カノコユリ

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カノコユリ(鹿の子百合、学名:Lilium speciosumユリ科ユリ属多年草。別名、ドヨウユリ(土用百合)、タナバタユリ(七夕百合)。

特徴

分布は、九州(主に薩摩半島から長崎県沿岸)や四国(愛媛県や徳島県の山間部)、台湾北部、中国・江西省に自生しており、九州でもっとも自生密度が高いのが甑島列島である[1]。草丈は1〜1.5m、花期は7〜9月。約10cmの花が美しく、昔から観賞用に栽培もされている。和名は花弁鹿の子模様の斑点があることから。

江戸時代にはフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトがカノコユリの球根を日本から持ち出し、初めてヨーロッパで知られるようになった日本のユリとされる[1]明治時代には煮て乾かした球根が菓子原料として中国に輸出された[2][3]大正時代には球根がアメリカに輸出され、クリスマス復活祭用の生花に用いられた[4][3]。戦後には海外で観賞用花としての需要が高まり[3]高度成長期には良質なユリを生み出すための品種改良が行なわれたが、1970年代以降には海外での需要が減少した。

Status

テンプレート:絶滅危惧II類 2007年8月レッドリスト。以前の環境省レッドデータブックでは絶滅危惧IB類(EN)。

利用

鱗茎はユリ根として食用となり、また滋養強壮、利尿、咳止め、解熱、消炎の効能があるという。甑島列島の島民は天明の飢饉の際に鱗茎を食糧とし[3]太平洋戦争中にも鱗茎を掘って食べたという[5][6]

花言葉

荘厳、慈悲深さ

市町村の花

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 カノコユリ【鹿子百合】佐世保市
  2. 日本民俗学会編『離島生活の研究』国書刊行会、1975年、832頁
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 三浦尚子「鹿の子百合の咲く島 : 里町における鹿の子百合栽培の変遷資料」『お茶の水地理』47巻、2007年、54-58頁
  4. 日本地理風俗大系編集委員会『日本地理風俗大系 12 九州地方(下)』誠文堂新光社、1960年、224頁
  5. 日本民俗学会編『離島生活の研究』国書刊行会、1975年、808頁
  6. 村田 (1975)、49頁
  7. 合併協定項目資料18 慣行の扱いについて p.5 - 薩摩川内市(川薩地区法定合併協議会) 2013年7月5日閲覧。
  8. 『ワイドカラー日本 南九州』世界文化社、1971年、110頁