死語 (言語学)

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言語学における死語(しご)とは一般に自然言語のなかで日常話者が存在しなくなったため実際には使用されていない言語意味する。学校教育による支配階級の言語の強要、英語フランス語スペイン語ポルトガル語ドイツ語などの旧植民地支配勢力の言語が強まり、少数民族の固有言語は世界各地で絶滅消滅)の危機にさらされている。

概説

日常話者が完全に存在しなくなった「死語」であっても、古典アラビア語ラテン語古典中国語古典ギリシャ語のような言語は、文章語として現代でも使用されている。厳密にいえば、死語を「口語としての死語」と、「文章語としての死語」、そして「完全な死語」の3つに分けることが可能であり、上記の古典語は、口語としては死語であっても、文章語としては死語ではなく、ゆえに完全に使用が絶えたという意味での死語でもない(例えば、古典中国語で詩を書く習慣21世紀となった今でも日本中国の一部で健在である。またラテン語は現在でも学術用語として膨大な数が造語され続けており、特に植物学の論文においては2011年12月までラテン語で記述することが正式発表の要件であった[1]国際藻類・菌類・植物命名規約)。このなかでも古典アラビア語はもっとも広く使われる。

話者が絶えてしまったために発音がわからなくなっている言語もあるほか、文字文化を持たなかった言語では存在そのものが絶えてしまったケースもみられる。この問題において、最も顕著な事例としてはアメリカ先住民アボリジニの各々の部族にそれぞれ伝えられていた言語であろう。幸運にも民俗学者やアマチュアの手によって録音が残されていたために解明される場合もあるが、250(26 - 28系統)ともいわれた各アボリジニ言語の大半はかれらがたどった歴史とともに既に失われているとされる。

一度死語となった言語から母語話者を再生させることは非常に難しい。歴史上、ヘブライ語においてのみこれが成功した例を認めることができる。ただし、ヘブライ語は紀元後1世紀以来日常での話し手(母語話者)がゼロの状態(口語としての死語)から復活したが、決して「まったく使用されない状態」(完全な死語)から復活したわけではなく、文章語として学者聖職者などの教育のあるユダヤ人によって使われ、2000年近く継承されていた。19世紀ハスカラー運動により、ヘブライ語の文章語としての使用領域はそれまでイディッシュが担っていた世俗文学等にもおよぶなど格段に広がり、新語外国語からの訳語の構築もこの時期に始まった。20世紀初めにエリエゼル・ベン・イェフダーは、最大限の言語学的努力により、古典ヘブライ語を元に再構築された「ヘブライ語」を、自分の息子に教え込むことで、母語話者を再生した。第二言語として復活した言語にはマン島語コーンウォール語(別名:ケルノウ語)などがある。ただし、音標文字で記されていない限り発音が復元できないので、古典中国語のような場合、口語としての復活は困難である。

様々な死語

古代エジプト語の発音は一時期において完全に失われたと思われていたが、表記をアルファベットに置き換えたコプト語として現存するエジプトのキリスト教徒により存続していたことから解読が進んだ。また、コプト語を「完全な死語」としないための保存調査・復活運動が進められている。

ゴート語古代教会スラヴ語ははるか昔に死語となったが、豊富な文献から当時の状況が分かっている。

プロシア語フリギア語は文献がほとんどないため、話されていた記録しか知られていない。

トカラ語ヒッタイト語20世紀になってから新たに発見された死語であり、単なる死語でなく、インド・ヨーロッパ語族における様々な新発見、新研究の要素を含んでいた。

関連項目

脚注

外部リンク