エクステリア
エクステリア(英: exterior)とは、本来は乗物の外装、住居の外観や外壁を意味するが、一般に屋外構造物の門扉、塀といった外柵[1]、車庫などのほか、庭とそこに設置されるウッドデッキ、トレリス、パーゴラ、植栽、その他の設備なども含め敷地内の外部空間全体をさす場合が多い。[2]インテリアの対義語。[1]
Contents
敷地まわりのエクステリア
外構は敷地まわりの構造物をおもに示すが、エクステリアは草木地など前庭等も含めて述べられる。
関連する資格として、日本の造園に関する資格一覧にある資格の他、東京商工会議所主催 福祉住環境コーディネーター検定試験 などがある。 基幹技能者の例では、建築ブロック・エクステリア基幹技能者 がある。
関連団体として、日本アルミニウム協会、全国技能士会連合会に所属する日本エクステリア工業会 などがある。
なお、網戸など建材製品などもエクステリア製品と呼ばれることがある。
日本では古来より、庭園造りという伝統があり造園業が存在したが、近代にいたり特に都市部では住宅を取り巻く環境が車社会の到来や住宅の欧米化なども含めて大きく変化したため、従来の庭造りの概念だけでは解決できず、門、塀、車庫、アプローチなどがより建築やそれを取り巻く街並みとの兼ね合いで住環境を捉える必要から、エクステリアという新たな概念が生まれた。
また、それを専門に設計施工する専門家や施工業者が増加した。
しかし、エクステリアという言葉の概念があいまいであったため、設計・施工に関しても確かな拠り所がない時期があった。
その間にエクステリアを取り巻く環境は大きく変化し、『景観条例』、『街作り条例』施行などで、環境整備、町並み保全、緑化などが全国の自治体によって進められたことなどから、それらに配慮したエクステリアのあり方や技術、技能の向上の重要性が増してきた[3]。
近年ではさらにエクステリアの新しい利用方法として、国内外で居間同様に生活空間として利用できるスペース利用法としてのアウトドアリビングという概念も生まれ、さらにエクステリアの概念が多様化している[4][5][6][7]。
日本エクステリア学会
日本では関連学会として、一般社団法人日本エクステリア学会がある[3]。
日本エクステリア学会は2009年に、エクステリアの技術者として要求される知識と技術向上を図るとともにエクステリアに対する信頼性を高め、快適で豊かな住環境の向上に寄与する事を目的として設立された「エクステリア品質向上委員会」を前身とし、「会員相互の協力により、エクステリアに関する学術・技術の進捗発展を図り、社会に貢献する事を目的」に、エクステリアの調査と研究、会誌・論文の発行と活用、文献・資料の収集と活用、技術教育の振興と研修成果の普及、啓蒙などを主な事業としている[3]。
これまでに『エクステリア製図規格』(エクステリア品質向上委員会著, 発行:社団法人日本建築ブロック・エクステリア工事業協会 社団法人全国建築コンクリートブロック工業会)、『エクステリア施工規準と標準図及び積算 塀編』を刊行している。
エクステリアの要素
- 太古の響き(楽器。玄関・庭などのエクステリア、インテリアの要素となるようにも設計されている)
- 散水ノズル(維持管理で、ガーデニング、エクステリアのみならず、洗車や外構物の洗浄等にも対応できるものも)
- すだれ(近代建築においてエクステリアの装飾品として使われることもある)
- ウッドデッキ(建物の掃き出し窓から庭に出入するようにして、エクステリアにおける庭とリビングルームの中間の空間として利用される)
- シャッター(盗難を防止することを主眼としているが、デザイン(エクステリアデザイン)の一環として様々な工夫がなされることがある)
- ししおどし(エクステリアデザインの装飾品としても用いられる)
- 街づくり・流通ルネサンス(総合展示会。エクステリア製品も)
- ロートアイアン(装飾が施された門扉やフェンス等のエクステリア、表札や看板やポスト等の小物などに使用される)
エクステリアデザインを学べる学校
乗り物のエクステリア例
デザイン用語、用法として エクステリアデザイン (Exterior Design) がある。
日刊自動車新聞用品大賞では、「機能・エクステリア部門賞」を設置し、オートカラーデザイナーズ賞では、エクステリアカラー部門を設置している。
おもなデザイナー
- 結城康和 - 量産車のエクステリアデザイン業務
- 園勲夫 - 日産自動車のカーデザイナーとして多くの車種のエクステリアデザインを手がける
