有賀鉄太郎
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有賀 鉄太郎(ありが てつたろう、1899年4月1日 - 1977年5月25日)は、日本のプロテスタント神学者、教会史・教理史学者。大阪府出身。
同志社大学卒業、米国ユニオン神学校に学び、1930年同志社大教授、初代神学部長、1946年「オリゲネス研究」で京都帝国大学文学博士、1948年京都大学文学部キリスト教学研究室教授[1]、文学部長、1963年定年退官、神戸女学院院長。日本キリスト教学会理事長も務めた。同志社女子大学名誉教授でチェンバロ奏者の有賀のゆりは有賀鉄太郎の長女である。
『有賀鉄太郎著作集』全5巻がある。
学説
ハヤトロギア
有賀鉄太郎は、ギリシャ的な世界認識(思考法)のオントロギアと異なる世界認識がヘブライズムに存在すると提唱し、それを「ハヤトロギア」と名付けた[2]。「ハヤトロギア」とは、神をギリシャ的なオントロギアのように「存在」として捉えるのではなく、「はたらき」としてとらえるヘブライ的思考法である。近年、京都大学基督教学会の『基督教学研究』において、2号連続でハヤトロギア特集が組まれる[3]など一部で関心が高まっている。また、キリスト教神学者の宮本久雄はこの有賀鉄太郎のハヤトロギアの議論をさらに発展させて独自の「エヒイェロギア」という概念を提唱している[4]。
著書
- ヘブル書 (現代新約聖書註解全書刊行会 1935年)
- 学生自動車隊のイタリア一周 (第一書房 1941年)
- 神学的解釈学としてのオリゲネス研究 (長崎書店 1943年)
- 象徴的神学 (全国書房 1946年)
- 歩みは光のうちに (日本基督教団出版部 1958年)
- キリスト教思想における存在論の問題 (創文社 1969年)
- 有賀鉄太郎著作集 全5巻 (有賀鉄太郎博士遺著作集刊行会 創文社 1981年)
共著編
- 概説基督教思想史 (魚木忠一共著 基督教教程叢書 日独書院 1934年)
- 原子力時代に於ける基督教 新島講座記念論文集 (聖光社 1948年)
翻訳
- 近代基督教思想史 (アーサー・クシュマン・マッギファート 栗原基共訳 基督教思想叢書 新生堂 1930年)
- 民主主義の根柢としての基督教 (ジョン・ジェー・シーフェリン 全國書房〔基督教文化パンフレット〕 1946年3月)
- バルトとニーバーの論争 信仰と人間の無秩序 (阿部正雄共訳編 弘文堂〔アテネ文庫〕 1951年)
- 人間性の限界 (ブルンナー 中村正雄共訳 弘文堂〔アテネ新書〕 1952年)
脚注
- ↑ 芦名定道教授HP「歴代スタッフ ─京都大学キリスト教学の歩み」
- ↑ 有賀鉄太郎「神の無名性について―特にフィロンにおける―」『有賀鐵太郎著作集4 キリスト教思想における存在論の問題』創文社、1981年、173ページ。
- ↑ 京都大学基督教学会編『基督教学研究』30号(2010年)、31号(2011年)。
- ↑ 宮本久雄『ハヤトロギアとエヒイェロギア―「アウシュヴィッツ」「FUKUSHIMA」以後の思想の可能性 』教友社、2015年。
典拠レコード: