世間胸算用
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『世間胸算用』(せけんむねさんよう)は、井原西鶴作の浮世草子で、町人物の代表作の一つ。元禄5年(1692年)に刊行され、各巻4章、5巻20章の短編からなる[1]。
副題として「大晦日は一日千金」。
商人にとって1年の総決算である大晦日に時間を絞って、貸し手と借り手との駆け引きを中心に、年の暮れの庶民の姿を描いている。
内容
巻一
- 問屋の寛闊女 - 流行小袖は千種百品染、大晦日の振手形如件
- 長刀(なぎなた)は昔の鞘 - 牢人細工の鯛つり、大晦日の小質屋は泪
- 伊勢海老は春の栬(もみぢ) - 状の書賃一通一銭、大晦日に隠居の才覚
- 鼠の文づかひ - 居(すゑ)風呂の中の長物語、大晦日に煤はきの宿
巻二
- 銀一匁の講中 - 長町に続く嫁入荷物、大晦日の祝儀紙子一疋
- 訛言(うそ)も只は聞かぬ宿 - 何の沙汰なき取上婆、大晦日の投節も唄ひ所
- 尤も始末の異見 - 宵寝の久三がはたらき、大晦日の山椒の粉売(こうり)
- 門柱(かどばしら)も皆かりの世 - 朱雀(しゆじやか)の鳥おどし、大晦日の喧嘩屋敷
巻三
- 都の顔見芝居 - それ/\の仕出し羽織、大晦日の編笠は被物(かづきもの)
- 年の内の餅花は詠(ながめ) - 掛取上手の五郎左衛門、大晦日に無用の仕形舞
- 小判は寝姿の夢 - 無間の鐘つく/\゛と物案じ、大つごもりの人置の嚊
- 神さへお目違ひ - 堺は内証のよいところ、大晦日の因果物がたり
巻四
- 闇の夜の悪口 - 世にある人の衣(きぬ)くばり、地車に引く隠居銀
- 奈良の庭竈 - 万事正月払ぞよし、山路を越ゆる数の子
- 亭主の入替り - 下り舟の乗合噺、分別してひとり機嫌
- 長崎の柱餅 - 礼扇子は明ける事なし、小見世物は知れた孔雀
巻五
- つまりての夜市 - 文反古(ふみほうぐ)は恥の中々、古へに替る人の風俗
- 才覚の軸すだれ - 親の目にはかしこし、江戸廻しの油樽
- 平太郎殿 - 喧しのお祖母(ば〻)を返せ、一夜にさま/\゛の世の噂
- 長久の江戸棚 - きれめの時があきなひ、春の色めく家並の松
刊行文献
- 「世間胸算用 現代語訳付」堀切実訳注 新版は角川ソフィア文庫・角川学芸出版
- 「世間胸算用」東明雅校訂 岩波文庫
- 「世間胸算用」村田穆校注 新潮日本古典集成:新潮社
- 『決定版 対訳西鶴全集13 世間胸算用』 ※麻生磯次・冨士昭雄訳注、明治書院
- 「世間胸算用」井原西鶴著 出版社:伊丹屋太郎右衛門 おおさかeコレクション- 大阪府立図書館
脚注
- ↑ 国史大辞典(吉川弘文館)
典拠レコード: