旅行・観光競争力レポート

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2017年のレポートでは、日本は鉄道インフラの品質等、9項目（サブピラー）で1位を記録した。

旅行・観光競争力レポート（りょこう・かんこうきょうそうりょくレポート、Travel and Tourism Competitiveness Report）は、世界経済フォーラム（WEF）により、2007年以降公表されている、旅行・観光業の世界各国（地域）の事業環境に関する研究報告書である。旅行・観光業の利害関係者（ステークホルダー）に向けた、プラットフォームの提供を目的としている。報告書内では、各国（地域）の事業環境に関する評価を、「旅行・観光競争力指数」として算出（算出方法に関しては後述）した上でそのランキングを掲載、併せて各国（地域）の具体的なプロフィールや補足情報が掲載されている。

旅行・観光競争力ランキング

総合順位

順位	2017年		2015年		2013年		2011年		2009年		2008年
1	スペイン	5.43	スペイン	5.31	スイス	5.66	スイス	5.68	スイス	5.68	スイス	5.63
2	フランス	5.32	フランス	5.24	ドイツ	5.39	ドイツ	5.50	オーストリア	5.46	オーストリア	5.43
3	ドイツ	5.28	ドイツ	5.22	オーストリア	5.39	フランス	5.41	ドイツ	5.41	ドイツ	5.41
4	日本	5.26	アメリカ合衆国	5.12	スペイン	5.38	オーストリア	5.41	フランス	5.34	オーストラリア	5.34
5	イギリス	5.20	イギリス	5.12	イギリス	5.38	スウェーデン	5.34	カナダ	5.32	スペイン	5.30
6	アメリカ合衆国	5.12	スイス	4.99	アメリカ合衆国	5.32	アメリカ合衆国	5.30	スペイン	5.29	イギリス	5.28
7	オーストラリア	5.10	オーストラリア	4.98	フランス	5.31	イギリス	5.30	スウェーデン	5.28	アメリカ合衆国	5.28
8	イタリア	4.99	イタリア	4.98	カナダ	5.28	スペイン	5.29	アメリカ合衆国	5.28	スウェーデン	5.27
9	カナダ	4.97	日本	4.94	スウェーデン	5.24	カナダ	5.29	オーストラリア	5.24	カナダ	5.26
10	スイス	4.94	カナダ	4.92	シンガポール	5.23	シンガポール	5.23	シンガポール	5.24	フランス	5.23
11	香港	4.86	シンガポール	4.86	オーストラリア	5.17	テンプレート:ICE	5.19	イギリス	5.22	テンプレート:ICE	5.16
12	オーストリア	4.86	オーストリア	4.82	ニュージーランド	5.17	香港	5.19	香港	5.18	フィンランド	5.11
13	シンガポール	4.85	香港	4.68	オランダ	5.14	オーストラリア	5.15	オランダ	5.09	デンマーク	5.10
14	ポルトガル	4.74	オランダ	4.67	日本	5.13	オランダ	5.13	デンマーク	5.08	香港	5.09
15	中国	4.72	ポルトガル	4.64	香港	5.11	ルクセンブルク	5.08	フィンランド	5.07	ポルトガル	5.09
16	ニュージーランド	4.68	ニュージーランド	4.64	テンプレート:ICE	5.10	デンマーク	5.05	テンプレート:ICE	5.07	シンガポール	5.06
17	オランダ	4.64	中国	4.54	フィンランド	5.10	フィンランド	5.02	ポルトガル	5.01	ノルウェー	5.05
18	ノルウェー	4.64	テンプレート:ICE	4.54	ベルギー	5.04	ポルトガル	5.01	アイルランド	4.99	オランダ	5.01
19	韓国	4.57	アイルランド	4.53	アイルランド	5.01	ニュージーランド	5.00	ノルウェー	4.97	ニュージーランド	4.96
20	スウェーデン	4.55	ノルウェー	4.52	ポルトガル	5.01	ノルウェー	4.98	ニュージーランド	4.94	ルクセンブルク	4.95
21	ベルギー	4.54	ベルギー	4.51	デンマーク	4.98	アイルランド	4.98	キプロス	4.92	アイルランド	4.93
22	メキシコ	4.54	フィンランド	4.47	ノルウェー	4.95	日本	4.94	ベルギー	4.92	ギリシャ	4.92
23	アイルランド	4.53	スウェーデン	4.45	ルクセンブルク	4.93	ベルギー	4.92	ルクセンブルク	4.92	日本	4.90
24	ギリシャ	4.51	アラブ首長国連邦	4.43	マルタ	4.92	キプロス	4.89	ギリシャ	4.91	キプロス	4.87
25	テンプレート:ICE	4.50	マレーシア	4.41	韓国	4.91	エストニア	4.88	日本	4.91	マルタ	4.86
26	マレーシア	4.50	ルクセンブルク	4.38	イタリア	4.90	マルタ	4.88	チェコ	4.86	エストニア	4.85
27	ブラジル	4.49	デンマーク	4.38	バルバドス	4.88	イタリア	4.87	エストニア	4.83	ベルギー	4.84
28	ルクセンブルク	4.49	ブラジル	4.37	アラブ首長国連邦	4.86	バルバドス	4.84	イタリア	4.78	イタリア	4.84
29	アラブ首長国連邦	4.49	韓国	4.37	キプロス	4.84	ギリシャ	4.78	マルタ	4.77	バルバドス	4.77
30	台湾	4.47	メキシコ	4.36	エストニア	4.82	アラブ首長国連邦	4.78	バルバドス	4.77	チェコ	4.75
Note: 毎回のレポート発表ごとに、評価要素の数など評価方法が変更されているため、異なる年の指数の比較は意味を持たない。

ランキング全体の構成

2017年におけるレポート内の評価基準は、前回と比較し、インフラ分野で評価項目の入れ替えが行われている。4のサブインデックス（Subindex）と、各サブインデックスに付随する合計14のピラー（Pillar）、さらに各ピラーに付随する合計90のサブピラー（Subpillar）から構成されている。

各サブピラーでは、国際的に公表された既存データ（The Hard Data）の引用に加え、世界経済フォーラムが各国（地域）で投資判断を行う上級管理層・経営幹部を対象に実施したアンケート結果のデータ（Executive Opinion Survey）を併用していることが、本報告書の特色となっている。

レポートでは、各サブインデックス・各ピラー・各サブピラーのすべてにわたり、指数化・ランキング化がなされているが、ここではピラーに関しては名称の列挙に止め、各サブピラーにおける日本の順位のみを示した。

可能とする環境（Enabling Environment）

ビジネス環境（Business Environment）

サブピラー	日本の順位	典拠
財産権の保護度 （Property rights）	11位／136	Executive Opinion Survey
政府の政策の外国直接投資に与え得る影響度 （Business impact of rules on FDI）	36位／136	Executive Opinion Survey
論争解決の際の法的枠組みの効率性 （Efficiency of legal framework in settling disputes）	15位／136	Executive Opinion Survey
規制との競合の際の法的枠組みの効率性 （Efficiency of legal framework in challenging regulations）	22位／136	Executive Opinion Survey
施工許認可に要する日数 （Time required to deal with construction permits）	99位／136	世界銀行
施工許認可に要する費用 （Cost to deal with construction permits）	18位／136	世界銀行
旅行・観光関係企業の多様性 （Extent of market dominance）	1位／136	Executive Opinion Survey
起業に要する日数 （Time required to start a business）	72位／136	世界銀行
起業費用 （Cost to start a business）	71位／136	世界銀行
税制が労働意欲に与える影響の低さ （Effect of taxation on incentives to work）	39位／136	Executive Opinion Survey
税制が投資に与える影響の低さ （Effect of taxation on incentives to invest）	51位／136	Executive Opinion Survey
税率の総合的な低さ （Total tax rate）	103位／136	世界銀行

安全とセキュリティ（Safety and security）

サブピラー	日本の順位	典拠
犯罪・暴力に対するコストの低さ （Business costs of crime and violence）	34位／136	Executive Opinion Survey
警察の信頼度の高さ （Reliability of police services）	18位／136	Executive Opinion Survey
テロに対するコストの低さ （Business costs of terrorism）	76位／136	Executive Opinion Survey
テロ関連の死傷者の少なさ （Index of terrorism incidence）	78位／136	Global Terrorism Database
殺人率の低さ （Homicide rate）	3位／136	国連薬物犯罪事務所

健康と衛生（Health and hygiene）

サブピラー	日本の順位	典拠
1000人あたりの医師の密度 （Physician density）	53位／136	世界保健機関
衛生的な環境を得られる総人口中の割合 （Access to improved sanitation）	1位／136	世界保健機関
安全な飲料水を得られる総人口中の割合 （Access to improved drinking water）	1位／136	世界保健機関
10000人あたりの病院ベッド数 （Hospital beds）	1位／136	世界銀行
HIV感染率の低さ （HIV prevalence）	1位／136	世界銀行
マラリア感染率の低さ （Malaria incidence）	1位／136	世界保健機関

