黒島天主堂

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黒島天主堂(2011年11月)

黒島天主堂(くろしまてんしゅどう)は、長崎県佐世保市黒島にあるキリスト教 カトリック長崎教区教会およびその聖堂である。正式名称を黒島教会(くろしまきょうかい)といい、至聖なるイエズスの聖心教会イエスのみ心教会の別名もある。国の重要文化財に指定されている。

沿革

佐世保市本土から西へ約10km離れた九十九島最大の島である黒島には、江戸時代の迫害を逃れて移住してきた隠れキリシタンが多く住んでいた。

建築概要

黒島のほぼ中央に北面して建つ、煉瓦造および木造切妻造瓦葺きの三廊式バシリカ型教会堂である。規模は間口15.0メートル、奥行32.6メートル。外観はロマネスク様式を基調とし、ファサードペディメント下にバラ窓を設ける。正面にはバラ窓以外の窓はなく、壁面にブラインド・アーケードやブラインド・アーチ(壁面にアーケードやアーチ形の装飾を造るのみで、開口していないもの)を設けている。入口上には四角錐形屋根をもつ鐘塔が立つ。外壁は大部分を煉瓦壁とするが、上方のクリアストリー部分の外壁は下見板張りとする。内部は柱列によって身廊部と側廊部に分ける三廊式で、身廊部はアーケード、トリフォリウム、クリアストリーからなる三層構造であり、天井はリブ・ヴォールトとする。側廊の壁面とクリアストリーにはステンドグラスを嵌める。この天主堂は保存状態がよく、明治時代に、外国人神父の指導によって建設された、様式的にも整った本格的な教会堂建築として貴重な遺構である。[4]

今村天主堂と並び最も完成された大規模煉瓦造りの天主堂と言われている。

  • 様式 - ロマネスク様式
  • 設計 - マルマン神父
  • 棟梁 - 前山佐吉
  • 竣工 - 1902年
  • 構造 - 煉瓦造および木造、瓦葺き平屋建て
    • 煉瓦の一部は信徒らが焼いたものである。
    • 基礎には黒島特産の御影石、祭壇の床には伊万里焼のタイルが使われている。

所在地

〒857-3271 長崎県佐世保市黒島町3333番地

アクセス

その他

  • 天主堂に使われているレンガの一部は黒島で作られ、あとの残りは島外から持ち込まれたものである。レンガ造の教会は全国で17棟しかなく、その全てが九州(うち16棟は長崎県)にあり、黒島天主堂はそのうち4番目に古い建物である。
  • 建物の構造についても、レンガ造の一般的な教会の多くが単層構造(層が多いほど屋根が高くなり、建設に高い技術が必要となる)であるのに対し、黒島天主堂は長崎の大浦天主堂(国宝)と同じく3層構造になっている。建築当時はまだ単層構造が主流であった時代に、多層構造をいち早く取り入れた教会建築物として重要な存在である。
  • 天主堂建造に使われたレンガの総数は40万個ともいわれている。
  • マルマン神父は手先が器用だったという話が残されている。天主堂の説教台シャンデリア、洗礼台の彫刻は神父自らの手によるものである。
  • 天主堂に飾られている像の多くはマルマン神父が資金調達のため、フランスに戻った際に購入してきたものと言われ、上海製の像がおいてある。聖鐘はフランス製である。
  • 現在は絨毯敷きに礼拝椅子のフロアとなっているが、昔の資料によると畳敷きであったことがわかる。また、タイルは有田焼を使用し、当時としては豪華な造りであった。
  • クリスマスイブには島中のカトリック信徒が天主堂に集まり、入りきれずに外で覗いている人までも祈りをささげている。ミサが終わると婦人会による炊き出しが行われ、ぜんざいケーキが振舞われる。

脚注

  1. 「新指定の文化財」『月刊文化財』416号、p.30
  2. “長崎、天草の「潜伏キリシタン」が世界文化遺産に決定 22件目”. 産経新聞. (2018年6月30日). https://www.sankei.com/life/news/180630/lif1806300038-n1.html . 2018年6月30日閲覧. 
  3. “長崎と天草地方の「潜伏キリシタン」世界遺産に”. 読売新聞. (2018年6月30日). http://www.yomiuri.co.jp/culture/20180630-OYT1T50066.html . 2018年6月30日閲覧. 
  4. 「新指定の文化財」『月刊文化財』416号、pp.30 - 31

参考文献

  • 「新指定の文化財」『月刊文化財』416号、第一法規、1998

関連項目

外部リンク



座標: 東経129度32分13.2秒北緯33.139139度 東経129.537度33.139139; 129.537