天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会
天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会 | |
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開始年 | 1996 |
主催 | 日本陸上競技連盟 |
参加チーム数 | 47 |
加盟国 | 日本 |
前回優勝 | 埼玉県(2回目) |
最多優勝 | 長野県(7回) |
サイト | ひろしま男子駅伝 |
天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会(てんのうはい ぜんこくとどうふけんたいこうだんしえきでんきょうそうたいかい)は、毎年1月の第3日曜日(正月3が日に日曜日が重なった場合は1月の第4日曜日)に広島県の広島市~廿日市市で開催される男子の駅伝大会。略称は「全国男子駅伝」、愛称は「ひろしま男子駅伝」。
Contents
概要
京都新聞社主催による皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝競走大会が1992年(平成4年)の第10回大会を終えた際に、青木半治日本陸連会長が、「男子でも同様の大会をできないだろうか」と帖佐寛章陸連副会長に検討を指示[1]。男子はロードレース、駅伝過多で充電期間が少なく、新たに全国大会が増えれば強化育成に問題をきたすことから、既成の大会を中止して新大会を誕生させるという方法が取られることになった[1]。ここで候補に挙がったのが中国駅伝で、同大会は"駅伝のメッカ"である広島県で開催される大会で[1]、箱根駅伝に次いで日本で2番目に古い駅伝であったが[1]、主催の中国新聞社、広島陸協は、苦渋、苦難の選択により要請を受け入れた[1]。1931年(昭和6年)以来、62回続いた中国駅伝を中止したため、非難の声も渦巻いた[1]。こうして1996年(平成8年)に"改革駅伝"として「全国都道府県対抗男子駅伝競走大会」がスタート[1]。NHKも加わり[2]、地元広島放送局を制作局として、放送業務を担うこととした。
広島市中区の平和記念公園前をスタート&フィニッシュとする。ここは平和大通り・宮島街道・宮島口・駅前・城南・中広と通る道は6つと女子の2分の1。廿日市市(旧・大野町)のJR前空駅東で折り返し、来た道を戻って行く48kmを7人でつないでいく。
開催日程は女子大会と2週連続になるよう設定されている。ちなみにこの大会の翌週には大阪国際女子マラソン、さらに翌週には別府大分毎日マラソンと、4週連続で大きなロードレース大会が続く。
スターターは広島県知事が行っている。
本大会は2010年以降優勝チームに対して天皇盃が賜与される。
最多優勝は、長野県の7回である。
大会運営について
- 名称
- 天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会
- 趣旨
- 47都道府県の参加を得て、日本男子陸上競技の中・長距離選手の強化育成と競技の普及を目的とする
- 主催
- 公益財団法人日本陸上競技連盟
- 共催
- 中国新聞社
- NHK
- 主管
- 一般財団法人広島陸上競技協会
- 後援
- 文部科学省・広島県・広島市・廿日市市・公益財団法人広島県体育協会・公益財団法人広島市スポーツ協会・広島県教育委員会・広島市教育委員会・廿日市市教育委員会・中国放送(RCC)
- 協賛
- 大創産業(2015年から)
- 特別協力
- ミズノ
- 協力
- シチズン時計・マツダ・中国電力・コカ・コーラウエスト
備考
- 民放のRCCが後援に入っているのは、前身の「中国駅伝」の名残であり、自社中継はラジオのみ。
- RCCのラジオ中継は2009年までは「ロームスポーツスペシャル」として放送してきたが、ロームが大会筆頭スポンサーから撤退した2010年からは冠スポンサーなし(2010年はアダプトゲン製薬が1回限りながら提供、2011年からはジャパネットたかたが、2012年からは大会公式車両提供社のマツダが、また同年に「1本満足バー」が提供に参加)。2015年から広島県に本社を置く100円ショップ最大手の大創産業(ダイソー)が冠スポンサー(ダイソースポーツスペシャル)を担当。
- テレビはNHK総合テレビが、ラジオはRCCがJRN系列[3]で全国放送を担当。
