ドル

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(英: dollar)

通常はアメリカ合衆国の法定貨幣をいい,略号は$。その 100分の1をセント centとしている。

国民通貨にドルの名称を付した国はアメリカだけではないが,その起源は南ドイツの産銀で鋳造された銀貨につけられたターレル thalerで,新大陸アメリカに流入したスペインのターレル銀貨,すなわちスパニッシュ・ダラー spanish dollarが前身である。 1792年に独立し通貨主権を取得したアメリカは,金銀比価を 15対1とする金銀複本位制を制定し,ドルを法定貨幣単位としたが,銀貨は鋳造されず実質は金本位制であった。金銀比価の不安定性に悩んだアメリカは,1900年金の公定価格を1オンスにつき 20.67ドルとする金本位制を公式に制定し,同時に従来はナショナル銀行 National Bankがもっていた銀行券発行権を新設の連邦準備制度に移譲させた。この制度の確立によりドルの国民通貨としての地位が確立した。第1次世界大戦は国民通貨ドルの国際通貨への発展の契機となった。それは世界無比の強大な生産力と大量の金流入のための豊富な金準備とを基調とすることになったからで,ポンドとともに制度上,事実上の国際通貨の地位を占めた。 33年アメリカはドルの平価切下げを余儀なくされ1オンス=35ドルとしたが,第2次世界大戦後,ドルは国際通貨史上かつてなかった強大,安定の国際通貨の地位を占めた。 50年末にいたって高額かつ持続的な国際収支の赤字,その結果としての金準備の激減のためにドル危機が表面化し,71年8月 15日ニクソン政権による金・ドル交換停止措置により,ドルを基軸通貨とする金為替本位制度も崩壊した。