水害
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水害(すいがい)とは、水による災害、すなわち洪水や高潮など、水によりもたらされる個人的・社会的被害の総称。水災(すいさい)。これを制御することを治水と呼ぶ。
Contents
概要
台風(熱帯低気圧)・前線(梅雨・秋雨)・温帯低気圧による河川池沼の洪水や高潮などによる外水氾濫のほか、積乱雲によって起こる豪雨によって排水がうまくできないで起こる内水氾濫などによる都市型水害も大きな問題となっている。
土砂崩れや土石流災害などは土砂災害、落雷や降雹によって起こる災害を雷害、雪によるものは雪害、風によるものは風害と呼ばれる。また、津波による被害は、通常は水害というより「地震災害」の一種と捉えるか、また単独で「津波災害」と括るのが普通である。
日本で水害など災害が起こった場合、主として消防機関(常備消防・消防団)、地域の自主防災組織(住民によるボランティア)が救援救助に当たるが、大規模災害の場合は自衛隊に災害派遣の要請を行うこともある。
水害の内容
- 人命の損失(死者、行方不明者、負傷者)
- 住宅の全壊・半壊
- 住宅の浸水
- 床上浸水
- 住家のうち居住の用に供する部分の床を超える浸水または地盤面より45cmを超える浸水。
- 床下浸水
- 床上浸水に至らない程度の浸水。
- 資財の流失
- 農業など産業面の被害
- 交通網・通信網・ライフラインの寸断など。これに伴う物流・経済活動の混乱。
水害の種類
- 外水氾濫
- 河川・湖沼の氾濫などで水があふれた場合。
- 堤防が決壊した場合、など。
- 自然河川の容量や治水施設の当初設計基準を上回る降雨などがあった場合。規準を越える外圧が加われば崩壊して水害になる。
- 計画高水位を超えて水が堤防からあふれた場合(越堤・溢水)(水位は 計画水位→危険水位(警戒水位)→計画高水位の順に高くなる)。
- 内水氾濫
- 降水が都市部や農地など河川以外の場所で排水不良の場合に内水氾濫が起こる。
- 浸水被害、都市水害、都市洪水、都市浸水。
水害の原因要素
気象的要因
- 大雨、暴風雨、台風、ハリケーン等による洪水
- 高潮(海嘯)・高潮位
- 融雪洪水:雪解け水による洪水
地理的要因
社会的要因
水害対策
予防と被害軽減の両面が必要とされる。為政者による治水、コミュニティによる自衛対策、個人による自衛対策が考えられる。
- ダム、堰、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯、水害防備林、放水路、土嚢、防潮板(防水板)
- 雨水貯留浸透施設、大規模雨水貯留施設、調整池、遊水池、河川管理施設
- 水害予防組合、水防団
- 輪中堤
- 水屋(避難所)、揚げ舟
- オランダの水害対策
水害への備え
- 自分が住んでいる場所にどのような水害が起こりうるか予測、対策を考える。
- 気象情報に注意し、危険が予測される場合は避難などを考える。避難勧告や避難指示に注意。高齢者は避難に時間がかかりやすいので特に早めの行動が必要となる。
- 浸水しやすい地域では、家屋の構造を工夫する。また緊急時には建物の1階開口部や地下鉄・地下街の入り口、地下駐車場斜路などに防潮板(防水板)や土嚢を設置して水の浸入を食い止められるようにしておく。
- 堆積土砂を除去する
- 落ち葉などゴミの清掃[1]
- 毎年、大雨時に田畑や河川を見に行って死ぬ人がいるが、様子を見に行ったところで水害を食い止められるわけではないでの、水害が起こりそうなときにそのような場所に近づいてはならない。
- 避難弱者(乳幼児、高齢者、身障者など)の早めの避難(避難準備情報)
水害が起こったとき
- 被害を食い止める
- 避難
- 救援・救助、逃げ遅れた人の救助
水害後の対策
- 避難民のケア(物心両面)、救援ボランティア・救援物資の活用
- 排水、泥やごみの撤去
- ライフライン・交通機関の復旧
- 消毒など浸水地域の衛生対策
水害に関係する法令
歴史に残る水害
世界
- 1824年 ロシア、ネヴァ川の氾濫によりサンクトペテルブルク等で死者1万人
- 1887年 中国、河南省で黄河の氾濫、死者90万人、600万人との説もある(1887年黄河洪水も参照)
- 1913年 ハンガリー・ドナウ川
- 1927年 アメリカ、ミシシッピ大洪水
- 1931年 中国中部、1931年中国大洪水
- 1939年 中国北部、死者50万人
- 1951年 中国東北部、死者4800人
- 1953年 オランダ・高潮、死者6000人
- 1955年 インドと東パキスタン(現バングラデシュ)、ガンジス川河口で洪水、死者2000人
- 1963年 イタリア、バイオントダムに地すべりによる土砂が流入し、ダムがあふれて洪水発生、死者2000人(4000人?)
