YEIS

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ファイル:Rx135.jpg
エンジンサイドカバーに「YEIS」のロゴが打刻されたヤマハ・RX135English版。YPVSが既に登場していた1980年代中盤に登場したヤマハ・RXは、ヤマハでも数少ない「YEISのみの搭載」を最大のセールスポイントとしていた車種である。
ファイル:1981 Yamaha YZM250 (OW50).JPG
1981年式ヤマハ・YZM250(OW50)[1]。シリンダー上方の黒い台形の箱型の部品がYEIS。ヤマハ・YZにおいては「ENERGY INDUCTION YAMAHA」と書かれた正方形の赤黒デカールがYEISに貼付されていた[2]

YEISYamaha Energy Induction System)はヤマハ発動機が1980年に開発した、2ストロークエンジンの吸気管に用いられる付加装置の名称である。

概要

YEISキャブレターからシリンダーへ至る吸気管に、予備室(インテークチャンバーEnglish版)をつけたもの。吸気流速のムラを無くし、安定した吸気効率を確保することを目的としており、1970年代に石油危機に伴う消費者の燃費志向や自動車排出ガス規制への対応の為に開発が始まったものであり、ヤマハによれば開発時点では平均10%の燃費向上が認められたとされる。なお、4ストローク車にも応用可能な技術とされているが、ヤマハ自身は同じ1980年に4ストロークエンジン向けにYICSを発表した[3]。YEISは吸気ポートやリードバルブが閉じた際に吸気圧の慣性を利用して一度予備室内に混合気を貯蔵しておき、再び吸気弁が開かれた際に予備室内に貯蔵されていた圧力を利用してより多くの混合気をシリンダー内に吸い込ませることで、吸気効率の向上が図られる仕組み(レゾネーター)であり[3]、後年の可変長インテークマニホールドEnglish版にも通じる慣性過給(共鳴過給)デバイス[4]のひとつでもある。

YEISの装着により従来と同じ出力をより小さなキャブレターで実現できるようになった他[5]、ハーフスロットルでのパワー、トルクが向上し、パワーの谷を少なくさせる効果も期待できる、とされる[6]。YEISは1980年にヤマハ・YZモトクロッサーに初採用され、翌1981年にRZ50など[7]市販車両4車種にも導入[3]、その後ヤマハの2ストロークエンジン車の多くに7ポート・トルクインダクションと共に採用され続けた。非常に単純なシステムのため、コストの都合上YPVSが採用しがたい排気量100cc以下のヤマハ・メイトヤマハ・DTなどの原動機付自転車では、YEISはリードバルブと並び貴重な吸気デバイスのひとつであった[5]

YEISは海外ではブースト・ボトル(Boost Bottle)の俗称でも呼ばれており[4]エンスージアストの間でもリードバルブを持たない古いエンジンや、1997年のヤマハのYEIS特許切れ以前の他社製エンジンへの後付け改造など独自の研究[8]が行われているが、彼らの共通認識としては、混合気内のガソリンが再液化した際にボトル内に滞留してしまわないように、ボトルは必ずインテークマニホールドシリンダーヘッドの上方に、導入口を下向きにして取り付けること。2ストローク多気筒エンジンEnglish版の場合には必ず各シリンダーに対して個別のボトルを取り付け、4ストロークエンジンのサージタンクのようなシリンダー間の共用は行わないことが望ましいとされている[6]

脚注

  1. 1981年 YZM250(0W50) - ヤマハ発動機ヒストリー
  2. GP's Classic Steel #93: 85 YZ490 - PulpMX
  3. 3.0 3.1 3.2 1969-1980 技術革新と省エネルギー型エンジンシステム - ヤマハ発動機ヒストリー
  4. 4.0 4.1 Boost Bottle - The new scooter wiki
  5. 5.0 5.1 YEIS(1980) - ヤマハコミュニティ・フランス
  6. 6.0 6.1 YAMAHA ENERGY INDUCTION SYSTEM Boots Bottles and Resonators - Micke Minimoto sida
  7. 1981年 RZ50 - ヤマハ発動機ヒストリー
  8. All About Boost Bottles - dragonfly75.com

関連項目

外部リンク

  • 省エネルギーエンジンシステム開発 - ヤマハニュース No.206 1980年8月号、(YEISがYICS、キャリブマチック(高地補正機能付キャブレター)、YPVSと共に次代の省エネルギーシステムとして紹介されている。)