日枝久
日枝 久(ひえだ ひさし、1937年12月31日[1] - )は、日本の実業家、フジサンケイグループ代表[2]。2011年9月1日より東京文化会館館長[1]に就任、同時に公益社団法人全国公立文化施設協会 会長に就任した。同年10月20日より公益財団法人東京都歴史文化財団(アーツカウンシル東京)理事長[3]。東京都生まれ[4]。
株式会社フジテレビジョン(現株式会社フジ・メディア・ホールディングス)代表取締役社長・代表取締役会長[1]、株式会社フジテレビジョン代表取締役会長、社団法人日本民間放送連盟会長、日本美術協会代表理事(会長)[5]などを務めた。旭日大綬章叙勲。
来歴
1961年、早稲田大学教育学部を卒業、フジテレビジョンに入社[1][4]。大学内のイチョウの木の下のベンチでまどろんでいたところ、たまたま通りかかった先生からフジテレビを推薦されたことがきっかけで、創業期のプロパー社員となった[6]。
労働組合の結成に奔走し、書記長に就任[6]。25歳定年制だった女性社員の待遇改善を組合結成の重要な大義としたため、同社の非プロパーの年長社員が吉永小百合と結婚したことに衝撃を受けたあげ句の人気とりだと謗られ、人事でも左遷されたが腐らずに意欲的に働いた[6]。
1980年5月に編成局長に就任。1983年6月に取締役編成局長となる[1]。1986年6月、常務取締役総合開発室担当に就任[1]。1988年6月、代表取締役社長に就任[1]。 2001年6月、フジテレビジョン代表取締役会長に就任[1]。また、2003年4月から日本民間放送連盟会長を務めた[1]。2008年10月、認定放送持株会社となったフジ・メディア・ホールディングスの子会社として新設されたフジテレビジョンの会長に就任[1]。2009年の役員報酬は1億7100万円[7]、2013年の役員報酬は1億6700万円[8]。
2017年5月10日、代表権のない相談役に退任すると判明した。同年6月の株主総会後に開かれる取締役会で正式に決定する[9][10]。
人物
2010年2月25日、マルチメディア・マルチチャンネル時代に日本の放送産業発展をリードし、日韓間の文化コンテンツ産業発展などに寄与した功労が評価され、高麗大学校より名誉経営学博士号が授与された[11]。また、同年4月には早稲田大学からも名誉博士号を授与された[4][12]。2013年11月に旭日大綬章授与[13]。2014年にはイギリスより大英帝国勲章ナイト・コマンダー章を授与[14]。
ある会合の席で日枝と同じく少年時代にボーイスカウトだったソニーのハワード・ストリンガー会長と一緒になったとき、ネッカチーフがわりに首にナプキンを巻きつけ、スカウトの敬礼である三本指を立てたところ意気投合したと語るほどのスカウトびいきである[6]。
度々安倍晋三と会食したり、山梨県のゴルフ場でゴルフをしている(日々の首相動静を参照)。安倍は逆にフジテレビやニッポン放送の番組に出演しており、他の新聞社より夕刊フジの独占インタビューに応じることが多く、甥はフジテレビに入社した[15]。また、産経新聞社出身の森喜朗元首相とは盟友関係にある。
批判
2005年3月、日枝が代表取締役を務めるフジテレビジョン(旧会社)の最大株主でありフジサンケイグループの中核企業であるニッポン放送の経営権を危うくしたことについて、日枝の経営責任の可能性をBloombergは示唆した[16]。
ライブドア事件で、ライブドアの第三者割当増資を引き受けたフジテレビはライブドアに損害賠償を提起したが[17][18]、雑誌『AERA』記者の大鹿靖明は、フジテレビが増資を引き受ける際に1ヶ月もかけて資産査定をしたのに、ライブドアの自社株還流スキームを見つけられなかったことに疑問を呈している。実際、日枝はそのことを問われたが、「法務、財務の専門家にきちんとみていただいた。専門家の皆さんの名誉を傷つけることはできない」とだけ語ったという[19]。
2006年6月の第65回定時株主総会に出席した株主からも、ライブドア事件の影響による株価急落について経営責任を問う声があった[20]。
2005年9月にフジテレビはニッポン放送の完全子会社化を終了した[21]。
略歴
- 1961年 - フジテレビジョン(現フジ・メディア・ホールディングス)入社。
- 1980年 - フジテレビジョン編成局局長。
- 1983年 - フジテレビジョン取締役。
- 1986年 - フジテレビジョン常務。
- 1988年 - フジテレビジョン社長。
- 1992年 - グループ企業である産業経済新聞社の取締役会で鹿内宏明会長の解任決議が成立するよう差配した中心メンバーのひとりとなる。
- 1992年 - 産業経済新聞社取締役。
