ゲストハウス
ゲストハウス(guesthouse, guest house)とは、
- 訪問者のための宿泊施設、母屋とは別に用意された建物。国賓などを迎え入れる設備は迎賓館(The Guesthouse)と呼ばれる。
- 安価な簡易宿泊施設。簡易宿所、B&Bの類。(簡易宿所型ゲストハウス)
- 日本ゲストハウス連盟が定義するコミュニティ空間のある多国籍賃貸住居。(シェア住居型ゲストハウス)
- 邸宅型結婚式・披露宴会場。通常の結婚式場とは違い一組が貸切る。(結婚式場型ゲストハウス)
Contents
概要
ゲストハウスという用語は多くの意味で使われる。
母屋とは別に準備された客人向けの住宅のことをゲストハウスと呼ぶ。
世界の旅行者の間では、比較的安価な料金で利用出来る、バックパッカーの利用などに主眼を置いた宿泊施設を指して使われることが多い。それらは、ホテルとは違い、部屋によってはトイレ、バスルームがない場合もあり、共用のものを利用する。月単位の料金設定をしているところもあり、そこではアパートのように長期滞在も可能である。イギリスで「guesthouse」といえば、ベッド・アンド・ブレックファスト(B&B)の大規模なものを指す。
首都圏では、シェア住居型ゲストハウスを意味することとして使われることが多い[1]。しかしながら、世界的にみると特異な用法である。
結婚式向けに貸し出す邸宅の事をゲストハウスと呼ぶ。
母屋と切り離された宿泊施設
ホストの生活空間(母屋)とは別に用意された建物(部屋の場合はゲストルームと呼ばれる)。トイレ、バスルーム、ベッドルームなど訪問者(ゲスト)のために準備されている。 国家が所有し、国賓などを宿泊させる設備は迎賓館と呼ばれる。
簡易宿所型ゲストハウス
日本の簡易宿所型ゲストハウス
共同場所で他の旅行者と積極的な交流が出来る事を運営者が明確に示している簡易宿の事をゲストハウスと称している。ユースホステルのように1泊単位で宿泊できるバックパッカー向けに提供されている(カプセルホテルなどの簡易宿所も似ているが、運営側が他の旅行者との交流を禁止はしていないが、積極的にも促していないため区別されている)。「キッチン、トイレ、シャワールームなど共同で使用」「ドミトリー(相部屋)もある」などが特徴。日本では、北海道、関西地方(特に京都府)、沖縄県で特に多くのゲストハウスが見られる。[2]大阪や東京のドヤ街で、外国人受け入れ可能な簡易宿所をゲストハウスと称していることもある。
賃貸とは異なり、敷金・礼金が必要ない。その代わりに、契約の際にデポジット(保証金)を事前に支払う必要があるところが多い。このデポジットは、いわゆる敷金の場合もあるし、敷引きとして返還されない場合もある。大手や一部のゲストハウスでは、「入会金」として徴収し、「会員」となり、一旦、会員となって以降は、再度、入居する際に、デポジットや敷引きが不要というところもある。
海外の簡易宿所型ゲストハウス
日本国外のゲストハウスには、部屋同士がベニヤ板で区切られているだけであったり、窓のないこともある。一つの部屋に複数人が泊まれる部屋はドミトリーと呼ばれ、より安価である。
インドネシア(主としてバリ島)では「ロスメン」(Losmen)と呼ばれる。
シェア住居型ゲストハウス
首都圏では、外国人に開かれた、専門業者の運営する、賃貸型のシェア住居[3]をゲストハウスと称している。最近では、外国人と日本人が一緒に住むというコンセプトで運営するシェア住居型ゲストハウスもあり、日本人にも人気が増えてきている[4][5]。
賃料はワンルームの相場と比べ、安くない。2007年度で、429件、6897世帯のシェア住居型ゲストハウスが存在する。160室前後の大型ゲストハウスも3件ほど存在する[6]。首都圏以外にも、大阪、名古屋、仙台、北海道などに存在する。
シェア住居型ゲストハウスの住人構成
2008年度版のゲストハウス白書によると、住人は73%が日本人であり、69%が女性である。年齢構成では20代後半の入居者の比率が最も高く、調査母体の37%を占めている。学生は少ない。年収は、360万円以上の層が全体の28%であり、240〜360万の層が44%と一番多い。7割が女性であることを考えると、年収としてはごく普通の層が、幅広く入居していることになる。
シェア住居型ゲストハウスの定義
日本シェアハウス・ゲストハウス連盟では、ゲストハウスを下記のように定義している[7]。
- 最短の契約期間を1ヶ月以上とする中〜長期型滞在向け賃貸物件であること
- 入居者同士の共有スペースがあり、交流が図れること
- 国籍を問わず、入居できること
ゲストハウス白書ではゲストハウスを下記のように解説している。また、ルームシェアとゲストハウスの違いは、運営事業者の存在であるとしている。
定住型シェア住居としてのゲストハウスは従来の風呂無しアパートのように経済性のみを訴求点としたものではなく、共用設備の利用に際し発生する入居者同士のコミュニケーションを主要な訴求点としているのが特徴です。また居住期間も最短で数ヶ月以上となっており、主たる住居としての利用を前提としている点が簡易的な宿所型との大きな相違点です。
このように、シェア住居型ゲストハウスは、共用スペース等のコミュニティ発生装置を設け、訴求点とすることが定義の一部になっている[8]。
シェア住居型ゲストハウスへの滞在期間
ゲストハウス白書によると、オープン後間もない物件の入居者が多く、短期間の入居者比率が底上げされており、滞在期間は決して長くない。しかし、住人インタビューなどを見ると多くの解答者が理由がない限り現在のゲストハウスに住み続けたいと答えており、滞在期間は延びる可能性が高い。
過去にシェアハウスに住んだ経験がある住人の割合は64%と大変高い。一旦シェアハウスを経験すると、その後もシェアハウスに住み続けたくなる傾向が強いようである。
シェア住居型ゲストハウスの契約形態
ウィークリーマンションで採用されている定期建物賃貸借契約が一般的である[9]多くの物件では、敷金礼金に相当するものは、存在しないか低額である[10]。家賃に共用部の水光熱費が含まれている物件が一般的だが、別途共益費を1〜2万円徴収する物件もあり、家賃だけで物件を単純比較できなくなってきている。他は、退室の1か月以上前に告知が必要など、ほぼ通常の契約形態と同様である。
結婚式場型ゲストハウス
結婚式場型ゲストハウスにおける結婚式は、ゲストハウスウエディングと呼ばれる。一組の貸し切りで営業され、一日に二組程度(午前、午後)の式を実施している。 ハリウッドセレブばりの大邸宅を貸し切りにし、趣向を凝らしたオリジナルウエディングができるのが売り。特にアットホームな雰囲気を好むカップルに人気がある。式場によってはチャペル、ガーデン、プールなども敷地内にある。
脚注
- ↑ 検索サイトで検索すると、シェア住居型ゲストハウスに関するHPが多くヒットすることや、それぞれの様態の物件数を比較してみると、シェア住居型ゲストハウスが圧倒的であることから、一般的には、シェア住居型ゲストハウスとして使われることが多いと判断した。
- ↑ ゲストハウス情報検索サイトふうらい をみると沖縄にその多くが集中しているようである。
- ↑ キッチン、リビング、浴室、トイレ等の設備を複数名の入居者が共同で使用する住居の事。
- ↑ ボーダレスハウスは外国人と日本人の国籍比率が管理されており、入居者の全てが外国人、日本人だけになる事は無い。
- ↑ ボーダレスハウス参照。
- ↑ ゲストハウス白書より引用
- ↑ 日本ゲストハウス連盟のHPより引用[1]。
- ↑ 各ゲストハウス業者のホームページを見ても、コミュニティの発生する仕組みを自社のゲストハウスの訴求点の一つとして大切にとらえていることがわかる
- ↑ ゲストハウス白書ビジネス版にデータが存在する。
- ↑ ただし、敷金礼金0円とうたっていても別名目で実質徴収される場合もある。通常、デポジット(敷金相当)が1、2万円、クリーニング費(礼金相当)が5000円程度かかる。
参考文献
- ゲストハウスプロジェクト“じゅうにんといろ”by Editor's magazine
- ゲストハウス白書 2008年、ゲストハウス・ガイドブックひつじ不動産
- ゲストハウス-All About 2003-2008年、AllAbout
- 『ゲストハウスに住もう。-TOKYO 非定住生活』 2004年、今一生
- 『東京ゲストハウスライフ―270軒以上の路線別物件ガイド付き!!』 2007年、ロフトブックス