- 第20回から各都道府県チームごとに地元にゆかりのある企業による「ふるさとスポンサー」の制度が新設された。ふるさとスポンサーに参加している企業がある場合は当該チームのナンバーカード下部に参加企業名が表示される(ナンバーカード上部は全チーム共通で「The ダイソー」(大創産業)表示)。
- 2015年以前の過去の特別協賛社はコカ・コーラ(1996年)→NTTドコモ(1997年~1998年)→ローム(1999年~2009年)→NTTデータ(2010年~2013年)→日本化成(2014年)である。なお、このうちコカ・コーラは2015年以降大会協賛社の一社となった。
出場資格
原則として、選手は「日本陸上競技連盟の登記登録者」かつ「日本国籍を有する男子競技者であること」となっている。ただし外国籍競技者であっても、日本で生まれ、引き続き生活拠点を日本国内としている場合は出場できる。
出場チームは原則として、現在登録している陸上競技協会(陸協)の都道府県チームからとなる(おおむね下記)。
- 中学生・高校生 : 所属する学校の所在地
- 大学生 : 「出身高等学校の所在地」「大学所在地」「居住地」のいずれか(陸協登録時に選択可)
- 社会人 : 実業団やクラブ等に加入している場合はその本拠地。個人登録の場合は「本籍地」「居住地」「勤務地」のいずれか(陸協登録時に選択可)
ふるさと競技者制度
本大会(及び全国女子駅伝)独自の特徴的な制度として、郷土色の濃いレースを演出するための『ふるさと競技者制度』が導入されている。社会人・大学生選手は、出身高等学校または出身中学校の所在都道府県から当該年の登録にかかわらず特別に出場することができるという制度であり、これにより社会人・大学生選手は生まれ育った都道府県からもおおむね出場可能となっている。
導入後に何度か適用基準が見直されており、第13回大会(2008年)から各競技者の適用回数上限(4回)が撤廃されたほか、選手の出身中学校と出身高等学校の所在都道府県が異なる場合、出身高校所在地からの出場に限定されていたものが、第15回大会(2010年)以降は出身中学校所在地からの出場も選択可能となった。また、現在は適用年齢制限なし、適用区間は各チーム1区間までとなっている。
本制度は結果的に有力競技者が特定都道府県だけに集まり、日本全体での競技レベル向上には必ずしもつながらないという反省から生まれたものでもある。この点については箱根駅伝が抱える問題の項も参照。
チーム編成
チームは監督1名、コーチ2名、選手10名の合計13名。競技者にはジュニアA選手が3名以上、ジュニアB選手が2名以上含まれていなければならない。
- ジュニアA競技者:その年の高校1年生から3年生に該当する年齢の競技者
- ジュニアB競技者:その年の中学2年生または3年生に該当する年齢の競技者(すなわち、中学1年生は出場不可)
コースとその特徴
広島市平和記念公園前を出発、平和大通り・宮島街道を西進し、JR前空駅東を折り返し、平和大通り・城南通りを経由、広島市平和記念公園前を決勝とする7区間、48.0 km。
女子大会とは異なり、各区間毎に起用できる選手の年齢区分が固定されている[4]。2・6区はジュニアB選手を、1・4・5区は高校生を必ずエントリーしていなければならない。このため1区に実業団選手や大学生を配置したりするなどといった戦略をとることはできず、オーダーの自由度は女子大会よりも低めで、その点では戦略の幅は女子大会より小さめといえる。
高校生が全48kmの内、20.5kmを担当するので若手の層の厚さが重要視される。
- 1区・7.0 km・ジュニアA(高校生)
- 2区・3.0 km・ジュニアB(中学生)
- 広島電鉄井口駅→海老園交差点
- 3kmと短いながらも一般の第3区へ重要視される区間
- コースは八幡川橋の3mのアップダウンを除いておおむねフラットといえる
- 3区・8.5 km・一般
- 4区・5.0 km・ジュニアA(高校生)
- 宮島口ロータリー→(宮島口通り)→(宮島口駅前交差点)→(宮島街道)→JR前空駅東(折り返し)→JR阿品駅南
- 宮島口通りから宮島街道へ戻り再び西進、1.7km地点の廿日市市大野のJR前空駅東(中国電力旧大野研修所前)で折り返し。
- 折り返し後は宮島街道を東進し、宮島口駅前交差点を通り過ぎて阿品駅南が中継点。
- 5区・8.5 km・ジュニアA(高校生)
- JR阿品駅南→広島工業大学高校前
- 高校生最長の8.5 km。
- 「5区で首位になったチームが優勝する」と言われる。実際、コース変更後の第5回大会(2000年)以降の優勝チームは第10回大会(2005年)の長野・第15回大会(2010年)の兵庫・第16回大会(2011年)の栃木・第17回大会の兵庫(2012年)以外全て5区から6区へのたすきリレーをトップで通過している(第10回大会(2005年)は宮城がトップで通過したが、7区で逆転されて3位)。特に第5回(2000年)の鹿児島・第8回(2003年)の福岡・第9回(2004年)と第11回(2006年)と第14回(2009年)の長野は5区で逆転して1位になり、そのまま優勝している。
- 全体の中間点(24 km)はこの5区の出だし・500m地点となる。3区同様のアップダウンがある。
- 6区・3.0 km・ジュニアB(中学生)
- 広島工業大学高校前→草津橋
- 一般の最終7区につなぐ中学生区間。
- 7区・13.0 km・一般
- 草津橋→広島平和記念公園前→(田中町交差点)→(駅前大橋南詰交差点)→(中広町2丁目21番交差点)→(西観音町電停東交差点)→広島平和記念公園前
- 全区間で最長の13kmの一般区間。
- 草津橋から宮島街道を北上。平和大通りに帰って来た後にフィニッシュの平和記念公園前を一度通過して広島市内を平和大通り・駅前通・城南通り・中広通りと反時計回りにぐるりと1周してフィニッシュするコース。
- 橋を合計10回渡るため、細かいアップダウンの連続でペースを乱す選手も多い。
- 広島市内周回コースは平和大通り、駅前、城南、中広の4つの通りで構成される。
- 第1回大会(1996年)の広島、第2回大会(1997年)の京都、第4回大会(1999年)の兵庫、第10回大会(2005年)の長野、第15回大会(2010年)の兵庫、第16回大会(2011年)の栃木、第17回大会(2012年)の兵庫、第19回大会(2014年)の長野と、この区間での逆転で優勝が多いことから駅伝ファン等からは俗に「逆転の7区」とも言われる。
各大会の記録・エピソード
テレビ・ラジオの中継
テレビ中継
NHKが総合テレビとNHKワールド・プレミアムにて生放送する。ハイビジョン制作(アナログ総合テレビとNHKワールド・プレミアムは、2006年と2011年以降は16:9のレターボックス形式で、2007年から2010年までは14:9の画像サイズでそれぞれ放送)。かつては衛星ハイビジョン(BShi)でも放送されていた。
解説は2016年(第21回)は尾方剛(広島経済大学陸上競技部監督)が担当(第1回から第20回までは連続して宗茂(九州保健福祉大学客員教授・旭化成陸上部顧問)が担当していた)。
なお、広島県内向けには事前告知番組として、関連イベントとして行われている「駅伝ふるさとひろば」の様子を伝える『がんばれ!ふるさとランナー〜駅伝ふるさとひろばから〜』がレース前日の土曜日昼に放送される。2010年までは当日(日曜日)の18時台に大会のダイジェスト番組(『NHK海外ネットワーク』との差し替えで、同番組は中国地方では放送休止)も中国地方向けに放送していたが、同時刻の番組が『MUSIC JAPAN』に替わった2011年からは広島県のみの放送に縮小された(『MUSIC JAPAN』はその週の土曜日に6日遅れで振り替え放送)。その後、2013年度に『MUSIC JAPAN』が枠移動し、再び『NHK海外ネットワーク』に戻り、同番組の終了後『これでわかった! 世界のいま』を放送するようになった後も、差し替えによるハイライト番組の放送は広島県のみのままである。いずれも駅伝中継を含めてNHK広島放送局制作(ただしメイン実況担当アナウンサーは大阪局から派遣されるケースがある[5])。
ラジオ中継
中国放送(RCC)をキーステーションにJRN系列全国38局ネット(JRN系列局が複数ある大阪エリアは毎日放送にネット)。特別協賛社の冠「○○スポーツスペシャル」を付けるとともに、その特別協賛社や大会協力社のマツダなどの複数協賛制。また、NRN系列の茨城放送・栃木放送・KBS京都の他、独立局の岐阜放送(ぎふチャン)・ラジオ関西にもネットする。
- 2014年以降のメインは、実況を一柳信行(中国放送アナウンサー)が担当、解説を原晋(世羅高校OB、青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)が担当。
- また、これまでメイン実況を担当した長谷川努(中国放送アナウンサー)は2013年では第1・第5中継所の実況を担当。
- 各中継所では、かつてはTBSラジオ[6]・毎日放送・中部日本放送(現:CBCラジオ)[7]のアナウンサーもリポーターを担当していたが、2008年以降は全てRCCのアナウンサーが担当している。
- 関東圏のTBSラジオでは中継中数回、CM後に交通情報が入ることがあり、地元ランナーによるコメントが放送されないことがある。また、この番組がある場合は『爆笑問題の日曜サンデー』(2009年以後)は中継終了後15:15から開始する。
- 普段15時台に中央競馬の実況中継を放送しているラジオ福島・新潟放送・長崎放送[8](ラジオNIKKEI制作)、山梨放送(ラジオ日本制作)、毎日放送・西日本放送・山陰放送・中国放送・山口放送・宮崎放送(毎日放送制作)、CBCラジオ(自社制作)では、この番組がある場合は中継終了後15:15から開始する。
- NHKラジオ第1放送では放送しないため、当日はテレビと同時放送される『NHKのど自慢』は休止となり、2018年など『日曜バラエティー』を12:15からに拡大して放送することが多いが、2017年は『日曜バラエティー』も休止してNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』関連の特別番組『井伊ね! 直虎ジオ』を編成した。
大会テーマ曲
第3回大会(1998年)前に最初のテーマ曲「きっと翔べる」が製作される[9]。第15回大会(2010年)からポルノグラフィティ[10] の「Rainbow」を使用[11]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 帖佐寛章・梶原學『マラソンへの憧憬 帖佐寛章伝』、ベースボール・マガジン社、2008年、220-222頁。
- ↑ NHKは前身の中国駅伝を、西日本地域向けにラジオ中継していた。
- ↑ 大阪地区はMBSラジオを通じて放送。またNRN単独加盟局の茨城放送、栃木放送、KBS京都、独立局の岐阜放送(ぎふチャン)、ラジオ関西にも同時ネットで放送される。
- ↑ 女子大会はジュニアB選手の起用区間のみが固定で、ジュニアA選手および大学生・社会人の選手はそれ以外のどの区間にも区別を問わずエントリー可能である(ただしジュニアA選手が必ず3区間以上を担当しなければならないというルールはある)
- ↑ 2017年は福岡局より派遣された坂梨哲士(当時福岡局)、2018年度は地元広島局より下境秀幸がメイン実況した。
- ↑ ラジオ部門の分社(2001年10月)と、それに続くテレビ制作子会社の統合後(2004年10月)は、アナウンサーはTBSテレビの所属となっている。
- ↑ ラジオ部門の分社(2013年4月)と、それに続く持株会社化によるテレビ部門の分社後(2014年4月)は、アナウンサーはCBCテレビの所属となっている。
- ↑ NBCラジオ佐賀を含む
- ↑ 駅伝企画「支える」(中国新聞)
- ↑ 広島県出身のバンド。
- ↑ 男子駅伝のテーマ曲完成(中国新聞、2009年12月4日)
関連書籍
- 『競う健脚つなぐ郷土愛 ひろしま男子駅伝10周年記念誌』(全国都道府県対抗男子駅伝競走大会ひろしま男子駅伝10周年記念誌編集委員会(編)、中国新聞社、2006/2、ISBN 978-4885173394)
関連項目
交通
JR広島駅から
- 広島駅電停から広島電鉄の路面電車2号線宮島口ゆき・6号線江波(えば)ゆきに乗り、原爆ドーム前電停下車。南へ徒歩7分。また、広島電鉄の路面電車1号線広島港ゆきに乗り、袋町電停・中電前電停下車。西へ徒歩6分。
- 平和大通りを経由するバスは駅伝開催時間中は迂回運行するので注意。
JR横川駅から
広島港から
高速バス・郊外バス
- 広島バスセンターより徒歩10分。
自家用車で行く場合
- 国道2号で、福山・東広島方面からは広島駅を、岩国・廿日市方面からは西広島駅を目指して進み、そこを基点に平和大通り方面へ。ただし、駅伝中は平和大通りを始めとした周辺道路で交通規制あり。
- 山陽自動車道からは、広島ICより国道54号を南へ広島城あるいは基町クレドへ向け進む。
外部リンク
- ひろしま男子駅伝(公式サイト・トップページ)
- 大会記録(目次) - 上記公式ページ内。都道府県別・開催回別・選手別の歴代記録を各々掲載
- 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会非公式サイト
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