- 1992年 - フジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナル社長。
- 1993年 - 産業経済新聞社相談役。
- 1999年 - フジサンケイ・カルフォルニア・エンターテイメント社長。
- 2001年 - フジテレビジョン会長。
- 2003年 - 日本民間放送連盟会長。
- 2005年 - ライブドアによる敵対的買収事件に対処。
- 2008年 - (新)フジテレビジョン会長。
栄典
役職
フジサンケイグループ関連の役職
- 産業経済新聞社取締役相談役
- サンケイビル取締役
- フジパシフィック音楽出版取締役
- フジサンケイコミュニケーションズ・インターナショナル・インク代表取締役会長
- 北海道空港株式会社取締役
フジネットワーク関連の役職
- 北海道文化放送取締役
その他役職
- 公益社団法人全国公立文化施設協会 会長
- 公益財団法人東京都歴史文化財団(アーツカウンシル東京)理事長
- 国際連合世界食糧計画WFP協会顧問[4]
- 一般財団法人日本ウズベキスタン・シルクロード財団評議員[22]
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 東京文化会館及び東京都現代美術館 新館長の就任について - 東京都生活文化局・公益財団法人東京都歴史文化財団。
- ↑ フジサンケイグループとは|FUJISANKEI COMMUNICATIONS GROUP
- ↑ 公益財団 法人東京都歴史文化新理事長 の就任について 平成23年10月20日 - 公益財団法人東京都歴史文化財団。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 顕彰状 日枝久氏 – 早稲田大学 Thu, 01 Apr 2010
- ↑ 日本美術協会役員 2014年7月 高松宮殿下記念世界文化賞
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 ボーイスカウト関係著名人インタビュー 2012 No.688 3 SCOUTING ボーイスカウント日本連盟
- ↑ 「フジHD株主総会 日枝会長1億7千万 高額報酬に怒りの声2010/7/9)」週刊金曜日2010/7/9
- ↑ 「"年収1億円超"の上場企業役員443人リスト」東洋経済オンライン2015年03月18日
- ↑ フジテレビ・日枝会長が退任へ…取締役相談役に - YOMIURI ONLINE、2017年5月10日 11時23分配信、同月11日閲覧
- ↑ ニッポン放送社長、日枝久フジテレビ会長退任に「新しいグループになっていくのかな」 - デイリースポーツ、2017.5.10配信、同月12日閲覧
- ↑ 高麗大学、日枝久氏に名誉経営学博士号を授与 - 聯合ニュース(2010年2月25日17:22:KST アーカイブ)。
- ↑ 2010年度学部入学式 四氏に名誉博士学位を贈呈しました - 早稲田大学ニュース(2010年4月1日)。
- ↑ 平成25年秋の叙勲 旭日大綬章 内閣府
- ↑ 日枝フジテレビ会長に英がナイトの称号授与 2013.11.26 12:39 MSN産経ニュース
- ↑ 官邸テレビ支配進行 首相の甥がフジ入社、麻生氏甥はTBS在籍 - NEWSポストセブン 2014年3月20日
- ↑ 松田潔社、上野英治郎 ライブドア:フジから1474億円、ニッポン放送株と出資で-和解(5) April 18, 2005 05:39 EDT Bloomberg
- ↑ “訴訟の提起に関するお知らせ (PDF)”. 東証開示資料 バックナンバー. フジ・メディア・ホールディングス (2007年3月26日). . 2009閲覧.
- ↑ 三柳英樹 (2007年3月26日). “フジテレビ、ライブドアに対して約345億円の損害賠償請求訴訟”. INTERNET Watch (インプレス) . 2007閲覧.
- ↑ 大鹿靖明 『ヒルズ黙示録…検証・ライブドア』 朝日新聞社(原著2006-04-30)、初版、pp. 331-332。ISBN 4022501758。アクセス日 2009-01-12。
- ↑ フジテレビ株主″経営責任問う″ 2006年6月29日 15時49分 ライブドア・ニュース
- ↑ 放送界の動き(日本) - 放送研究と調査(月報) 2005年11月 NHK放送文化研究所
- ↑ 日本ウズベキスタン・シルクロード財団 本財団の目的と事業
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