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[[File:MMC Silent shafts.jpg|thumb|250px|日本のバランスシャフト技術の代表例、[[三菱自工]]の[[サイレントシャフト]]]]
 
'''バランスシャフト'''とは[[レシプロエンジン]]における[[エンジンの振動]]の抑制技術であり、[[直列4気筒]]に代表されるエンジンバランスの自己相殺が難しいレイアウトにおいて、[[クランクシャフト]]から発生する振動を低減するための偏心シャフトである。特に近年の[[乗用車]]用ディーゼルエンジンでは採用例が多い([[スバル・EE20|水平対向ディーゼル]]を除く)。バランスシャフトの基本概念は、[[1904年]]に[[イギリス]]の[[フレデリック・ランチェスター]]によって発明された<ref name="autozine">[http://www.autozine.org/technical_school/engine/smooth2.htm "Engine Smoothness"] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20160106012930/http://www.autozine.org/technical_school/engine/smooth2.htm |date=2016年1月6日 }}, Mark Wan, ''AutoZine Technical School, 1998–2000</ref>。
 
  
日本国内では「バランサーシャフト」と表記される場合もある。
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'''バランスシャフト'''(bálance shàft)
  
== 概要 ==
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振動を軽減するために内燃機関に使われる偏心荷重を取りつけた軸.
一次振動または一次[[偶力]]振動を抑制するためには、[[クランクシャフト]]と等速で回転するバランスシャフトが用いられる。二次振動抑制目的では、クランクシャフトの2倍の回転数で回転するバランスシャフトが用いられる。バランスシャフトの本数や回転方向は目的により使い分けられている。バランスシャフトに要するスペースや駆動力を低減するために、[[補機]]駆動など他の目的をバランスシャフトに兼ねさせる場合もある。
 
 
 
バランスシャフトはクランクシャフトのデザインの関係上、内部構成部品がいかにバランスよく加工されていても二次振動(エンジン回転数の2倍の[[周波数]]の振動。回転数に応じて[[:en:Quadratic growth|二次関数的に増大]]する)を除去出来ない[[直列4気筒]]にて最も一般的に使用されている。
 
 
 
[[水平対向エンジン]]の場合には向かい合った[[ピストン]]と[[コネクティングロッド]]がお互いの振動を打ち消し合うためこのような振動は発生せず、バランスシャフトは使用されない。[[直列エンジン]]の場合には[[クランクシャフト]]の回転運動と[[コネクティングロッド]]の往復運動が対称関係ではないため、[[直列6気筒]]のように各気筒のクランクピン位相によって完全に振動が打ち消せるデザインではない限り、内部部品のバランスをどのように取っても振動が発生する<ref>[http://www.dinamoto.it/DINAMOTO/on-line%20papers/twin%20motors/twin.html "Shaking forces of twin engines"], Vittore Cossalter, Dinamoto.it</ref>。
 
 
 
このような[[エンジンの振動]]の問題は、[[排気量]]が大きくなるほどより顕著に現れる。排気量増大の手法が[[ボアアップ]]と[[ストローク]]増大に限られるため、排気量が大きくなるという事はクランクシャフトに掛かる[[慣性力]]が大きくなることに直結するためである。そのため、[[単気筒]]や[[直列2気筒]]などの主に一次振動(エンジン回転数と同じ周波数の振動)が問題となるレイアウトでも、内部構成部品のバランスだけでは振動抑制性能を満足できない場合にはバランスシャフトが用いられる事がある。
 
 
 
バランスシャフトの基本概念自体は、[[1904年]]の時点で[[フレデリック・ランチェスター]]により見出されており[[特許]]も取得されていた。ランチェスターバランサーの基本デザインは2本のバランスシャフトがそれぞれ反対方向にエンジン回転数の2倍の速度で回転する。バランスシャフトには偏心した位置に[[錘]]が取り付けられており、同じ位相で回転するためクランクシャフトの[[水平]]方向の振動が解消される。しかし、ランチェスターの基本デザインのままでは水平方向の振動は解消されるものの、[[鉛直]]方向に新たな振動が発生してしまうことにもなった。この問題を完全に解決するには[[1974年]]の[[サイレントシャフト]]の登場を待たねばならなかった。サイレントシャフトが登場する以前は二次振動の問題により、[[直列4気筒]]エンジンは2,000 ccまでが市販乗用車の[[騒音・振動・ハーシュネス|NVH]]特性を満足できる上限排気量とされており、自動車の高出力化や軽量化の大きな足かせともなっていたのである。
 
