利尻礼文サロベツ国立公園
利尻礼文サロベツ国立公園(りしりれぶんサロベツこくりつこうえん)は、北海道にある国立公園。
概要
日本国内最北の国立公園であり、利尻島と礼文島の約半分、稚内市から豊富町・幌延町へ続く海岸砂丘林とサロベツ原野が指定されている[1]。公園全体の約7割が原生的な自然状態であり、全域に渡って風が強いため風衝植生になっている[1]。サロベツ原野がラムサール条約に登録されているほか[1][2]、「礼文島桃岩付近一帯の野生植物」「利尻島のチシマザクラ自生地」「稚内海岸砂丘林」「レブンアツモリソウ群生地」が北海道の天然記念物に指定されている[3]。
歴史
サロベツ原野は戦後開拓による開発の対象になっていたこともあり、国定公園指定の際には公園区域にはならなかったが[4]、湿原の保護や観光地として注目されるようになり、国立公園指定の際に公園区域に加わった[4]。2005年(平成17年)に上サロベツ自然再生協議会が設立し、自然再生事業に取り組んでいる。
- 1965年(昭和40年):国定公園指定。
- 1974年(昭和49年):国立公園指定。
- 1989年(平成元年):幌延ビジターセンター開設[5]。
- 2003年(平成15年):第1回点検。
- 2005年(平成17年):サロベツ原野がラムサール条約に登録[2]。
- 2011年(平成23年):サロベツ湿原センターがオープン[6]。
- 2014年(平成26年):日本郵便発行の310円普通切手の意匠に採用[7]。
自然
利尻島は円錐形の火山島であり、利尻山は利尻礼文サロベツ国立公園のシンボル的存在になっている[8]。高山植物に富む地域の1つとして山頂部にはリシリヒナゲシやボタンキンバイなどの固有種があり、各所に高山性植物群落による花畑を見ることができる[8]。山麓ではトドマツを中心とした針葉樹林帯があるほか、オタトマリ沼周辺ではアカエゾマツや湿原植物がある[8]。礼文島は丘陵性地形の離島であり、レブンキンバイソウやエゾノハクサンイチゲなどの花畑、レブンアツモリソウに代表する固有種が数多く存在し、礼文島は別名「花の浮島」とも呼ばれている[8][9]。いずれの島も渡り鳥の中継地になっている[8]。稚内市から幌延町までの約40 kmに渡って数列の砂丘が帯状に発達しており、砂丘の間には複数の湖沼がある景観になっている[8]。日本国内唯一といわれているミコアイサの繁殖地があるほか、オジロワシなどの貴重な鳥類を観察することができる[8]。サロベツ原野はサロベツ川流域に形成された泥炭地であり、低平地における日本国内最大の高層湿原になっている[8]。多くの渡り鳥が観察でき、チュウヒやシマアオジなどの繁殖地も存在している[8]。
- Cypripedium marcanthum var. rebunense.jpg
レブンアツモリソウ(2007年6月)
- Aquilegia flabellata var. pumila ミヤマオダマキ(深山苧環)礼文島 6250207.JPG
ミヤマオダマキ(2006年6月)
景勝地
- 礼文島
- 利尻島
- Sukoton.JPG
スコトン岬(2010年8月)
- Momoiwa.jpg
桃岩(2010年7月)
- Rebun Island Cat Rock.JPG
猫岩(2009年7月)
- 130726 Mount Rishiri view from Oshidomari Port in Rishiri Island Hokkaido Japan02s3.jpg
鴛泊港から見た利尻山(2013年7月)
- 130727 Himenuma Rishiri Island Hokkaido Japan01s3.jpg
姫沼(2013年7月)
- Hokkaido, Sarobetsu Plain.jpg
サロベツ原生花園(2009年8月)
- PankeMarsh1.JPG
パンケ沼園地(2015年4月)
ビジターセンター
センター名 | 設置者 | 所在地 | 利用者数(人) |
---|---|---|---|
サロベツ湿原センター | 環境省 | 北海道天塩郡豊富町上サロベツ8662 | 52,111[16] |
幌延ビジターセンター | 北海道天塩郡幌延町字下沼 | 6,849[16] |
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 利尻礼文サロベツ国立公園管理計画書 2007, p. 1.
- ↑ 2.0 2.1 “サロベツ原野 (PDF)”. 環境省. . 2016閲覧.
- ↑ “道指定文化財概要一覧(天然記念物) (PDF)”. 北海道教育委員会. . 2016閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 “はじめに(序文) | 全体構想”. サロベツ自然再生事業. 環境省. . 2016閲覧.
- ↑ “幌延町情報ボックス 平成27年度版 (PDF)”. 幌延町. p. 4 (2015年). . 2016閲覧.
- ↑ “サロベツ湿原センター”. サロベツ・エコ・ネットワーク. . 2016閲覧.
- ↑ “新料額の普通切手の意匠等” (プレスリリース), 日本郵便, (2013年12月6日) . 2016閲覧.
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 8.7 8.8 利尻礼文サロベツ国立公園管理計画書 2007, pp. 2-5.
- ↑ “レブンアツモリソウだけじゃない! 礼文島に行ったら見るべき花5選”. 北海道ファンマガジン (2008年12月1日). . 2016閲覧.
- ↑ “礼文島には桃の形をした巨岩「桃岩」がある!桃台猫台展望台へ!”. 北海道ファンマガジン (2014年10月3日). . 2016閲覧.
- ↑ “利尻島の4分の1を見下ろすならココ! 5合目展望台「見返台園地」”. 北海道ファンマガジン (2013年10月1日). . 2016閲覧.
- ↑ “名水百選「甘露泉水」が有名! 利尻島の4つの湧水ポイントを巡ろう!”. 北海道ファンマガジン (2013年9月28日). . 2016閲覧.
- ↑ “利尻の「姫沼」は人造湖だった!? 急坂を上って辿り着いた癒され空間”. 北海道ファンマガジン (2013年9月15日). . 2016閲覧.
- ↑ “白い恋人のパッケージに採用! 利尻島一の人気観光地「オタトマリ沼」”. 北海道ファンマガジン (2013年10月3日). . 2016閲覧.
- ↑ “浜勇知園地・展望休憩施設こうほねの家”. 北海道ファンマガジン (2008年3月14日). . 2016閲覧.
- ↑ 16.0 16.1 “国立公園内ビジターセンター等利用者数 (PDF)”. 環境省 (2013年). . 2016閲覧.
参考資料
- “利尻礼文サロベツ国立公園管理計画書 (PDF)”. 北海道地方環境事務所 (2007年). . 2016閲覧.