- 1969年 中国、山東省で洪水、死者数十万人?
- 1991年、1998年 中国
日本
※死者行方不明者数200人以上のものを挙げる。死者200人以下は集中豪雨を参照。台風による被害は台風#日本における記録的な台風も参照。また、1974年の多摩川水害が東京都内で起きた水害として著名である。
- 1742年 戌の満水:死者2,800人以上
- 1885年 淀川大洪水:浸水71,000戸、損壊15,000戸、流失1,600戸、被災27万人
- 1896年 横田切れ:床下・床上浸水43,600戸
- 1907年 明治40年の大水害(山梨県)
- 1910年 明治43年の大水害:死者・行方不明者900人を超える
- 1917年 大正6年の高潮災害:東京湾に高潮、東京府の溺死者500人以上
- 1934年 室戸台風:大阪湾に高潮、死者・行方不明者3066人(昭和の三大台風)
- 1938年 阪神大水害:死者600人を超える
- 1945年 枕崎台風:広島県中心に死者・行方不明者3000人を超える(昭和の三大台風)
- 1947年 カスリーン台風(台風4709号):利根川氾濫、死者・行方不明者1930人
- 1953年
- 南紀豪雨(紀州大水害):死者・行方不明者1000人以上
- 南山城の大雨:死者290人、全半壊1658棟[2]
- 昭和28年西日本水害は熊本を中心として死者・行方不明者1,001名
- 1957年 諫早豪雨:死者・行方不明者992人
- 1958年 狩野川台風:伊豆半島と東京付近に水害、死者・行方不明者1189人
- 1959年 伊勢湾台風:伊勢湾に高潮、死者・行方不明者5098人(昭和の三大台風)
- 1961年 昭和36年梅雨前線豪雨(死者357人)
- 1967年 昭和42年7月豪雨(死者・行方不明者369人)
- 1972年 昭和47年7月豪雨(死者・行方不明者447人)
- 1982年 長崎大水害(長崎豪雨、死者・行方不明者299人)
- 2018年 平成30年7月豪雨(平成最悪の水害、死者200人以上)
その他
宗教
仏教では、水害の原因は「生きとし生けるものの貪欲な心」だと教えられている。
参考図書
- 『消防白書』
- 『水害の世紀』森野美徳監修、日経コンストラクション編 ISBN 4-8222-2040-0 日経BP社 2005年
脚注
- ↑ 1.0 1.1 横浜市 道路冠水に対するご協力を 道路冠水の一番の原因は雨水ますの詰まりです。雨水ます蓋に落ち葉やゴミがたまっている場合は、清掃をお願いします(車道で作業を行う場合は、十分、自動車やバイクなどに気をつけてください)。台風の際、落ち葉などのゴミで冠水した道路画像(鶴見土木事務所)。
- ↑ Agency, 気象庁 Japan Meteorological. “南山城の大雨 昭和28年(1953年) 8月11日~8月15日” (日本語). www.data.jma.go.jp. . 2018閲覧.
関連項目
- 気象庁 - 気象警報
- 国土交通省 - 水防団
- 消防庁 - 日本の消防
- 防災行政無線、災害対策本部
- 市町村防災行政無線
- 防災倉庫
- ハザードマップ
- 災害復旧
- 災害 - 集中豪雨 - 洪水 - 台風
- 気象庁が命名した自然現象の一覧
- ハリケーン・カトリーナ
- 損害保険
- 罹災証明書
外部リンク
- 国土交通省
- 気象庁
典拠レコード: