セコム

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セコム株式会社英称:SECOM Co., Ltd.)は、東京都渋谷区神宮前一丁目に本社を構える警備サービス業国内首位の株式会社で、狭義のサービス業として時価総額国内トップクラスであり、共に東証1部に上場している業界2位の綜合警備保障のおよそ7倍、3位のセントラル警備保障のおよそ99倍の規模を擁する。日本初の総合的警備保障会社である。セコムグループは、日本国内の他、海外21の国と地域に事業展開している。

概要

創業者飯田亮が昭和40年代から推進する業務の機械化は、防犯および火災報知分野(SPアラーム、現在のDXなど)、ビル設備の制御、監視(TOTAX、CX)や銀行ATMコーナーの自動化(HANKS)、家庭用警備システム(セコムホームセキュリティー)など広範であり、特に機械警備が他社との激しい競争に効果的に作用している。

契約者の住宅や事業所・店舗等に貼付される同社のステッカーは、オークションで転売されるほどに同社を象徴するトレードマークとなっている。未契約物件へのステッカーを貼付は触法行為(詳しくはこちら を参照のこと)に該当する場合もあるが、解約物件で既設置の警備機器撤去時にセコムの責による剥離がなされず、物理的に剥離不可の場合などは放置されたり、半分剥離など中途半端な解約物件もある。

同社の社名は機械警備の“代名詞”として広く浸透しており、警備システムを操作あるいは導入することを「セコムする」と表現する場合もあり、個人や携行品、車やバイク等の安全を確認する「ココセコム」も被認知度が高い。

グループ全体では本業の警備業に限定せずセキュリティ関連分野(ただし証券分野は含まれない)に積極的戦略で、自社開発の防犯・防災用品販売、病院経営や医療システム、情報セキュリティ分野全般のコンサルティングや各種サービス、日本初の民営刑務所美祢社会復帰促進センター)経営など、扱い業種は広範である。

セコムと新興他社のホームセキュリティー契約を比較すると、セコムは拠点(DP)の数が日本一だが、警備員一人あたりの受け持つ施設数も800〜1500物件と、他社とは群を抜いて日本一である。さらに警備員の担当業務も警報対処の他、駐車場やATM障害対応等多岐に渡る(詳細は後述)。従って異常警報受信時、担当警備員が他の対処等している可能性が高い。他の対処等なければ、契約先への緊急対処到着時間は圧倒的に早い場合もあるが、対処中の場合は極端に遅くなる場合もある(都道府県公安委員会規則においては、概ね警報等の受信より25分以内に警備員が到着できれば良いとなっており、契約上の所要時間は、対象物件がどんなに拠点より近くとも、25分となる)。対して新興他社は、警備員1人辺りの受け持つ物件数は100件〜200件程度のところが多いので、異常警報受信時における他対処率は低く、スムーズに現場に急行できる可能性が高い。従って、拠点の数が多くとも、緊急対処が早いとは一概には言えない。緊急対処とは拠点で待機する警備員が異常発生現場へ駆けつけることを指し、セコムの場合、日本国内約200万件の警備契約対象物件に加え、駐車場、ATM等の障害、レクサス等車両検索対応等、膨大な障害対応物件数を2830箇所の緊急対処要員待機拠点で対応している。

KDDI前身の一つ、第二電電(DDI、現・KDDI)の立ち上げに関与していることから、ココセコムはKDDIおよび沖縄セルラー電話の各auのネットワーク(CDMA2000 1xRTT)を使用している。成田国際空港のターミナルセキュリティを始めとする国内主要企業や施設などに常駐警備員または機械警備による警備業務を提供し、コンビニATMや銀行ATM等においても運営・管理の一部を担っている。

警備・防犯機器等の研究開発等も積極に行なわれ、天井走行型巡回装置や、貴重品輸送ガードロボット、介護補助ロボット、屋外巡回監視ロボット、貴重品取扱店向け防犯煙幕発生装置、厨房ダクト設置型自動消火システム、据え置き型強化液消火器、インターネット用電子認証等がある。

