ポックスウイルス科
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ポックスウイルス科(Family Poxviridae)はウイルスの分類における1科である。この科に属するウイルスは線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスであり、そのビリオンは220~450nm×140~260nm×140~260nmの煉瓦状ないし卵形で、エンベロープを有する。通常のエンベロープを持つウイルスとは異なりエーテル耐性のものも存在する(オルトポックスウイルス属、アビポックスウイルス属)。また、ウイルスの増殖は他のDNAウイルスと異なり宿主細胞の細胞質内で行われる。感染経路としては経気道や接触によるものが多く、節足動物による機械的伝播も起こりやすい。ポックスウイルス科による病気の特徴は皮膚の発疹様斑紋である。ポックスウイルス科のウイルスによる疾患としては天然痘が有名である。
特徴
ポックスウイルスはレンガ型あるいは卵形をしたウイルスであるが、全長が220~450nmもある(→インフルエンザウイルスやヒト免疫不全ウイルスではだいたい100nmほど)大きなDNAウイルスである。また、通常のDNAウイルスは感染細胞の酵素を借りて核内で増殖するが、ポックスウイルスはDNA複製に必要な酵素のほとんどを自前で持っているので細胞質内で増殖を行う。
分類
- オルトポックスウイルス属
- パラポックスウイルス属
- オルフウイルス(Orf virus)
- ウシ丘疹性口炎ウイルス(Bovine papular stomatitis virus)など
- アビポックスウイルス属
- Genus Capripoxvirus
- ヒツジ痘ウイルス(Sheeppox virus)
- ヤギ痘ウイルス(Goatpox virus)
- ランピースキン病ウイルス(Lumpy skin disease virus)など
- Genus Leporipoxvirus
- 兎粘液腫ウイルス(Myxoma virus)
- ウサギ線維腫ウイルス(Rabbit fibroma virus)など
- Genus Suipoxvirus
- 豚痘ウイルス(Swinepox virus)
- Genus Molluscipoxvirus
- 伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)
- Genus Yatapoxvirus
- ヤバサル腫瘍ウイルス(Yaba monkey tumor virus)
- タナポックスウイルス(Tanapox virus)
関連項目
参考文献
- 鹿江雅光、新城敏晴、高橋英司、田淵清、原澤亮編 『最新家畜微生物学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460198
- 原澤亮 「動物ウイルスの新しい分類(2005)」 『獣医畜産新報』 58号 921-931頁 2005年