パーム (企業)

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パーム(Palm, Inc.)社は、携帯情報端末 (PDA) やスマートフォンPalmなどを開発・製造・販売するアメリカ合衆国の企業。ヒューレット・パッカード子会社カリフォルニア州サニーヴェイルに本社を置く。

PalmデバイスおよびそのオペレーティングシステムPalm OSを開発していた palmOne, Inc. が、OS 開発をおこなうPalmSource(現: ACCESS Systems)との2社に分離後、社名の全権を取得し、Palm, Inc. になった。

2010年4月にヒューレット・パッカードによる買収合意が発表され、同年7月から同社の完全子会社となった。その後Palm OSを受け継いだwebOSの機器及びソフトウェアの開発を行なっていたが、2011年8月にwebOS事業の閉鎖を発表。その後は一転、webOSをオープンソース化し事業継続すべく社内部門として存在している。

経緯

PalmPilotの開発と訴訟

1992年、Palmは、デバイスの発明者であるジェフ・ホーキンスドナ・ドゥビンスキーによって設立された。開発当初、ユーザにとっての使い心地を追求するために、木材をつかったモックアップが何度も試作された。筐体サイズを決めるために、ワイシャツ胸ポケットをジェフ・ホーキンスが採寸してまわったという逸話が伝説的に残っている。当初は PalmPilotという名前だったが、パイロットから商標権侵害で訴えられ、和解の結果、Palmという名前になった[1]

Palm ComputingからPalmへ

1995年、Palm社は、USロボティクス社に買収されたが、1997年、そのUSロボティクスを 3Com社が買収、その子会社 Palm Computing となった。2000年、Palmは3Comから独立、社名を Palm (Palm inc.) とし、NASDAQへ株式も公開した(日本法人の名称は「パーム コンピューティング」)。マイクロソフトが買収しようとしたが失敗に終わった。

Handspringの設立と方向転換

創業者たるホーキンスとドゥビンスキーは、のちにTreoを指揮するコリガンと共に1998年に同社を退社、Handspring社を起こし、独自の拡張スロットSpringboardを搭載した新たなPDA、Visorシリーズを世に問うた。同社はPalm OSのライセンスを受けた初めてのサードパーティーとなった。Handspringはしかし、Springboard搭載PDAを中心に推し進める戦略から、スマートフォンなどの、通信機能を内蔵した、コミュニケータと呼ばれるタイプの一体型デバイスへと方向転換してゆくこととなる。

PalmからpalmOneへ

2001年前後、売り上げ悪化に悩むPalm社は、ソフトウェアハードウェア部門を別々の企業として独立させる決断をする。これには、ソフト部門(のちのPalmSource)がハード部門(Palm Solutions Group)と離れることで、Palm OSを使用するPDAメーカーすべてに中立的な立場で開発に専念できる、という側面がある。そのような中で2003年、同社は Handspring の買収と、ホーキンス、ドゥビンスキーおよびコリガンの復帰を発表した。Palm Solutions Group の新社名は palmOne。Palm OS自体の名称は変わらず、“Palm”ブランドはpalmOneと PalmSourceの運営する持ち株会社(PalmSourceが55%の株式を保有)に帰属することとなった。Palmの流れを汲むHandspringのTreoシリーズも、紆余曲折を経てPalmから発売されるかたちとなった。

palmOneから再びPalmへ

palmOneは2005年、PalmSourceに3000万ドル支払い、知名度が高く優れたブランド名"Palm"の全権を取得した。同年、palmOne から Palm へ社名を変更。そして、新"Palm"の名でPalm TXZ22を10月より販売を開始した。翌2006年にはWindows Mobile搭載機であるスマートフォンTreo 700wを発売した。

伸びるスマートフォンへの取り組み

2007年秋、Palmは米国第三位の携帯電話キャリアスプリント・ネクステル からストレート型スマートフォン「Palm Centro」を発売した。Palm CentroはTreo以外では「Palm初」となるスマートフォン製品。米国ではスマートフォンワイアレスハンドヘルド製品の出荷数は1億1500万ユニットで前年2007年度比で60%増加しており、Palm社としては携帯電話からスマートフォンへの乗り換えを検討している新たな顧客層を呼び込みたい考えがある。重さは約119g。EV-DOネットワーク対応。

2008年にはAT&T版 Palm Centroも発売された[2]UMTSネットワーク対応。同機は、欧州ではPalm Treo 500として、ボーダフォンから発売された。

ヒューレット・パッカードによる買収

2010年4月28日、ヒューレット・パッカードによる買収合意が発表され[3]2010年7月1日、完全子会社となった[4]。パーム部門はスマートフォンやタブレット機器市場への対応に合わせ、webOS(2009年に発表した新PalmOSの名称)機器及び関連ソフトウェアの開発を受け持っていたが、2011年8月にHPはwebOS関連機器の開発からの撤退を発表した[5][6]。しかし同年9月22日にCEOに就任したメグ・ホイットマンが事業継続に再びかじを切り、12月9日にオープンソース化を発表した[7][8]

製品

脚注

関連項目

外部リンク