23日に設立、初代会長)[48]
出演番組
論文
脚注
注釈
- ↑ 2018年時点で、父の田村憲司(田村元の弟)は同社名誉会長、兄の田村欣也は同社代表取締役会長である。
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 『政治家人名事典』333-334頁。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 『人事興信録 第14版 下』タ78頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2018年9月8日閲覧。
- ↑ 田村憲久: 三重4区 : プロフィル『YOMIURI ONLINE(読売新聞)』2016年1月20日閲覧
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 プロフィール『田村のりひさホームページ』2016年1月20日閲覧
- ↑ 5.0 5.1 田村 憲久とはコトバンク。2018年9月7日閲覧。
- ↑ 厚生労働大臣 田村 憲久 (たむら のりひさ)『首相官邸ホームページ』2016年1月20日閲覧
- ↑ 「タムゲン」の愛称…元衆院議長の田村元氏死去『yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)』2014年11月4日閲覧
- ↑ 大野副大臣、田村副大臣記者会見の概要 平成18年9月27日(水)
- ↑ 三重 小選挙区 : 総選挙2009『YOMIURI ONLINE(読売新聞)』2016年1月20日閲覧
- ↑ 三重 小選挙区 : 開票結果 『YOMIURI ONLINE(読売新聞)』2016年1月20日閲覧
- ↑ 11.0 11.1 第2次安倍改造内閣 閣僚等名簿『首相官邸ホームページ』2017年2月17日閲覧
- ↑ 額賀派の求心力低下必至…田村、脇氏ら3人退会読売新聞 2014年10月4日
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「mainichi2015
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 石破氏出馬を期待 自民総裁選で田村衆議員 三重三重新聞 2018年7月24日
- ↑ 第2次安倍内閣 閣僚名簿『首相官邸ホームページ』2017年2月27日閲覧
- ↑ 脱法ドラッグ700種以上を包括指定 厚労省『日本経済新聞』2013年2月20日
- ↑ 平成26年4月1日より指定薬物の所持・使用等が禁止になります『厚生労働省』2017年2月26日閲覧
- ↑ 田村大臣閣議後記者会見概要『厚生労働省』2013年3月22日
- ↑ 第185回国会 厚生労働委員会 第8号(平成25年11月20日(水曜日))議事録末尾『衆議院』2013年11月20日
- ↑ ここに注目! 「脱法ドラッグ 所持や使用も禁止に」『NHK 解説委員室』2014年4月2日
- ↑ 厚労省、危険ドラッグ21物質を指定 被害防止へ意見公募省略『日本経済新聞』2014年8月1日
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- ↑ 資料4-4 生活保護制度の見直しについて(PDF) (PDF) 4頁をもとに編集『第25回社会保障審議会 資料』2013年1月31日
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- ↑ 厚労相、徳洲会幹部と会食 5月 移植陳情、参院選も話題MSN産経ニュース 2013年11月8日
- ↑ 「厚労相からも頼まれた」徳洲会の園田氏支援 会食後、グループ幹部伝達MSN産経ニュース 2013年11月18日
- ↑ 産経新聞2013年11月13日
- ↑ 「厚労相からも頼まれた」 徳洲会の園田氏支援 会食後、グループ幹部伝達MSN産経ニュース 2013年11月18日
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- ↑ 田村厚労相、苦しい釈明 「たわいもない話をした」「通っていた眼科医」MSN産経ニュース 2013年11月13日
- ↑ 厚生労働相「徳洲会幹部と同席 問題ない」NHKニュース 2013年11月13日
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- ↑ 鳩山邦夫氏の「きさらぎ会」、100人突破の勢い!?『産経ニュース』2014年6月18日
- ↑ 山本一太の大臣vs大臣
- ↑ “首相、受動喫煙防止の法整備「国民各層の意見や議論みていく」”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2013年10月24日) . 2018閲覧.
- ↑ プロフィール、田村のりひさ公式サイト。
- ↑ 47.0 47.1 47.2 俵義文、日本会議の全貌、花伝社、2016年
- ↑ 西日本新聞(2016年2月24日)
参考文献
- 人事興信所編『人事興信録 第14版 下』人事興信所、1943年。
- 『政治家人名事典』日外アソシエーツ、1990年。
外部リンク
公職 | ||
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先代: 三井辨雄 |
厚生労働大臣 第16代:2012年 -2014年 |
次代: 塩崎恭久 |
先代: 菅義偉 山崎力 |
総務副大臣 大野松茂と共同 2006年 - 2007年 |
次代: 佐藤勉 魚住裕一郎 |
議会 | ||
先代: 茂木敏充 |
衆議院厚生労働委員長 2008年 - 2009年 |
次代: 藤村修 |