のと鉄道七尾線
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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七尾線(ななおせん)は、石川県七尾市の七尾駅と石川県鳳珠郡穴水町の穴水駅を結ぶ、のと鉄道が運営する鉄道路線である。
Contents
概要
当路線は、1991年の七尾線津幡駅 - 和倉温泉駅間の電化に際して、西日本旅客鉄道(JR西日本)が石川県に和倉温泉以北の路線を引き受けることを要求したために、能登線の運営を行っていたのと鉄道がその営業を引き継いだものである。転換にあたり、この路線が転換時に交付金等の支援が受けられる特定地方交通線ではなかったため、JR西日本から路線を買い上げるよりも借用が妥当と判断された[1]。そのため、線路等の施設はJR西日本がそのまま所有し、七尾駅 - 和倉温泉駅間 (5.1km) はJR西日本との共用区間となっている。
当初、七尾駅 - 輪島駅間が移管されたが、2001年に乗客減少の著しい穴水駅 - 輪島駅間が廃止された。さらに2005年には能登線が廃止されたことにより、当路線はのと鉄道唯一の営業路線となった。なお、七尾線は能登線と一体的に運行されていたにもかかわらず存続となったが、これは七尾線の輸送密度が能登線を上回っていたことのほかに、全線を廃止にした場合職員の雇用先の確保が難しいこと、北陸新幹線の開業による並行在来線の第三セクター転換に備えて県関連組織に鉄道運営のノウハウを確保することなどもその理由として挙げられている[2]。
路線データ
運行形態
普通列車のほかに、別料金を要する観光列車「のと里山里海号」が運行されている。また、下記のほか、JR西日本との共用区間である七尾駅 - 和倉温泉駅間には「能登かがり火」・「サンダーバード」「花嫁のれん」などのJRの特急列車が運行されている。のと鉄道の列車は電化区間である七尾駅 - 和倉温泉駅間も含め、全列車とも気動車による運行である。
普通列車
普通列車は全列車各駅停車で、夜間に区間列車が七尾駅 - 能登中島駅間に1往復運転されるほかは、すべて七尾駅 - 穴水駅間の運行となっている。おおむね1時間に1本程度の運行で、NT200単行(1両編成)が基本であるが、朝夕には2両編成も運転されている[3]。以前は朝夕に3両編成や4両編成の運転もあった[4]。2016年3月26日現在、穴水駅の始発は6時15分、七尾駅の最終は22時である。七尾駅 - 和倉温泉駅間にはJRの普通列車は運行されず、同区間の普通列車はすべてのと鉄道が運行する。
「のと里山里海号」の運転日には、同列車の専用車両を併結したり、運休したりする普通列車がある。折り返し朝の下り「のと里山里海号」となる送り込み列車の穴水発七尾行き126Dは「のと里山里海号」専用車両で運行されるが、運賃のみ・別料金なしで利用できる。
のと里山里海号
2015年4月29日から運行されている観光列車で[5]、専用のNT300形気動車を使用し、水曜日を除く平日に「カジュアルコース」、土日祝日に「ゆったりコース」が運行される。平日・土日祝日ともに、朝に下り1本、正午前後に1往復、午後に1往復が運行される。祝日を除く水曜日は専用車は使用されず、運休もしくは普通列車となる。
「カジュアルコース」は午後の1往復が普通列車との併結で、朝の下り1本と正午前後の1往復が専用車両の単独運行である。各駅停車で、専用車両に乗車する場合は運賃のほかに乗車整理券(300円)が必要である。祝日を除く水曜日は、朝の下り1本はNT200形の普通列車に差し替えられ、正午前後の1往復は運休、午後の1往復は専用車両の連結されない普通列車となる。
「ゆったりコース」は全席要予約の座席指定制で、スイーツ、寿司御膳、地酒を提供する飲食付きプランが設定されている。飲食付きプランの内容と料金は列車によって異なる。飲食なしで利用する場合、乗車区間の運賃と指定席料金(大人1500円、子供1000円)が必要。「ゆったりコース」の運行日は、「ゆったりコース」と同時刻の普通列車が運休となる。七尾駅・和倉温泉駅・穴水駅の発着時刻は「カジュアルコース」と同時刻であるが、途中、和倉温泉駅以外では乗降できない。
「カジュアルコース」「ゆったりコース」ともに、能登中島駅では午後の上りを除き10分前後一時停車し、駅構内に保存されているオユ10形郵便車を見学できるほか、能登中島駅 - 穴水駅間の七尾湾沿いの3か所で停車・徐行する。このため普通列車よりも全線の所要時間は長くなる。
運行開始当初ゆったりコースが下り3本・上り2本、カジュアルコースが3往復設定されていたが[6][7]、2016年3月26日のダイヤ改正でダイヤが共通化され両コースとも下り3本・上り2本となっている[8][9]。
過去の運行形態
穴水駅から輪島・能登線珠洲方面への路線を有していた頃には、普通列車は七尾駅 - 輪島駅間と七尾駅 - 穴水駅間に能登線への直通を加えた3系統に分かれていた[4]。さらに、北陸本線金沢駅から直通する急行「能登路」や、自社のパノラマ気動車NT800形を使用した急行「のと恋路号」が運転されており、JR同様急行料金が設定されていた(23キロまで100円、60キロまで310円、95キロまで520円)。しかし、輪島方面の急行は穴水 - 輪島間廃止に先立って2001年3月3日のダイヤ改正で廃止され、残る珠洲方面の急行についても、「能登路」は1年後の2002年3月23日のダイヤ改正で、「のと恋路号」はさらにその半年後の2002年10月21日に廃止された。現在はJRとのと鉄道とを直通する定期列車はないが、急行廃止後も両社間を直通運転する臨時列車が運転された実績がある。
使用車両
過去の車両
※転換後の使用車両
過去の乗り入れ車両
廃線区間(穴水 - 輪島間)
かつては穴水から輪島まで路線が延びていた。のと鉄道七尾線の一部で、輪島線[10]と称する区間である。廃止2年前の1998年には能登三井駅の交換設備が廃され、輪島 - 穴水間が1つの閉塞区間となって廃線を迎えた。
この区間の廃止が取り沙汰されるようになったのは、七尾線一部区間の引き受け後、のと鉄道が多額の赤字を計上しており、その大半を七尾線の赤字が占めていたためである[11]。この区間の赤字の要因の一つは乗客の流出であり、背景としてはモータリゼーションの加速が挙げられる。七尾線の穴水以北は簡易線の規格で建設されたために線形が悪く[1]、鉄道がスピードアップできない一方、鉄道に沿って能登有料道路を始めとする道路網が開通したため、自動車が圧倒的に有利な状況にあった(同様のケースは花輪線や山田線でも見られる)。例えば、金沢 - 輪島間には当時からJR七尾線・のと鉄道七尾線に平行して高速バス「奥能登特急」(現・輪島特急)が運転されていたが、このバスの所要が2時間で運賃が2000円であるのに対して、JR・のと鉄道経由では所要2時間50分で運賃2400円、急行「能登路」を利用しても所要2時間20分を要した[12]。また、七尾線の運行に関わる支出には、前述の経緯により、JR西日本に対する約1億3400万円にも上る線路・設備使用料が含まれており[13]、これが経営を圧迫したとも考えられている。廃止が決定したとき、石川県知事は「道路整備の進展が皮肉なことにのと鉄道を廃止に追い込んだ」とコメントした[14]。
このように厳しい経営が予想される中、能登空港開港に伴う交通再編が想定されたこともあって[15]2000年3月に廃線が決定、2001年に廃止された。これは国鉄民営化後に第三セクターに移管された路線が廃止された初めての事例となった。廃止後、能登中央バスが代替バスの運転を開始し、運営主体が北鉄奥能登バスに変わって現在に至る。
廃線跡は全区間、レール・枕木、鉄橋が撤去され、トンネルは鉄板で塞がれている。跡地の一部は、石川県道1号七尾輪島線(輪島道路)の道路用地や、住宅、駐車場などに利用されている。
歴史
七尾線自体は地元有志により設立された「七尾鉄道」を前身とするが、のと鉄道に転換された区間に限って言えば、すべて国有化後に国鉄(鉄道省)の手によって建設・開業された区間である。のと鉄道七尾線の原型となる七尾以北の路線が着工されたのは、津幡 - 七尾間の開業から26年経った1924年夏のことで、1935年に輪島まで全通となった。
七尾線一部区間ののと鉄道への転換が議論されるようになったのは、七尾線の電化に関する議論が本格化した1987年からで、1989年には七尾 - 輪島間ののと鉄道への運営方式の変更が運輸省に申請され、1991年には早くも転換された。特定地方交通線以外の路線が第三セクターに転換された初めての事例である。
年表
- 1924年(大正13年)夏 - 七尾以北の工事が着工
- 1925年(大正14年)12月15日 - 国鉄 七尾線 七尾 - 和倉間延伸開業。和倉駅(現在の和倉温泉駅)開業
- 1928年(昭和3年)10月31日 - 和倉 - 能登中島間延伸開業。田鶴浜駅、笠師保駅、能登中島駅開業
- 1932年(昭和7年)8月27日 - 能登中島 - 穴水間延伸開業。西岸駅、能登鹿島駅、穴水駅開業
- 1935年(昭和10年)7月30日 - 穴水 - 輪島間延伸開業により全線開通。能登三井駅、能登市ノ瀬駅、輪島駅開業
- 1972年(昭和47年)3月14日 - 列車集中制御装置 (CTC) を導入
- 1976年(昭和51年)4月1日 - 穴水 - 輪島間の貨物営業廃止
- 1980年(昭和55年)7月1日 - 和倉駅が和倉温泉駅に改称
- 1984年(昭和59年)2月1日 - 七尾 - 穴水間の貨物営業廃止
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道が継承
- 1991年(平成3年)9月1日 - のと鉄道七尾線 七尾 - 輪島間 (53.5km) 開業(第二種鉄道事業。和倉温泉 - 輪島間の経営を西日本旅客鉄道から移管)
- 1998年(平成10年)12月8日 - 能登三井駅における閉塞の取扱を廃止
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)
- 2007年(平成19年)3月25日 - 能登半島地震により運休。30日始発から全線で運転再開
- 2015年(平成27年)4月29日 - 観光列車「のと里山里海」を運転開始。
駅一覧
全駅石川県に所在。
駅名 | 駅間キロ | 七尾 からの 営業 キロ |
津幡 からの 営業 キロ |
接続路線 | 所在地 |
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七尾駅 | - | 0.0 | 54.4 | 西日本旅客鉄道:七尾線 | 七尾市 |
和倉温泉駅 | 5.1 | 5.1 | 59.5 | 西日本旅客鉄道:七尾線 | |
田鶴浜駅 | 3.5 | 8.6 | 63.0 | ||
笠師保駅 | 4.1 | 12.7 | 67.1 | ||
能登中島駅 | 3.6 | 16.3 | 70.7 | ||
西岸駅 | 6.2 | 22.5 | 76.9 | ||
能登鹿島駅 | 4.3 | 26.8 | 81.2 | 鳳珠郡穴水町 | |
穴水駅 | 6.3 | 33.1 | 87.5 | ||
廃止区間 | |||||
能登三井駅 | 11.0 | 44.1 | 98.5 | 輪島市 | |
能登市ノ瀬駅 | 5.0 | 49.1 | 103.5 | ||
輪島駅 | 4.4 | 53.5 | 107.9 |
過去の接続路線
- 穴水駅:のと鉄道能登線 - 2005年4月1日廃止
運賃
会社記事を参照。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 所澤秀樹『鉄道地図の「謎」』、山海堂、2002年、223頁 - 226頁。ISBN 4-381-10423-4
- ↑ 『北國新聞』2003年12月26日付朝刊
- ↑ 『鉄道ジャーナル』2006年8月号、2006年、83頁。
- ↑ 4.0 4.1 川島令三『全国鉄道事情大研究 北陸編(1)』、相思社、1995年、196 - 206頁。ISBN 4-7942-0616-X
- ↑ 水戸岡デザインは古い?「観光列車」に新時代 | 鉄道最前線 - 東洋経済オンライン、2015年5月3日
- ↑ のと鉄道『のと里山里海号』、金沢直通の可能性は? - レスポンス、2015年4月19日
- ↑ 『JTB時刻表』2015年7月号、JTBパブリッシング、pp.496-497
- ↑ 観光列車「のと里山里海号」の平成28年春ダイヤ改正について (PDF) - 石川県、2016年5月1日閲覧
- ↑ 『JTB時刻表』2016年4月号、JTBパブリッシング、pp.496-497
- ↑ 地域住民からみたのと鉄道輪島線廃線の影響に関する研究、土木学会中部支部研究発表会公演概要集、2004年3月
- ↑ 平成8年度以降の赤字額は3億円前後で、七尾線の赤字がそのうちの2億円を占めていた(『鉄道地図の「謎」』223頁)
- ↑ データはすべて2000年当時
- ↑ 平成10年度のデータ(『鉄道地図の「謎」』224頁)
- ↑ 2004年2月4日付け北國新聞記事
- ↑ 宮脇俊三『鉄道廃線跡を歩くIX』、JTB、2002年、120頁。ISBN 4-533-04374-7
参考文献
- 寺田裕一『日本のローカル私鉄2000』、ネコ・パブリッシング、2000年。ISBN 4-87366-207-9