 
 
=== 欠点 ===
 
バランスシャフトはクランクシャフトから駆動力を受け取って回転し、動作時の各部の[[摩擦|フリクション]]や、それ自体による重量増により、最終的には'''[[出力]]のロスが確実に発生する'''。また、部品点数の増大により'''製造コストとエンジン重量の増加も確実に発生する'''。
 
 
 
そのため、直列4気筒や[[直列3気筒]]などのレイアウト固有の振動が多い形式であっても、比較的排気量が小さい場合には製造コストや構造の簡略化との兼ね合いの中で、バランスシャフトを用いない構成とされる事も多くなっている。
 
 
 
また、[[タイミングベルト]]や[[タイミングチェーン]]を介して駆動伝達が行われる場合、ベルトやチェーンの張り調整やタイミング合わせが不十分であると、位相にズレが生じて十分な振動打ち消しが行えなくなる為、バランスシャフトの無いエンジンに比べて整備調整の工数が増える要因ともなる。また、クランクシャフトの2倍の速度で回転する関係上、バランスシャフトの軸受けの[[潤滑]]は[[エンジンオイル]]にとっても非常に過酷なものとなる。軸受けの[[磨耗]]が進んだ場合や、[[焼きつき]]を起こした場合、エンジンを分解し、部品交換をしない限りその車を動かすことは不可能となる。そのこともあり、[[スズキ (企業)|スズキ]]など一部の[[日本車|国産]]メーカーでの採用車種は少ない。
 
 
 
そのため、[[モータースポーツ]]などにおいてはバランスシャフトを敢えて除去することで馬力のロスとバランスシャフトの軸受け焼きつきの問題を回避する手法が採られる<ref group="注釈">[[三菱・4G6型エンジン]]のうち、4G61のみサイレントシャフトが搭載されなかった。この4G61の内部部品を流用する事でサイレントシャフトを除去する改造が行えた。</ref><ref>{{Citation | last = Bowen | first = Robert | year = 2009 | date = January 15 | title = How to Build Max-Performance Mitsubishi 4G63t Engines | publisher = S-A Design | isbn = 978-1932494624}}</ref>こともあった。これは同時に、直列4気筒の[[レーシングカー]]には[[レーサー|ドライバー]]にとって極めて過酷な振動がつきものであることも意味していた。
 
 
 
== 4気筒エンジンでの採用例 ==
 
[[Image:Balanceshaft.jpg|thumb|right|250px|[[フォード・タウヌス]][[:en:Ford Taunus V4 engine|V型4気筒エンジン]]のバランスシャフト]]
 
[[三菱自動車工業]]は[[1974年]]([[昭和]]49年)に[[サイレントシャフト]]を発表し、[[直列2気筒]]の[[三菱・2G2系エンジン]]に初採用した。なおそれ以前の[[1971年]](昭和46年)に[[ホンダ・ライフ]](初代)が、同様に一次バランスシャフト付き直列2気筒の[[ホンダ・EA型エンジン|EA型エンジン]]を搭載して登場している。
 
 
 
翌[[1975年]](昭和50年)からは最大排気量が2,600 ccに達する[[三菱・4G5系エンジン]]にも採用され、バランスシャフトの代表的な存在となった。サイレントシャフトは[[シリンダーブロック]]の下部に2本のシャフトの位置を上下にずらした形でオイルポンプと連結された状態で配置され、エンジンの振動のみならず、起振モーメントをも打ち消すことに成功した。当時の三菱は「サイレントシャフトを搭載した[[直列4気筒]]は[[V型8気筒]]に匹敵する低振動である」と宣伝し、[[三菱・デボネア]]にもそれまでの[[直列6気筒]]エンジンを排してまでサイレントシャフト付き直列4気筒エンジンを採用した。三菱は後に[[フィアット]]、[[サーブ_(自動車)|サーブ]]、[[ポルシェ]]にサイレントシャフトの特許使用を認可し、各社の2,000 cc以上の大排気量直列4気筒エンジンに採用された<ref name="autozine"/>。
 