沿革

  • 1962年 7月 飯田亮及び戸田寿一により日本警備保障株式会社を設立(日本初の警備保障会社)
  • 1964年 10月 東京オリンピック開催。選手村などの警備を日本警備保障が単独で担当
  • 1966年 6月 日本初のオンラインによる安全システム「SPアラーム」を開発・発売
  • 1973年 2月 「セコム」、「セキュリティ・コミュニケーション(Security Communication)」を略した造語をブランドとする[1]
  • 1974年 4月 東京証券取引所市場第二部に上場
  • 1975年 3月 世界初のコンピュータ安全システム、CSS「コンピュータセキュリティシステム」を確立
  • 1977年 7月 東京電力関西電力中部電力との合弁で、原子力防護専門会社、日本原子力防護システムを設立
  • 1977年 10月 安全機器を自社生産するセコム工業を設立
  • 1978年 1月 台湾のタイワンセコム社(英文商号)と業務提携を結ぶ
  • 1978年 5月 東京証券取引所市場第一部指定
  • 1981年 1月 日本初の家庭用安全システム「マイアラーム(現セコム・ホームセキュリティ)」を開発・発売
  • 1981年 3月 韓国サムスングループとの合弁による韓国安全システム(現エスワン)を設立
  • 1982年 10月 米国ウェステック・セキュリティ社を買収
  • 1983年 12月 日本警備保障株式会社よりセコムに社名を変更
  • 1986年 1月 開発部門の拠点としてセコムTEセンター竣工
  • 1986年 6月 大阪証券取引所市場第一部に上場
  • 1986年 12月 人工知能等の基盤技術の研究を行うセコムIS研究所を設立
  • 1987年 9月 タイにタイセコムピタキイ社を設立
  • 1990年 11月 JR九州旅客鉄道と提携しJR九州セコム株式会社を設立
  • 1991年 4月 イギリスにセコムキャロル社(現セコムPLC)を設立
  • 1991年 6月 無菌調剤室を備えた調剤薬局を開設し、在宅医療サービスの一つとして、自宅で点滴治療を受ける患者へ薬剤供給するサービスを開始
  • 1992年 12月 中国での持株会社、西科姆(中国)有限公司を設立
  • 1998年 7月 日本初の画像センサー利用のオンライン画像監視システム「セコムAX」を開発・発売
  • 1998年 9月 損害保険会社の東洋火災海上保険(現セコム損害保険)に資本参加
  • 1999年 8月 航空測量・地理情報システムを提供するパスコに資本参加
  • 1999年 11月 医療保険適用の訪問看護ステーション「セコム新宿訪問看護ステーション」を開設
  • 2000年 6月 セコムグループのマンションデベロッパー、エクレールとセコム朝日が合併し、セコムホームライフとして営業開始
  • 2001年 3月 移動する人物・車両向けセキュリティサービス「ココセコム」を開発・発売
  • 2001年 10月 セコム損害保険が最適な治療でガン克服を目指すための保険として、日本初の「自由診療保険メディコム」を発売
  • 2001年10月 - 「株式会社 トスネット」の第二位の大株主となり資本提携。業務協力を開始。
  • 2002年 2月 セコム上信越東京証券取引所市場第二部に上場
  • 2002年 3月 セコムの医療事業部門を分社化するとともに、セコム在宅医療システム、セコムケアサービス、セコム漢方システムが合併し、セコム医療システムがスタート
  • 2002年 5月 セコムとセコム医療システムが、手が不自由な人の食事をサポートする食事支援ロボット「マイスプーン」を開発・発売
  • 2004年 9月 病院外での心停止を回復させるためのAEDのトータルサービス「セコムAEDトータルパッケージサービス」を発売
  • 2005年 9月 生活支援サービスを行う「セコム・ホームサービス」の提供を開始
  • 2005年 10月 日本初の屋外巡回監視ロボット「セコムロボットX」を発売
  • 2006年 5月 セコムトラストネットとセコム情報システムが合併し、セコムトラストシステムズがスタート
  • 2006年 10月 横浜市青葉区に、ご入居時に健常な方を対象としたシニアレジデンス「コンフォートガーデンあざみ野」を開設
  • 2006年 10月 大阪証券取引所市場第二部上場の東洋テックを持分法適用関連会社化
  • 2006年 12月 東京証券取引所市場第一部上場の能美防災および同社の連結子会社21社を連結子会社化
  • 2007年 4月 山口県美祢市に日本初のPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」を開設し、センターのセキュリティ・総務支援・刑務作業支援を開始
  • 2009年 6月 神戸市六甲にシニアレジデンス「コンフォートヒルズ六甲」を開設
  • 2010年 8月 セコムトラストシステムズが最高クラスのセキュリティを完備した「セキュアデータセンター」新館を開設、サービスの提供を開始
  • 2010年 9月 通報ボタンを使わず、強盗を自動検出する「インテリジェント非常通報システム」を発売
  • 2011年 7月 セコムテクノサービスを吸収合併
  • 2011年 12月 日本初の写真や身分証明書などの情報を預かる「セコム・ホームセキュリティ G-カスタム」を発売
  • 2012年 4月 国内防災業界3位のニッタンを連結子会社化
  • 2012年 10月 国内最大規模のデータセンター事業会社であるアット東京を連結子会社化
  • 2013年 4月 大手介護事業会社2社と協業し、高齢者救急対応サービス「セコム・マイドクタープラス」を発売
  • 2014年 9月 箱根駅伝の大会協賛社に名を連ねることを発表[2]
  • 2015年 8月 小荷物専用昇降機国内最大手のクマリフトを子会社化[3]
  • 2015年 10月30日 豊田自動織機より完全子会社・アサヒセキュリティの保有株式(100%)を、810億円で12月に取得する事を公表。[1]
  • 2015年 12月1日 アサヒセキュリティを子会社化。

