エシャロット
英語ではシャロット(shallot)。中東原産で、十字軍がヨーロッパに持ち帰ったとも言われ、名前は中東の都市アシュケロンに由来する。鱗茎の皮の色はタマネギに似ている。
利用
フランス料理など、西洋料理の香味野菜として、鱗茎を微塵切りしたものや下ろしたものを臭み消しやソースに用いる。
イランでは、モーセールと呼び、刻んでヨーグルトと混ぜて、ケバブの付け合わせなどにする。南アジアでもサンバルソースの具として欠かせない。
中国では胡葱(フーツォン)、台湾では紅葱頭(アンツァンタウ)、香港では乾葱(コンチョン)、タイではหอม(ホム)と呼ばれる。中華料理、台湾料理、タイ料理では、刻んで、油とともに強火で炒め、肉など他の食材を加えて炒め物として用いることが多い。また、台湾料理では、刻んで油でからからに揚げたものを麺料理の薬味にもよく用いる。
中国福建省の竜海市には「香脯糕」(シアンプーガオ)という落雁に似た干菓子があり、エシャロットやネギの風味を付けたものもある。
日本のエシャレット
日本では、生食用に軟白栽培されたラッキョウ (Allium chinense) が、「エシャレット」の商品名で販売されていることが多い。この一年物の早獲りラッキョウに「エシャレット」という商品名を命名したのは東京築地の青果卸業者・川井彦二であり、その理由として「『根ラッキョウ』の商品名では売れないと思ったのでお洒落な商品名を付けた」と語っている[1]。「エシャレット」が商品化された1955年頃はまだ、日本で本物のエシャロットが一般的でなかったので問題はなかったが、2006年現在となっては紛らわしい。農林水産省のウェブサイトでは「月報野菜情報(2012年5月)を参考として、若採りのらっきょうは「エシャロット」と呼ばれていたが、香味野菜「シャロット(英名)」のフランス名が「エシャロット」で、混同されたことから、若採りのらっきょうの方は「エシャレット」や「エシャ」と呼ぶようになったとしている[2]。いずれにしても分類上、同じネギ属の同属異種植物であるものの、エシャロットとラッキョウでは見た目も味も違う。日本では、この根らっきょう「エシャレット」が、誤って「エシャロット」と呼ばれることが少なからずあり、小売店でも誤っている場合があるため、本物のエシャロットが必要な場合は「ベルギー・エシャロット」などと明示されているものを選ぶのが、間違いのない判断方法である。
尚、このエシャレットは、静岡県の遠州地方で特に多く栽培・消費されており、初鰹の付け合わせとして欠かすことのできないものになっている。味噌やマヨネーズを塗って丸かじりする食べ方もある。
脚注
- ↑ 「ためしてガッテン」2014年7月2日放送「最強野菜!らっきょう 驚異の底力」 - NHK
- ↑ 「エシャレット」と「エシャロット」との違いは何ですか。 - 農林水産省