 
 
なお、サイレントシャフト以前から各社でランチェスターバランサーの研究自体は行われていたが、シャフトの配置及び基本概念の多くを三菱が特許で押さえてしまったため、各社はシャフトの配置についてはサイレントシャフトと異なる形とし、特許抵触の回避が不可能な部分については三菱との個別交渉で許諾を得る事で解決を図った。[[サーブ_(自動車)|サーブ]]の場合は[[:en:Saab_H_engine#B204_.26_B234|B234]]エンジンにてサイレントシャフトとは異なるシャフト配置でサイレントシャフト以上の振動低減を実現。ポルシェの場合には自社の[[トランスアクスル]]技術との[[クロスライセンス]]契約を結ぶことで、サイレントシャフトと同じ配置のバランスシャフトの採用にこぎ着けた経緯がある。
 
 
 
現在では2,000 cc以上の大排気量エンジンに6気筒エンジンが使われることもあり、サイレントシャフトのような'''2本のシャフトを用いた完全バランサー'''を用いてまで大排気量直列4気筒エンジンを採用すること自体が少なくなったが、現在でも多くのエンジンでランチェスターの基本概念を応用したバランスシャフトは何らかの形で用いられ続けている。
 
 
 
== 6気筒エンジンでの採用例 ==
 
[[Image:FordtaunusV4front.jpg|thumb|right|250px|[[フォード・タウヌス]][[:en:Ford Taunus V4 engine|OHV V型4気筒エンジン]]のカムシャフト駆動部分。上の大きな歯車がカムシャフト駆動用の歯車で、下のクランクシャフトギアのの半分の速度で回転する。クランクシャフトギアの脇にあるのがバランスシャフトで、多くのV6エンジンと同じ1本シャフトである]]
 
6気筒エンジンにおいては、4気筒エンジンとは異なり、1本のクランクシャフトと等回転のバランスシャフトが用いられ、その多くが[[V型6気筒]]エンジンで採用されている。
 
 
 
現在のV型6気筒エンジンは偶力振動を可能な限り減らすためにシリンダーバンクが60度で設計されることが多くなったが、それ以前のV型6気筒エンジンは'''V型8気筒エンジンをベースに2気筒減じる形で設計された'''ため、90度のシリンダーバンクを持つものが多かった。このようなエンジンの場合には一次振動と二次振動自体は[[直列6気筒]]同様にバランスされるが、上下方向にエンジン全体の[[みそすり運動]]が発生する。
 
 
 
このようなエンジンでも複雑な形状の高価なクランクシャフトを用いることでみそすり運動の解消は可能であるが、バランスシャフトを使用した方が経済性が高いために、多くのメーカーでは1本のバランスシャフトを配置してみそすり運動の低減を図ったのである。
 
 
 
V型6気筒と同様の理由により、[[直列3気筒]]でも1本の等速シャフトが使われる例があったが、排気量の小さなエンジンでは省略される事も多くなっている。
 
 
 
==関連項目==
 
* [[エンジンの振動]]
 
* [[サイレントシャフト]]
 
 
 
== 脚注・注釈 ==
 
'''脚注'''
 
<div class="references-small">
 
<references/>
 
</div>
 
'''注釈'''
 
<references group="注釈"/>
 
 
 
==外部リンク==
 
*[https://web.archive.org/web/20041208071125/http://www.babcox.com/editorial/ar/eb10330.htm "Weighing the Benefits of Engine Balancing"], Larry Carley, Technical Editor, Babcox.com
 
 
 
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バランスシャフト(bálance shàft)

振動を軽減するために内燃機関に使われる偏心荷重を取りつけた軸.



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