人的資源と労働市場（Human resources and labour market）

サブピラー	日本の順位	典拠
正規初等教育の就学度 （Primary education enrollment rate）	3位／136	国際連合教育科学文化機関
中高等教育の修了度 （Secondary education enrollment rate）	41位／136	国際連合教育科学文化機関
スタッフ研修の程度 （Extent of staff training）	10位／136	Executive Opinion Survey
顧客対応度 （Treatment of customers）	1位／136	Executive Opinion Survey
雇用・解雇の柔軟度 （Hiring and firing practices）	112位／136	Executive Opinion Survey
熟練した従業員の雇用の容易度 （Ease of finding skilled employees）	30位／136	Executive Opinion Survey
外国人雇用の容易度 （Ease of hiring foreign labor）	113位／136	Executive Opinion Survey
費用に対する生産性の高さ （Pay and productivity）	24位／136	Executive Opinion Survey
女性労働力の割合の高さ （Female labour force participation）	76位／136	国際労働機関

情報通信技術への対応（ICT Readiness）

サブピラー	日本の順位	典拠
企業間取引におけるICT利用度 （ICT use for business-to-business transactions）	6位／136	Executive Opinion Survey
企業・消費者間取引におけるインターネット利用度 （Internet use for business-to-consumer transactions）	8位／136	Executive Opinion Survey
個人のインターネット利用率 （Individuals using the Internet）	11位／136	国際電気通信連合
100人あたりのブロードバンド固定回線加入者数 （Broadband Internet subscribers）	20位／136	国際電気通信連合
100人あたりの携帯電話加入者数 （Mobile telephone subscriptions）	54位／136	国際電気通信連合
100人あたりのモバイル機器におけるブロードバンド加入者数 （Mobile broadband subscriptions）	6位／136	国際電気通信連合
モバイルネットワークのカバレッジ （Mobile network coverage）	36位／136	国際電気通信連合
電力供給の信頼性 （Quality of electricity supply）	15位／136	Executive Opinion Survey

旅行・観光に関する政策と可能にする諸条件（T&T policy and enabling conditions）

旅行・観光の優先度（Prioritization of Travel&Tourism）

サブピラー	日本の順位	典拠
政府の旅行・観光業に対する優先度 （Government prioritization of the T&T industry）	16位／136	Executive Opinion Survey
政府の旅行・観光関連への支出の割合 （T&T government expenditure）	42位／136	世界旅行ツーリズム協議会
観光客誘致のためのマーケティング・ブランド戦略の効果度 （Effectiveness of marketing and branding to attract tourists）	27位／136	Executive Opinion Survey
旅行・観光に関する年間データの網羅度 （Comprehensiveness of annual T&T data）	9位／136	世界観光機関
旅行・観光に関する月次・四半期毎のデータ数 （Timeliness of providing monthly/quarterly T&T data）	3位／136	世界観光機関
観光機関の戦略の妥当性 （Country Brand Strategy rating）	42位／136	Bloom Consulting

国際的オープンネス（International Openness）

サブピラー	日本の順位	典拠
査証の免除度 （Visa requirements）	112位／136	世界観光機関
2国間航空サービスの開放度 （Openness of bilateral Air Service Agreements）	10位／136	世界貿易機関
地域貿易協定の締結数 （Number of regional trade agreements in force）	35位／136	世界貿易機関

価格競争力（Price Competitiveness）

サブピラー	日本の順位	典拠
国際航空サービスにおける税コストの軽さ （Ticket taxes and airport charges）	46位／136	国際航空運送協会
高級ホテルの標準的客室の価格水準の低さ（米ドル換算） （Hotel price index）	72位／136	デロイト トウシュ トーマツ
相対的購買力平価の低さ （Purchasing power parity）	116位／136	世界銀行
燃料価格水準の低さ（米ドル換算） （Fuel price levels）	58位／136	世界銀行

環境の持続可能性（Environmental sustainability）

サブピラー	日本の順位	典拠
環境規制の厳格度 （Stringency of environmental regulation）	8位／136	Executive Opinion Survey
環境規制の実行度 （Enforcement of environmental regulation）	14位／136	Executive Opinion Survey
環境保護を考慮した旅行・観光業の持続的発展に向けての政府の戦略度 （Sustainability of T&T industry development）	23位／136	Executive Opinion Survey
一立方メートルあたりのPM2.5の濃度の低さ （Particulate matter 2.5 concentration）	93位／136	イェール大学・コロンビア大学
環境に関する条約の批准数 （Environmental treaty ratification）	31位／136	国際自然保護連合
取水率の低さ （Baseline water stress）	78位／136	World Resources Institute
哺乳類・鳥類・両生類の絶滅危惧種の割合の低さ （Threatened species）	129位／136	国際自然保護連合
森林の2000年から2012年における増減率 （Forest cover change）	24位／136	イェール大学・コロンビア大学
廃水処理率 （Wastewater treatment）	36位／136	イェール大学・コロンビア大学
排他的経済水域における漁獲密集度の低さ （Coastal shelf fishing pressure）	71位／136	イェール大学・コロンビア大学

インフラストラクチャー（Infrastructure）

航空交通のインフラ（Air transport infrastructure）

サブピラー	日本の順位	典拠
航空インフラの品質 （Quality of air transport infrastructure）	24位／136	Executive Opinion Survey
国内線定期便における週あたりの利用可能な座席キロ数 （Available seat kilometers, domestic）	4位／136	国際航空運送協会
国際線定期便における週あたりの利用可能な座席キロ数 （Available seat kilometers, international）	6位／136	国際航空運送協会
1000人あたりの機材数 （Aircraft departures）	44位／136	国際航空運送協会
人口に対する空港の密度 （Airport density）	97位／136	国際航空運送協会
運航中の航空会社数 （Number of operating airlines）	15位／136	国際航空運送協会

陸上交通と港湾のインフラ（Ground and port infrastructure）

サブピラー	日本の順位	典拠
道路の品質 （Quality of roads）	5位／136	Executive Opinion Survey
道路の密度 （Road density）	35位／136	IRF Geneva
舗装道路の密度 （Paved road density）	34位／136	IRF Geneva
鉄道インフラの品質 （Quality of railroad infrastructure）	1位／136	Executive Opinion Survey
鉄道の密度 （Railroad density）	16位／136	IRF Geneva
港湾インフラの品質 （Quality of port infrastructure）	22位／136	Executive Opinion Survey
国内陸上交通（列車・地下鉄・バス・タクシー）の効率性 （Ground transport efficiency）	1位／136	Executive Opinion Survey

観光のインフラ（Tourist service infrastructure）

サブピラー	日本の順位	典拠
人口100人あたりのホテルの部屋数 （Hotel rooms）	27位／136	世界観光機関
ツーリズムインフラの質 （Quality of tourism infrastructure）	38位／136	Executive Opinion Survey
7大主要レンタカー会社の密度 （Presence of major car rental companies）	85位／136	Individual rental car websites, online research
成人10万人あたりのATM数 （ATMs per adult population）	10位／136	世界銀行

自然・文化資源（Natural and cultural resources）

自然資源（Natural resources）

サブピラー	日本の順位	典拠
世界自然遺産数 （Number of World Heritage natural sites）	11位／136	国際連合教育科学文化機関
哺乳類・鳥類・両生類の総生物種数 （Total known species）	60位／136	国際自然保護連合
自然保護地域の割合 （Total protected areas）	56位／136	国際連合統計部
環境ツーリズムに対する検索の多さ （Natural tourism digital demand）	20位／136	Bloom Consulting
自然環境の質の高さ （Quality of the natural environment）	66位／136	Executive Opinion Survey

文化資源とビジネス旅行（Cultural resources and business travel）

サブピラー	日本の順位	典拠
世界文化遺産数 （Number of World Heritage cultural sites）	11位／136	国際連合教育科学文化機関
口承・無形遺産数 （Oral and intangible cultural heritage）	2位／136	国際連合教育科学文化機関
大規模スポーツスタジアム数 （Sports stadiums）	4位／136	Worldstadiums.com
国際会議開催数 （Number of international association meetings）	8位／136	国際会議協会
文化・娯楽ツーリズムに対する検索の多さ （Cultural and entertainment tourism digital demand）	5位／136	Bloom Consulting

指数の算出方法

「旅行・観光競争力指数」（Travel & Tourism Competitiveness Index）は、典拠となるデータを、1から7までの数字による尺度に変換し、算出されている。

• 高い数値が良い結果を示す指標の場合、計算式は以下の通り。

6×(CS－LS)÷(HS－LS)＋1

• 高い数値が良くない結果を示す指標（殺人率など）の場合、計算式は以下の通り。

－6×(CS－LS)÷(HS－LS)＋7

（CS = Country Score.、LS = The lowest scores of the overall sample、HS = The highest scores of the overall sample）

外部リンク

• The Travel & Tourism Competitiveness Report 2017 （英語）