大阪市高速電気軌道
大阪市高速電気軌道株式会社(おおさかしこうそくでんききどう、英: Osaka Metro Co., Ltd.)は、大阪府大阪市内およびその周辺地域で地下鉄および新交通システムを運営する鉄道・軌道事業者[1]である。
愛称はOsaka Metro(オオサカ メトロ)。国際化を見据えて英語表記を採用した[2]。地名をわかりやすく示すため、報道機関によっては「大阪メトロ」と表記する場合もある[3]。大阪市は「大阪市高速電気軌道」のほか「大阪メトロ」「大阪地下鉄」も2017年に商標出願しており、乗車券類に記載される鉄道事業者の略称として「大阪地下鉄」の表記を使用しているが、「大阪メトロ」の活用法は未定である[4]。
概要
地方公営企業である大阪市交通局を市の行政改革の一環として民営化するにあたり、大阪市の地下鉄事業(大阪市営地下鉄)を承継する法人として、2017年(平成29年)6月1日に設立された株式会社である[5]。2018年(平成30年)4月1日より同局から継承した高速軌道(地下鉄)8路線 129.9kmと中量軌道(新交通システム)1路線 7.9kmを運営している[6]。地下鉄は交通局時代に大阪港トランスポートシステム (OTS)から運営を継承した区間をのぞく全線が軌道法に基づく軌道線、地下鉄のうちOTSから運営を継承した区間と新交通システム(ニュートラム)の大半の区間は鉄道事業法に基づく鉄道線として運営されている。
2018〜2024年度の中期経営計画では売上高に占める非鉄道事業の比率を発表時の17%から27%へ引き上げることを目指すとしている。夢洲に商業施設を建設するほか、遊休地で賃貸マンションやオフィスビルを開発する[7][8]。
歴史
路線
大阪市交通局から承継時点で、以下の地下鉄8路線と、「ニュートラム」と称するAGT路線1路線を運営している。
地下鉄の軌間は全て標準軌であるが、電気・集電方式は路線ごとに「直流750V 第三軌条方式」「直流1500V 架空電車線方式」に分類される。長堀鶴見緑地線・今里筋線は鉄輪式リニアモーターカー方式である。御堂筋線・中央線・堺筋線は、それぞれ北大阪急行電鉄、近畿日本鉄道、阪急電鉄と相互直通運転を行っている。
色 | 記号 | 路線番号 | 路線名 | 区間 | 備考 | キロ程 | 駅数 | 方式[※ 1] |
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M | 1号線 | 御堂筋線 | 江坂駅 (M11) - 中百舌鳥駅[※ 2] (M30) | [※ 3] | 24.5 km | 20 | 第三軌条 | |
T | 2号線 | 谷町線 | 大日駅 (T11) - 八尾南駅 (T36) | 28.3 km | 26 | 第三軌条 | ||
Y | 3号線 | 四つ橋線 | 西梅田駅 (Y11) - 住之江公園駅 (Y21) | 11.8 km | 11 | 第三軌条 | ||
C | 4号線 | 中央線 | コスモスクエア駅 (C10) - 長田駅 (C23) | [※ 4][※ 5] | 17.9 km | 14 | 第三軌条 | |
S | 5号線 | 千日前線 | 野田阪神駅 (S11) - 南巽駅 (S24) | 13.1 km | 14 | 第三軌条 | ||
K | 6号線 | 堺筋線 | 天神橋筋六丁目駅 (K11) - 天下茶屋駅 (K20) | [※ 6] | 8.1 km | 10 | 架線 | |
N | 7号線 | 長堀鶴見緑地線 | 大正駅 (N11) - 門真南駅 (N27) | 15.0 km | 17 | リニア | ||
I | 8号線 | 今里筋線 | 井高野駅 (I11) - 今里駅 (I21) | 11.9 km | 11 | リニア | ||
P | 南港ポートタウン線 | コスモスクエア駅 (P09) - 住之江公園駅 (P18) | [※ 4] | 7.9 km | 10 | AGT[※ 1] |
- ↑ 1.0 1.1 「第三軌条」は直流750V 第三軌条方式、「架線」は直流1500V 架空電車線方式、「リニア」は直流 1500V 架空電車線方式(鉄輪式リニアモーターカー)のこと。なお、AGTの南港ポートタウン線は三相交流 600V・側方接触式および三線剛体架線方式。
- ↑ 旅客案内上は「なかもず駅」表示
- ↑ 江坂駅から北大阪急行電鉄南北線の千里中央駅まで直通運転。
- ↑ 4.0 4.1 中央線コスモスクエア駅 - 大阪港駅間および南港ポートタウン線コスモスクエア駅 - トレードセンター前駅間は大阪市高速電気軌道が第二種鉄道事業者、大阪港トランスポートシステムが第三種鉄道事業者。
- ↑ 長田駅から近鉄けいはんな線の学研奈良登美ヶ丘駅まで直通運転。
- ↑ 天神橋筋六丁目駅から阪急京都本線の河原町駅および阪急千里線の北千里駅まで直通運転。
上表の色欄で示したラインカラーは路線図などで使われている。
タイアップイベント
- 劇場版ポケットモンスター みんなの物語 - 2018年8月にOsaka Metro初のタイアップイベントとして「Osaka Metro ポケモンスタンプラリー」を開催[11]。
関連会社
- 大阪シティバス - 大阪市交通局のバス事業(大阪市営バス)の事業譲渡を受けたバス運営会社。現在は100%子会社。
- 大阪メトロサービス - 大阪市交通局協力会の事業譲渡を受けた企業。主にOsaka Metroでの物販、IC乗車カード「PiTaPa」事業を手掛ける。
- 大阪地下街 - 大阪市の主要地下街を運営する会社。
関連項目
脚注
- ↑ 鉄道事業法による路線と、軌道法による路線の両方を運営しているため。
- ↑ “「大阪・市営地下鉄新会社の愛称「Osaka Metro」に決定 外国人にもわかりやすく”. 産経WEST (産業経済新聞社). (2018年1月25日) . 2018閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 “大阪メトロ、きょう誕生 「市営」85年の歴史に幕”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年4月1日) . 2018閲覧.
- ↑ “「大阪メトロ」などを商標出願 大阪市が来春の地下鉄民営化で活用検討”. 産経WEST (産業経済新聞社). (2017年6月15日) . 2018閲覧.
- ↑ 大阪市交通局の株式会社化に伴う大阪市営地下鉄の事業譲渡に係る許認可について (PDF) - 国土交通省、2017年12月15日
- ↑ Osaka Metro Group 2018〜2024年度 中期経営計画について - 大阪市高速電気軌道(2018年7月9日)2018年7月20日閲覧
- ↑ 「大阪メトロ、夢洲に観光客向け商業施設 中計を発表」『日本経済新聞』朝刊2018年7月10日(関西経済面)2018年7月20日閲覧
- ↑ “ICカードによる連絡定期券の発売開始について” (プレスリリース), 大阪市交通局, (2018年1月26日) . 2018閲覧.
- ↑ “地下鉄・バスIC連絡定期券等の発売開始について” (プレスリリース), 大阪市交通局, (2018年1月26日) . 2018閲覧.
- ↑ Osaka Metro初の大型タイアップイベント 「Osaka Metro ポケモンスタンプラリー」を開催します - 大阪市高速電気軌道、2018年7月25日