斜交座標系

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斜交座標系(2次元)

斜交座標系(しゃこうざひょうけい、oblique coordinate system

斜めに交わった数直線を軸とする座標系である。直交座標系の拡張としてとらえられる。

2次元平面における斜交座標系

2本の数直線xy が定点Oを共通の原点として、なす角θ ≠ 0°,90°,180°で交わっているとき、その座標系はx軸、y軸からなる斜交座標となる。 座標平面上の全ての点Pは、その点からx軸、y軸に関して平行線をひくことにより、P(a, b)と一意に表すことができる。 逆にある座標P(a,b)が与えられれば、Pの座標平面上の位置は一意に決定される。

なお、2本の軸のなす角θがθ = 90°のときは直交座標系となる。

直交座標系との座標変換

x軸、y軸からなる斜交座標系と共通の原点を持つx'軸、y'軸からなる直交座標系について、x軸、y軸がx'軸となす角をそれぞれ[math]\theta_x[/math][math]\theta_y[/math]とする。
斜交座標系でP(a, b)と表されている点を直交座標(a', b')に座標変換する公式は以下である:

[math]\begin{pmatrix}a'\\b'\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}\cos\theta_x&\cos\theta_y\\\sin\theta_x&\sin\theta_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix}[/math]

内積

直交座標系の場合は、2つのベクトル[math]\vec{u}=(u_x, u_y), \vec{v}=(v_x, v_y)[/math]内積はその座標成分の積の和で表されるが、斜交座標系の場合は以下のようになる:

[math]\begin{align}\vec{u}\cdot\vec{v} &= u_x u_y+(u_x v_y+u_y v_x)\cos\theta+v_x v_y\\ &= \begin{pmatrix}u_x&u_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&\cos\theta\\\cos\theta&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v_x\\v_y\end{pmatrix}\end{align}[/math]

ここで右辺に現れる行列は、計量テンソルに一般化される。

あるいは次のようにも表現できる[1][2]

[math]\begin{align} & \vec{u}\cdot\vec{v} = u^i v_i = u^1 v_1 + u^2 v_2, \\ & (u^1,u^2)=(u_x,u_y),\\ & (v_1,v_2)=(v_x+v_y\cos\theta, v_x\cos\theta+v_y) \end{align}[/math]

このとき、添字が上についている量(u1 など)を反変成分、下についている量(v1 など)を共変成分という。各座標軸の方向を向く単位ベクトル共変基底ベクトル)を[math]\vec{e}_1,\vec{e}_2[/math] とすれば、反変成分を用いて

[math]\vec{u} = u^i\vec{e}_i = u^1\vec{e}_1+u^2\vec{e}_2[/math]

と書くことができる。また、反変基底ベクトルとして

  • [math]\vec{e}^1[/math]:y軸(または[math]\vec{e}_2[/math])に垂直で長さが 1/sinθ のベクトル
  • [math]\vec{e}^2[/math]:x軸(または[math]\vec{e}_1[/math])に垂直で長さが 1/sinθ のベクトル

とすれば[3]、共変成分を用いて

[math]\vec{v} = v_i\vec{e}^i = v_1\vec{e}^1+v_2\vec{e}^2[/math]

と書くことができる。

この例では、計量テンソルg

[math]\begin{align} g_{ij} &= \begin{pmatrix}\vec{e}_1\cdot\vec{e}_1 & \vec{e}_1\cdot\vec{e}_2 \\ \vec{e}_2\cdot\vec{e}_1 & \vec{e}_2\cdot\vec{e}_2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1 & \cos\theta \\ \cos\theta & 1\end{pmatrix}, \\ g^{ij} &= \begin{pmatrix}\vec{e}^1\cdot\vec{e}^1 & \vec{e}^1\cdot\vec{e}^2 \\ \vec{e}^2\cdot\vec{e}^1 & \vec{e}^2\cdot\vec{e}^2 \end{pmatrix} = \frac{1}{\sin^2\theta}\begin{pmatrix}1 & -\cos\theta \\ -\cos\theta & 1\end{pmatrix} \end{align}[/math]

となる。

上記の議論は[math]\vec{u}, \vec{v}[/math] を入れ替えても同様に成り立つ。

脚注

  1. W. フリューゲ; 後藤学訳 『テンソル解析と連続体力学』 ブレイン図書出版、1979年、3-6頁。 
  2. ui vi などにはアインシュタインの縮約記法が適用され、総和記号が省略されていることに注意。
  3. これらのベクトルの間には、クロネッカーのデルタを用いて、[math]\vec{e}^i\cdot\vec{e}_j = \delta^i_j[/math] の関係が成り立つ。

関連項目



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