予測子修正子法
予測子修正子法(よそくししゅうせいしほう、英: Predictor‐Corrector Method)とは、常微分方程式の初期値問題に対する数値解法の一つである。
多段法に分類され、予測子によって近似計算を行い、修正子によりその近似値を修正する方法が一般的。
概要
常微分方程式の初期値問題は以下である。
- [math] \dfrac{d u}{d t}=f(t,u) [/math]
- [math] u(t_0) = u_0 [/math]
この厳密解は以下の積分方程式を満足する。
[math]u(t_{N})-u(t_{M})=\int_{t_{M}}^{t_{N}}f(t,u(t))dt[/math]
ここで、右辺の積分区間を単にきざみの一単位[math]h[/math]にとった公式を一般にアダムス型公式という。
[math]v_{n+1}-v_{n}=\int_{t_n}^{t_{n+1}}g_p(t)dt[/math]
被積分関数[math]g_{p}(t)[/math]は[math]p[/math]個の標本点において値[math]f_{i}=f(t_{j},v_{j})[/math]をとるラグランジュ補間公式であって、たかだか[math]p-1[/math]次の多項式である。
標本点として[math]t_{n-p+1}, t_{n-p+2}, \cdots, t_{n}[/math]をとったときこれを[math]p[/math]次のアダムス・バシュフォース公式といい、標本点として[math]t_{n-p+2}, t_{n-p+3}, \cdots, t_{n}, t_{n+1}[/math]をとったとき[math]p[/math]次のアダムス・ムルトン公式という。
前者は[math]v_{n-p+1}, \cdots, v_{n}[/math]から直接[math]v_{n+1}[/math]の値を計算できるのでこれを陽公式という。
対して、後者は[math]v_{n+1}[/math]の値を計算するのに[math]v_{n+1}[/math]自身の値を必要とする形式をとっており、このような公式を陰公式という。
陰公式では、その形から考えられるように、未知数[math]v_{n+1}[/math]は反復法によって求めうる場合がある。
陽公式によって[math]v_{n+1}[/math]の値を近似的に計算し、陰公式でその近似値を修正するというアルゴリズムがしばしば採用される。
このとき、陽公式のほうを予測子(predictor)、対応する陰公式のほうを修正子(correcter)と呼び、その解法を予測子修正子法という。
参考文献
- 森正武 『数値解析』 共立出版、2002年2月。ISBN 4-320-01701-3。