ヒュー・ゴフ (初代ゴフ子爵)

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初代ゴフ子爵、ヒュー・ゴフ元帥（英語: Field Marshal Hugh Gough, 1st Viscount Gough, KP, GCB, GCSI, PC、1779年11月3日 - 1869年3月2日）は、イギリスの陸軍軍人、貴族。

フランス革命戦争・ナポレオン戦争に従軍して戦歴を積んだ後、阿片戦争やインドでの諸戦争の指揮をとった。軍人としての最終階級は元帥。1846年にゴフ男爵、1849年にゴフ子爵に叙せられている。

経歴

ファイル:General Hugh Gough.png
1841年頃のヒュー・ゴフ大将
ファイル:Hugh Gough, 1st Viscount Gough, St. Helen's.jpg
ゴフ子爵の肖像画

1779年11月3日、陸軍軍人ジョージ・ゴフ中佐とその妻レティシア（旧姓バンバリー）の四男としてアイルランド・ウッズタウン（English版）に生まれる[1]。

1794年に少尉（English版）として陸軍に入隊[2]。その後、中尉に昇進して第119歩兵連隊（English版）に配属されたが 、1795年6月には第78歩兵連隊（English版）へ移籍となった[3]。

南アフリカのケープ植民地に駐屯していたが、フランス革命戦争のため、1795年12月に第87歩兵連隊（English版）へ移籍。部隊は西インド諸島に配置され、1799年にはギアナのオランダ植民地（English版）への遠征に参加した[4]。1803年6月にイギリスへ帰国し、大尉（English版）、さらに少佐(major)へと昇進した[4]。

1809年1月よりイベリア半島で戦うアーサー・ウェルズリー（後の初代ウェリントン公爵）の軍に従軍し、ナポレオン戦争に参加[4]。1809年7月のタラベラの戦い（English版）では重傷を負った。1811年3月のバロッサの戦い（English版）、1811年10月のタリファの戦い（English版）にも参加した。1813年6月のヴィトリアの戦いで再び重傷を負う。1813年11月にはニヴェルの戦い（English版）に参加した[2]。

1815年5月25日に中佐(Lieutenant colonel)に昇進[5]。1819年8月に大佐(colonel)に昇進[6]。1830年7月に少将(Major-General)に昇進[7]。

1837年にはインドへ派遣され、マドラス陸軍（English版）のマイソール師団を指揮[4]。

1839年にはじまった阿片戦争では中国に出兵したイギリス軍の司令官となり、広東の戦い（English版）、廈門の戦い（English版）、乍浦の戦い（English版）、鎮江の戦い（English版）などを指揮してイギリスの勝利に貢献した。南京条約が締結されて終戦するとインドへ戻った[8]。

1841年6月、中将に昇進[9]。1842年12月には准男爵位を与えられる[10]。1843年3月にインドにおける階級が大将(full general)に昇進する[11]。

1843年8月にインド軍総司令官（English版）に就任。グワーリヤル遠征（English版）を指揮し、マラーター王国を破った[8]。第一次シク戦争ではマッドキの戦い（English版）、フィールーズシャーの戦い（English版）、ソブラーオーンの戦い（English版）を指揮した[8]。

1846年4月7日には連合王国貴族爵位「中国・鎮江および東インド・サトレジのゴフ男爵」（Baron Gough of Chinkiang in China and of Maharajpore and the Sutlej in the East Indies）に叙せられ[12]、貴族院議員に列する[13]。

1848年にはじまった第2次シク戦争では、ラームナガルの戦い（English版）やChillianwalaの戦い（English版）を指揮したが、大砲の使用より歩兵の正面突撃に偏重したと批判され、インド軍総司令官職を更迭された。しかし後任人事を受ける前の1849年1月にゴフはグジュラートの戦い（English版）でシク王国に対する決定的な勝利を収めた[8]。

1849年に帰国し、同年6月には連合王国貴族爵位「パンジャブ・グジャラートおよびリムリック市のゴフ子爵」（Viscount Gough of Goojerat in the Punjab and of the City of Limerick）に叙せられた[14]。

様々な連隊の名誉連隊長（colonel）も務めた（第99歩兵連隊（English版）[15]、第87歩兵連隊（English版）[16]、王立近衛騎馬連隊（English版）[17]）。

1854年6月には大将(full general)に昇進[18]。1862年11月には元帥(Field Marshal)に昇進した[19]。

1869年3月2日にアイルランド・ダブリンにおいて89歳で死去した[2]。

栄典

ファイル:Hugh Gough, 1st Viscount Gough.jpg
ゴフ子爵の肖像画

爵位/準男爵位

1842年12月23日に以下の準男爵位を新規に叙された[2][20]

  • (ティペラリー州におけるシノンおよびドランジャンの)初代準男爵 (1st Baronet "of Synone and Drangan in the County of Tipperary")
    (勅許状による連合王国準男爵位)