- 蓮見孝 - 日産自動車のエクステリアデザイン室代表主担をつとめ、筑波大学芸術学系教授
- ローレンス・ヴァン・デン・アッカー - アウディ時代ドイツ・インゴルシュタットデザインセンターのエクステリアデザイナー
- アンドレアス・ザパティナス - フィアット・バルケッタのチーフ・エクステリアデザイナーを務めた
- 山中俊治 - 日産自動車エクステリアデザイナーを務めた
他はカーデザイナーも参照。
おもな例
- ダイハツ・クー#インテリア・エクステリア
- 日産・ティアナ#エクステリア
- ホンダ・ゼスト#エクステリア
- トヨタ・SAI#エクステリア
- マクラーレン・720S#エクステリア・インテリア
- ゆうゆう東海#エクステリア
- スバル・ff-1#エクステリア
- アバルト・595#エクステリア
- フォルクスワーゲン・ヴェント#エクステリア
- マセラティ・ギブリ (M157)#エクステリア・デザイン
- フェイスリフト (車両チューニング) - 自動車のエクステリアの改造(モディファイ)の一つ
- グレートウォール・ホーバー - エクステリアのサイドデザインについてはいすゞ・アクシオムとの類似性が、フロントデザインについては日産・ムラーノおよび日産・エクストレイルとの類似性が指摘されている
- フォルクスワーゲン・ボーラ#エクステリア
- 日産・ラニア - エクステリアには最新の日産デザイン言語である「Vモーショングリル」やブーメラン型ランプなどが採り入れられる
- スズキ・エブリイランディ - エクステリアは、フロントグリルやバックドアハンドルカバーをメッキ塗装
- 南海2300系電車#エクステリア・インテリア
- ジャガー・X351#エクステリア
- 三菱・グランディス - エクステリアはフロントグリルが、インテリアはカラーリングが一新された
- JR北海道キハ201系気動車#エクステリア
- スバル・ff-1 1300G#エクステリア
- インフィニティ・エッセンス#エクステリア
- 日産・フーガ Y50#エクステリア
- フォード・エコスポーツ#エクステリア
- 日産・Y51#エクステリア
- BMW・6シリーズ - エクステリアではフロントスポイラーやリアスポイラー、サイドストライプが標準装備
- レクサス・SC - エクステリアでは、他のレクサス車と同様に新デザインのLEDウインカー内蔵ドアミラーが採用されて他車からの被視認性を向上させた
- JR北海道731系電車#エクステリア
- アバルト・124スパイダー#エクステリア
- ジャガー・XF - エクステリアデザインは後に発売されるXFのベースとなっている
- フェラーリ・458イタリア#エクステリア
- プロトン・プトラ - エクステリアデザインが不評であったため、販売は不調に終わった
- 日産・ステージア M35#エクステリア
- ルノー 5・アルピーヌ - エクステリアは、フォグランプ内蔵エアダムフロントバンパー、サイドストライプを採用
- キア・レイ - エクステリアデザインについては日本でいうところのトールワゴン
- ブガッティ・ヴェイロン - オールブラックのエクステリアと明るいオレンジのインテリアが特徴のクーペ
- Wモーターズ・ライカン ハイパースポーツ - エクステリアにおいて、LEDヘッドライトにダイヤモンドコーティングが施されているのが特徴
- ヒュンダイ・アスラン - エクステリアは2代目ジェネシスから始まった新デザインアイコン「fluidic sculpture 2.0」(流体の彫刻 2.0)に則ってデザインされている
- 日産・インティマ - J32型ティアナのエクステリアデザインなどはこの車がもとになっている
- インフィニティ・QX30 - Q30よりもややSUV的な要素をエクステリアに盛り込んでいる。
- 日産・インタースター - X-Cargo(エクスカーゴ)のモデルが前期型インタースターとエクステリアデザインがほぼ共通
- アルファロメオ・ステルヴィオ - エクステリアは、背高のSUVながら機能性にも優れた流麗なフォルムにより、上質かつ個性的なイタリアンデザインを具現化
- スバル・アルシオーネ#エクステリア
- 南海50000系電車#エクステリア
- トヨタ・プログレ - エクステリア・インテリア共に極めて保守的なデザイン
- ビュイック・ラクロス - エクステリアはGMと上海汽車の合弁である汎亜汽車技術中心(PATAC)
- 岡山電気軌道岡軌7000型電車 - 同時期にデビューした軽快電車プロジェクトの成果を一部先行して応用し、そのエクステリアデザインを踏襲
- 双竜・チボリ - エクステリアは双龍車のデザイン哲学である「軽快」のコンセプトに基づいてデザインされた。
- ヒュンダイ・グレース - エクステリアデザインは3代目のデリカとほぼ変わらない
- TMI・VM180ザガート - 当時のトヨタビスタ店とモデリスタのタイアップで開発。 エクステリアは、Aピラーとウインドウガラス、ドアミラーを除いて、すべて新設計
- JR北海道キハ261系気動車#エクステリア
- BMW・V12 LM - キドニーグリルをモチーフとしたエンブレムを配しているのが、エクステリア上の特徴
- フォルクスワーゲン・EA266 - エクステリアはフォルクスワーゲン・タイプ3を少しモダンにしたような感じ
- トヨタ・FT-EV - エクステリアはあえてレトロな意匠とされている
- アウディ・A1 - エクステリアはアウディのアイデンティティであるファミリーのデザインアイコンを色濃く受け継いでいる
- フォード・デル・レイ - エクステリアデザインはメッキモールを増やし、各エッジを際立たせることで高級感を演出
- インフィニティ・パフォーマンス・ライン - 専用バンパーやスポイラーなどのエアロパーツを装備して全車インフィニティの標準モデルから差別化がなされたエクステリアデザインとなる
- グランツーリスモ5#エクステリアとインテリアの再現
- マツダ・アテンザ#エクステリア
- えちごトキめきリゾート雪月花#エクステリア
- セダン - そのエクステリア・デザインなどから「5ドアクーペ」と呼ばれることも決して少なくない
- 担当デザイナー
- マセラティ・クアトロポルテ - 独特のエクステリアのデザインはピニンファリーナに所属していた奥山清行によるもの
- キャデラック・アランテ - エクステリアデザインは、イタリアを代表するカロッツェリアであるピニンファリーナ
- アウディ・TT - フリーマン・トーマスによるもので、Audi DKW Monzaのオマージュであるとも言われる
- 日産・R390 - エクステリアデザインはイアン・カラムが担当
- ダッジ・ダート - エクステリアはヴァージル・エクスナー(Virgil Exner)がデザインした
- ニューヨーク市地下鉄R142A電車 - 宇多川信学がエクステリア・インテリアを担当しインダストリアル・デザイン・エクセレンス賞銀賞を受賞
参考文献
- 「現代アメリカ・デザイン史 スプーンからジェット機まで」A.J.プーロス 岩崎美術社 1991
- 「空力とカーデザイン」畔柳俊雄 グランプリ出版 2001
- 「続・これ、誰がデザインしたの?」渡部千春 美術出版社 2008
- デザインに対するヒトの初期評価についての研究(2) : クルマの初期反響調査結果の分析(エクステリア・デザイン)(口頭による研究発表,第39回研究発表大会) 蓮見 孝 デザイン学研究 1992(93), 145, 1992
- 未来のクルマのあり方を描く“Flesby Ⅱ” (PDF) 渡邉千穂
- TOYOTAKIKAI (PDF)
- [1] (PDF) デザイン[エクステリアデザイン]
- http://www.kentei.org/img/color/mailmagazine/201602/saizensen.pdf
脚注
- ↑ 1.0 1.1 コトバンク - エクステリア
- ↑ 魅せるエクステリア&ガーデン (PDF) (松枝雅子 【発行】一般財団法人経済調査会)
- ↑ 3.0 3.1 3.2 一般社団法人日本エクステリア学会 - エクステリアの概況
- ↑ アウトドアリビング weblio辞書
- ↑ 話題の「アウトドアリビング」。ハウスメーカーが提案する新たな可能性 SUUMOジャーナル 2017年8月18日
- ↑ アウトドアリビング、8つのポイント リフォーム産業新聞
- ↑ コトバンク - アウトドアリビング
関連項目
- エクステリア業
- エクステリア科 造園科 園芸科
- エクステリアデザイナー
- アウトドアリビング
- 造園
- 左官科 左官
- ガーデンデザイン
- Exterior Gateway Protocol (EGP) - IPネットワークのルーティングプロトコル
- CALTY - エクステリアデザインを主な業務として行っている
- フェイスリフト (車両チューニング) - 自動車のエクステリア改造車
- エアロパーツ
- 数値流体力学
- 風洞
- オーバーハング (自動車用語) - 市販車の場合はエクステリアのスタイル(デザイン)に大きく影響