貨幣損傷等取締法
貨幣損傷等取締法 | |
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日本の法令 | |
法令番号 | 昭和22年12月4日法律第148号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 刑法 |
主な内容 | 貨幣損傷の禁止について |
関連法令 | 刑法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
貨幣損傷等取締法(かへいそんしょうとうとりしまりほう、昭和22年12月4日法律第148号)は、貨幣を損傷または鋳潰すことを禁じた日本の法律である。
この法律は当初補助貨幣損傷等取締法として発足したが、1988年(昭和63年)4月1日、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律附則14条により「貨幣損傷等取締法」と改題された。
Contents
構成
- 第1項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
- 第2項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
- 第3項 第1項又は前項の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
- 附則
- 附則(昭和62年6月1日法律第42号)
本法における貨幣の定義
本法でいう「貨幣」とは、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に定める貨幣のことである。同法5条1項に定める「五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類」の貨幣および同法5条3項に定める記念貨幣は、本法の規制対象となる。
従って、日本銀行券(いわゆる紙幣)は本法の対象外である。貨幣の場合とは異なり、2015年現在、日本銀行券を損傷することそれ自体を罰する法律はない。国立印刷局では「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れない」との見解を示している。ただし、違法ではないが、傷みの激しい紙幣や、書き込みや印字が加えられた紙幣は、真券かどうかの判断がつきにくくなり、ATMや自動販売機で使えなくなるなどの支障もありうるため、「みんなで使うものですから、大切に使ってください」との要望を示している[1]。ATM(現金自動預払い機)などの盗難抑止用として、装置に過度の衝撃が加えられると紙幣に塗布汚損され識別子となるインクがある[2]。
その他
日本以外の国では貨幣を加工することを認めている国があり、アメリカ合衆国の観光地では、硬貨を記念メダルに加工するスーベニアメダルマシン(1セント硬貨等を圧延、刻印する)という機械がある。日本でも同様のものが存在するが、こちらは専用コインに刻印する。
マジックに使用するギミック・コインは、一般に日本の硬貨以外のコインが使用される。これは、本法律で日本の硬貨を加工する事が禁じられている為である。なお、海外で加工した日本の五百円硬貨等をマジックのタネとして、販売目的で日本に持ち込もうとしたマジシャンらが摘発された例もあり、最高裁で上告が棄却され刑が確定した[3]。
かつての日本では、三途川の渡り賃としての冥銭の思想から、火葬の際に遺体に硬貨を握らせたり、棺桶内部に硬貨が添えられて焼かれていたが、現在では多くの火葬場で金属を副葬することを禁じているため、現行貨幣を使用することは基本的に行われなくなり、葬儀社が六文銭を模したものを準備して納めることが主流になっている[4] 。
脚注
- ↑ お札に関するよくある質問(回答) - 独立行政法人国立印刷局。「お札を折り紙として使ったり、落書きをしたりすると、何か問題になるのでしょうか?」より。
- ↑ たとえば[1][2][3][4][5][6] アメリカにも同様の物があるようで、映画「スピード」に登場した
- ↑ 最高裁判所判例 平成19(あ)2066 (PDF)
- ↑ http://sougi.bestnet.ne.jp/hanakin-nakazono/
関連項目