1846年4月25日に以下の爵位を新規に叙された[2][20]。

  • 中国・鎮江および東インド・サトレジの初代ゴフ男爵 (1st Baron Gough of Chinkiang in China and of Maharajpore and the Sutlej in the East Indies)
    (勅許状による連合王国貴族爵位)

1849年6月15日以下の爵位を新規に叙された[2][20]。

  • パンジャブ・グジャラートおよびリムリック市の初代ゴフ子爵 (1st Viscount Gough of Goojerat in the Punjab and of the City of Limerick)
    (勅許状による連合王国貴族爵位)

勲章

その他

家族

陸軍軍人エドワード・スティーブンス(Edward Stephens)大将の娘フランセスと結婚し、彼女との間に2男4女を儲けた[2]。長男は早世したため、次男ジョージ（English版）が爵位を継承した[2]。三女フランセスはサー・パトリック・グラント（English版）元帥と結婚した[24]。

脚注

注釈

出典

  1. ↑ Lundy, Darryl. “Lt.-Col. George Gough” (英語). thepeerage.com. . 2014閲覧.
  2. ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 Lundy, Darryl. “Field Marshal Hugh Gough, 1st Viscount Gough of Goojerat” (英語). thepeerage.com. . 2014閲覧.
  3. ↑ The London Gazette: no. 13784. p. 570. 1795年6月2日。. 2014年9月6日閲覧.
  4. ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 Heathcote(1999) p. 148
  5. ↑ The London Gazette: no. 17018. p. 1044. 1815年6月3日。. 2014年9月6日閲覧.
  6. ↑ The London Gazette: no. 17505. p. 1442. 1819年8月12日。. 2014年9月6日閲覧.
  7. ↑ The London Gazette: no. 18709. p. 1535. 1830年7月23日。. 2014年9月6日閲覧.
  8. ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 Heathcote(1999), p. 149
  9. ↑ The London Gazette: no. 19989. p. 1583. 1841年6月18日。. 2014年9月6日閲覧.
  10. ↑ The London Gazette: no. 20173. p. 3565. 1842年12月2日。. 2014年9月6日閲覧.
  11. ↑ The London Gazette: no. 20201. p. 732. 1843年3月3日。. 2014年9月6日閲覧.
  12. ↑ The London Gazette: no. 20592. p. 1279. 1846年4月7日。. 18 January 2014閲覧.
  13. ↑ UK Parliament. “Mr Hugh Gough” (英語). HANSARD 1803–2005. . 2014閲覧.
  14. ↑ The London Gazette: no. 20984. p. 1832. 1849年6月5日。. 2014年9月6日閲覧.
  15. ↑ The London Gazette: no. 19809. p. 2723. 1839年12月31日。. 2014年9月6日閲覧.
  16. ↑ The London Gazette: no. 19962. p. 732. 1841年3月19日。. 2014年9月6日閲覧.
  17. ↑ Heathcote(1999), p. 150
  18. ↑ The London Gazette: no. 21564. p. 1931. 1854年6月22日。. 18 January 2014閲覧.
  19. ↑ The London Gazette: no. 22679. p. 5343. 1862年11月10日。. 2014年9月6日閲覧.
  20. ↑ 20.0 20.1 20.2 Heraldic Media Limited. “Gough, Viscount (UK, 1849)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. . 2016閲覧.
  21. ↑ The London Gazette: no. 17061. p. 1878. 1815年9月16日。. 2014年9月6日閲覧.
  22. ↑ The London Gazette: no. 18850. p. 1893. 1831年9月13日。. 2014年9月6日閲覧.
  23. ↑ The London Gazette: no. 20028. p. 2539. 1841年10月15日。. 2014年9月6日閲覧.
  24. ↑ Lundy, Darryl. “Hon. Frances Maria Gough” (英語). thepeerage.com. . 2014閲覧.

参考文献

  • Heathcote, Tony (1999). The British Field Marshals, 1736–1997: A Biographical Dictionary. Barnsley: Leo Cooper. ISBN 0-85052-696-5. 

外部リンク

軍職
先代：
サー・ジェスパー・ニコラス（English版） 		インド軍総司令官（English版）
1843年 - 1849年 		次代：
サー・チャールズ・ネイピア（English版）
先代：
初代ラグラン男爵 		王立近衛騎馬連隊（English版）名誉連隊長
1855年 - 1869年 		次代：
初代ストラスネイアン男爵（English版）
イギリスの爵位
新設 初代ゴフ子爵
1849年 - 1869年 		次代：
ジョージ・ゴフ（English版）
新設 初代ゴフ男爵
1846年 - 1869年
イギリスの準男爵
新設 初代ゴフ准男爵
1842年 - 1869年 		次代：
ジョージ・ゴフ（English版）


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