セコム本社ビル

ファイル:SECOM-Head-Office-Building-01.jpg
セコム本社ビル
(渋谷区神宮前

セコム本社ビルは、2000年平成12年)12月に竣工した、セコム株式会社の本社ビルである。

東京・原宿明治通り沿いに建設された建物は地上18階、地下2階建てで、延床面積は17,960m2、建築主は有限会社原宿ビルであった[4]。設計は松田平田設計によるもので、事務所部分は20m×30mの無柱空間となっているほか、東郷神社側は同神社の緑を借景となるような開放性が考慮されているという[4]

セコム本社ビルが建設される以前、この場所には東郷神社が運営する学生会館、「東郷女子学生会館」であった[5]

日本国内での広告活動

1990年から読売ジャイアンツの元プロ野球選手長嶋茂雄を起用したTVCMをスタート。「セコムしてますか?」のフレーズで一躍有名に。もともとは旧社名時代に現役時代の長嶋を起用しており、再度改めての出演となった。長嶋が巨人の監督を務めていた時にもCM出演を続け、1994年から東京ドームに長嶋の写真を大きく用いたビッグボード(パネル広告)が掲げられており、長嶋が巨人の監督を勇退した2001年以降も使われている。なおこのビッグボードにホームランボールを当てるとセコムから賞金100万円が贈呈され(プロ野球公式戦のみ)、2012年までに11人の選手により14本のホームランが当てられている。

2004年、長嶋茂雄が脳梗塞で倒れたため、2代目CMキャラクターとしてSMAP(当時)の木村拓哉を起用し、CM内で長嶋茂雄と共演した。

2007年5月21日から流し始めたテレビCMに対して、視聴者から抗議が相次ぎ、同社は、このCMを、6月1日から一旦打ち切ることになった。

内容は、歩行者(を装って侵入先の下見をする犯罪者)や、電柱に登って作業中の電気工事作業者(を装って侵入先の下見、電線等に何らかの加工を施そうとする犯罪者)が猛獣(犯罪者の正体のイメージ)に変身し、最後に、「野獣はふだん、人の姿をしている」というテロップが表示されるというものであった。
これについて、「電気工事作業者が全て犯罪者であるかのような侮辱する内容だ」や「動物を悪として描いている」などの抗議があった。

2010年10月からは長嶋へのインタビュー企画「月刊 長嶋茂雄」がスタート。2013年には10年ぶりに長嶋を起用し過去のCMからの抜粋と新撮映像によって構成されたCMが放映されている。

関連会社

他各社

その他

なお、社内で「現送(げんそう)」あるいは「資金管理」と呼ばれている部門に関して、一般的には「現金輸送警備」の略とされているが、セコムでは「現金護送」の意味とされている(「輸送(=運ぶ)」だけなら誰でもできる、という趣旨とされる)。また警備業において一般的な業務である交通誘導業務については、特に積極的な事業展開は行っていない。

なお、同社は通常「日本初の警備保障会社」とみなされることが多いが、より厳密には1962年(昭和37年)3月23日設立の大日警がより早いという見方も可能である(セコムの前身である日本警備保障の設立は同年7月7日)。ただし、大日警は近年まで主として港湾地域のみで業務を行ってきたことから、“総合的な警備保障会社”としてはセコムを「日本初」と評価することが一般的となっている(ちなみに、警備業の根拠法である警備業法1972年(昭和47年)7月5日施行となっている)。

機械警備部門に配属されている警務職社員はBE(ビートエンジニア)と呼ばれ、業務内容は多岐に亘る。その内容は、緊急対処・CD/ATM障害対処・自社警備システムの保守点検や修理・巡回・ココセコム現場急行・不在時の郵便物の回収や庭木の水やり(一部の都市部のみ)等々を行っている。

機械警備部門・現金輸送警備部門に従事する社員の制服山本寛斎がデザインを手がけており、製作はユニクロが行っている。

韓国映画ガン&トークス」では、検事容疑者の留守宅をひそかに家宅捜索する際に、セコムの防犯システムに躊躇。逆にそれを利用して玄関ドアのガラス窓を損壊、数秒で現れたセコム社員に身分を明かし、まんまと開錠させるという滑稽なシーンがある(開始36分ごろ)。なお、韓国内ではサムスングループとの合弁会社「エスワン」がセコムブランドを使用して事業展開している。

不祥事

設備不備

2008年1月4日横浜市保土ケ谷区の「ホテルニュー京浜」で火災があり、2名が死亡し1名が重傷を負った。このホテルには2004年からセコムの「オンライン火災監視サービス」が設置されていたが、同社の社員が施工時に配線を間違え、しかも点検を怠っていたためシステムが機能しなかった。報道によれば、同社は火災後不審に思ったホテル側からの問い合わせで初めて火災を知ったという[7]

職務上知り得た情報の悪用

2012年5月26日京都市中京区の居酒屋が、閉店後に窃盗被害に遭った事件で、翌5月27日、かつて警備を担当していた社員が、窃盗容疑などで中京署に逮捕された。社員は店内の構造や防犯センサーの位置を把握していた[8]

提供番組

現在

過去

関連項目

競合警備会社

脚注

外部リンク


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