仙台東部道路
仙台東部道路(せんだいとうぶどうろ)は、東日本高速道路が管理する総延長24.8キロメートル (km) の高速道路(一般有料道路)である。全線が常磐自動車道に並行する一般国道自動車専用道路に指定されている。
Contents
概要
当初は国道6号(岩沼以北は国道4号)との重複区間のバイパス道路、また仙台空港へのアクセス有料道路として建設されたが、常磐自動車道の延伸で仙台東部道路の全区間が常磐自動車道に並行する一般国道自動車専用道路の一部に指定されたため、全線開通の際に制限速度を100 km/hまで引き上げた。そのため、高速自動車国道並みの高規格で設計されている。
本路線のほか、仙台北部道路も常磐自動車道に並行する一般国道自動車専用道路である。また、三陸自動車道の仙台港北インターチェンジ(IC) - 利府ジャンクション(JCT)は仙台東部道路・仙台北部道路間を直結する役割を担っている。
このような経緯から、高速道路ナンバリングでは常磐自動車道、仙台北部道路と三陸自動車道の仙台港北IC - 利府JCT間とともに「E6」が割り振られている。一方、営業路線名としては常磐自動車道に改称されておらず、IC番号やキロポストも三郷JCTからの通しではなく亘理ICから振り直しとなっている。
仙台都市圏環状自動車専用道路の一部となっている。
通過する自治体
接続高速道路
インターチェンジなど
- IC番号欄の背景色が■である部分については道路が供用済みの区間を示している。また、施設名欄の背景色が■である部分は施設が供用されていない、または完成していないことを示す。未開通区間の名称は仮称。
- スマートインターチェンジ (SIC) は背景色■で示す。
- BS(バス停留所)のうち、○/●は運用中、◆は休止中の施設。無印はBSなし。
- 路線名の表記がないものは市道。
- 英略字は以下の項目を示す。
IC 番号 |
施設名 | 接続路線名 | 起点から (km) |
三郷から (km) |
BS | 備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
E6常磐自動車道 相馬・いわき方面 | ||||||||
1 | 亘理IC | 県道269号亘理インター線 | 0.0 | 300.4 | 宮城県 | 亘理町 | ||
2 | 岩沼IC | 県道125号岩沼海浜緑地線 | 2.2 | 302.6 | 岩沼市 | |||
3 | 仙台空港IC | 県道20号仙台空港線 | 5.5 | 305.9 | 名取市 | |||
3–1 | 名取中央SIC | 7.8 | 308.2 | |||||
4 | 名取IC | 県道129号閖上港線 | 12.2 | 312.6 | ||||
5 | 仙台若林JCT | E48仙台南部道路 | 15.2 | 315.6 | 仙台市 若林区 | |||
6 | 仙台東IC | 県道23号仙台塩釜線 | 19.6 | 320.0 | ||||
7 | 仙台港IC | 県道10号塩釜亘理線 | 23.0 | 323.4 | 仙台市 宮城野区 | |||
1 | 仙台港北IC | 国道45号 | 24.8 | 325.2 | ||||
E6・E45三陸自動車道 石巻方面、E6仙台北部道路、E4東北自動車道 一関方面 |
サービスエリア・パーキングエリア
仙台東部道路にはサービスエリア (SA) ・パーキングエリア (PA) は一切ないが、亘理ICから常磐道を5 km南下したところに鳥の海PAが、同ICより約42 km南に南相馬鹿島SAが、三陸道方面を北上すれば春日PAが、仙台南部道路経由で東北道を北上すれば泉PAが、同道路経由で東北道を南下すれば菅生PAが、仙台北部道路経由で東北道を北上すれば鶴巣PAが存在する。なお、ガソリンスタンド併設のSA・PAはないため、給油する場合は東北道方面は鶴巣PAか菅生PAまで向かう必要がある。三陸道方面にはガソリンスタンド併設のPAは一切ないため、一般道で行う必要がある。常磐道方面では最短でも南相馬鹿島SAまでガソリンスタンドが存在しない。また、福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示区域内においては一般道でもガソリンスタンドが営業していないため、区域外の営業している地域まで進む必要がある。
主なトンネルと橋
- 新阿武隈橋(亘理IC - 岩沼IC) : 528 m
- 名取川橋(名取IC - 仙台若林JCT) : 530 m
- 仙台東部高架橋(仙台東IC - 仙台港北IC) : 4,390 m
歴史
- 1976年(昭和51年)3月 : 仙台東バイパス(後の仙台東部道路)の設計にあたって起こり得る諸問題を研究・検討した報告書が建設省から出版された[1]。
- 1986年度(昭和61年度) : 一般有料道路 仙台東バイパス[2](後の仙台東部道路)の仙台東ICより南の区間が事業化[3]。
- 1994年(平成6年)3月30日 : 仙台東部道路の仙台空港IC - 仙台東IC間開通[4]。
- 1995年(平成7年)7月27日 : 岩沼IC - 仙台空港IC間開通
- 2001年(平成13年)8月1日 : 亘理IC - 岩沼IC間、仙台東IC - 仙台港北IC間開通。4車線区間の制限速度を80 km/hから100 km/hに引き上げ[5]。
- 2005年(平成17年)10月1日 : 日本道路公団の分割民営化により東日本高速道路株式会社に承継。
- 2011年(平成23年)
- 3月11日 : 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により全線通行止。地震・津波により甚大な損傷を受ける(詳細は後述)。
- 3月13日 : 亘理IC - 仙台若林JCT間の通行止解除。同時に緊急交通路に指定。
- 3月22日 : 亘理IC - 仙台若林JCT間の通行車両を大型車両等の指定車種に限定。緊急交通路指定は継続。
- 3月24日 : 亘理IC - 仙台若林JCT間の通行可能車種の限定及び緊急交通路指定を解除。同時に仙台若林JCT - 仙台港北IC間 下り線の通行止解除。
- 3月30日 : 仙台港北IC - 仙台若林JCT間 上り線の通行止解除。これにより東日本大震災による通行止は全て解除となった。
- 2012年(平成24年)12月1日 : 仙台港IC供用開始。
- 2017年(平成29年)3月18日 : 名取中央スマートIC供用開始[6]。
道路管理者
- 東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)
- 東北支社仙台管理事務所 : 亘理IC - 仙台港北IC
ハイウェイラジオ
- 名取(名取IC - 仙台空港IC)
2011年4月開局。当道路で唯一のハイウェイラジオで、コールサインは「ハイウェイラジオ名取」と放送される。
車線・制限速度
区間 | 車線 上下線=南行き+北行き |
最低速度 | 最高速度 | |
---|---|---|---|---|
大型貨物等 三輪・牽引 |
左記を除く車両 | |||
亘理IC - 岩沼IC | 2=1+1 | (なし) | 70 km/h | |
岩沼IC - 仙台港北IC | 4=2+2 | 50 km/h | 80 km/h | 100 km/h |
- 亘理IC - 岩沼IC間は4車線化工事中。2020年度開通予定。
自動車専用道路のため、最低速度と大貨等・三輪・牽引の最高速度とそれ以外の車種の最高速度の各標識が3つ連なって設置されている。
仙台圏の高速道路では唯一直線が多く、カーブが少ないため、制限速度が100 km/hとなっている。また、東北自動車道や並行する国道4号仙台バイパスに比べ交通量が少なく、アップダウンも少ない。
交通量
24時間交通量(台) 道路交通センサス
区間 | 平成17(2005)年度 | 平成22(2010)年度 | 平成27(2015)年度 |
---|---|---|---|
亘理IC - 岩沼IC | 5,636 | 8,309 | 19,654 |
岩沼IC - 仙台空港IC | 9,728 | 12,441 | 24,025 |
仙台空港IC - 名取中央SIC | 14,855 | 16,784 | 28,375 |
名取中央SIC - 名取IC | |||
名取IC - 仙台若林JCT | 20,252 | 22,504 | 36,529 |
仙台若林JCT - 仙台東IC | 25,763 | 33,149 | 44,843 |
仙台東IC - 仙台港IC | 15,466 | 23,682 | 35,774 |
仙台港IC - 仙台港北IC | 34,022 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
東日本大震災との関連事項
津波被害の抑制効果について
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって津波が来襲した際、付近に高台のなかった仙台市若林区一帯では当該区間が盛り土構造であったことが功を奏し、堤防(防潮堤)の役割を果たして内陸への浸水をおさえた。当該区間の法面に駆け上がって津波から逃れた人も多かった[7]。住民の間では以前から東部道路の防災機能について意見が上がっており、東部道路を一時避難場所として指定するよう15,000人分の署名を集め、宮城県や東日本高速道路と協議しているさなかの震災であった。県もこの効果に着目して、今後津波に対する堤防機能をそなえた道路を建設していく方針を示し、2011年5月上旬以降、仙台市若林区と名取市の沿道数ケ所に、仮設の階段が整備されている。通常は道路管理に利用されるが、災害時には沿道住民の避難場所として活用されることになっている[8][9]。
震災による損壊状況
震災時の強い地震や津波により、同道路は全線にわたって路面の陥没や段差が生じたほか、仙台若林JCTの誘導路は津波によるがれきで埋め尽くされた。応急工事により2011年3月までに仮復旧を終え一般車両の通行が可能になったが、段差が多く残っているため通常最高速度を100 km/hとしていた区間は80 km/hに抑えて運用を行っていた。その後復旧工事が行われ、本復旧が終了した区間から最高速度は順次100 km/hに戻され、2012年12月までに復旧工事は終了し最高速度も震災前の運用に戻っている。
脚注
- ↑ 昭和50年度 仙台東バイパス環境調査 報告書(建設省東北地方建設局仙台工事事務所 1976年3月発行)
- ↑ 沿革概要(国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所)
- ↑ みやぎ交流ネットワーク2013~ぐるっ都・仙台~ (PDF) (宮城県)
- ↑ 『仙台東部道路 仙台空港-六丁目開通 南道路も東に延長・接続』 - 河北新報1994年3月30日夕刊 2面
- ↑ 『仙台圏をほぼぐるり 仙台東部・南部道路 きょう全線開通 「環状型」8割完成』 - 河北新報2001年8月1日朝刊 15面
- ↑ “一般国道6号 仙台東部道路『名取中央スマートインターチェンジ』が3月18日(土)に開通します。 (PDF)”. 名取市・東日本高速道路株式会社 (2017年2月13日). . 2017閲覧.
- ↑ “東部道路、津波から住民救う 仙台・六郷”. 河北新報社 (2011年4月3日). . 2011閲覧.
- ↑ “仙台東部道に仮設階段 津波など震災時に避難所化”. 河北新報社 (2011年5月25日). . 2011閲覧.
- ↑ “仙台東部道路の今”. 助けあいジャパン (2011年8月20日). . 2011閲覧.