四神
四神(ししん[1]、しじん)は、中国の神話、天の四方の方角を司る霊獣である(天之四霊)。四獣(しじゅう)、四象(ししょう)ともいう。四象と四神・四獣は同義であり、実体のない概念である四象に実体を持たせたものが四神・四獣とされる。
東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武である。五行説に照らし合わせて中央に麒麟や黄竜を加え数を合わせた上で取り入れられている。
淮南子などによると、方角には四獣と共に季節神として五帝を補佐する五佐のうち四佐が割り当てられている。これらの四佐のほうを四神と呼ぶこともある。また、瑞獣の四霊(応竜・麒麟・霊亀・鳳凰)を四神と呼ぶこともある。
対応
四神にはそれぞれ司る方位、季節、そしてその象徴する色などがある。
四神(四獣) | 五方 | 五時 | 五色 | 五行 | 四象 | 爻 | 五佐 |
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青龍 | 東 | 春 | 緑(青) | 木 | 少陽 | ファイル:Shaoyang 4.png | 句芒(こうぼう) |
朱雀 | 南 | 夏 | 赤(朱) | 火 | 太陽(老陽) | ファイル:Taiyang.png | 祝融(しゅくゆう) / 朱明(しゅめい) |
白虎 | 西 | 秋 | 白 | 金 | 少陰 | ファイル:Shaoyin.png | 蓐収(じょくしゅう) |
玄武 | 北 | 冬 | 黒(玄) | 水 | 太陰(老陰) | ファイル:Taiyin.png | 玄冥(げんめい) |
黄竜または麒麟 | 中央 | 土用 | 黄 | 土 | 后土(こうど) |
星宿との関係
テンプレート:二十八宿 中国天文学では、天球を天の赤道帯に沿って東方・北方・西方・南方の四大区画に分け、それぞれに四神(四象)を対応付けた。これらを東方青龍・北方玄武・西方白虎・南方朱雀と呼ぶ。
これは二十八宿を七宿ごとにまとめ、その星座を組み合わせた形を龍・鳥・虎・亀(正確には蛇が亀に絡まっている姿)の4つの動物の姿に見立てたことによる。例えば、東方青竜であれば、角は龍の角、亢は龍の頸、氐・房は龍の身体、尾は龍の尾を象っている。また戦国時代は五行説により土=中央=黄、木=東=青、金=西=白、火=南=赤、水=北=黒というように五行と方位(五方)・色(五色)が結びつけられており、これらの動物も各方角が表す色を冠し、青龍(蒼龍)・玄武・白虎・朱雀(朱鳥)とされた。なお、ここでいう東方・北方・西方・南方は天球上の東西南北ではなく、地平から見た方位であり、天上の十二辰と地上の十二支が一致したときの天象(春の星空)を基にしている。
なお四象の境界は二十八宿に基づいているため、均等ではなく、十二次と十二辰の区分とは一致しない。『漢書』律暦志の度数(周天を365度とする)では、
- 東方宿 - 75度
- 北方宿 - 98度
- 西方宿 - 80度
- 南方宿 - 112度
となっている。
四神お守り
2010年4月5日、宇宙飛行士の山崎直子は、2009年10月18日に行われた「松戸神社・神幸祭」のためにつくられた「四神お守り」を携えてスペースシャトル「ディスカバリー号」に乗り、ケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーションへ飛び立った。
地球へ帰還した山崎は、同年5月に帰国し松戸市を訪れて、供に宇宙へ行った「四神お守り」を同神社へ返納した。
四神にちなむもの
青龍偃月刀、白虎隊、朱雀門、玄武洞など、四神にちなんだ事物は数多い。
会津藩では武家男子を中心に年齢別に50歳以上の玄武隊、36歳から49歳までの青龍隊、18歳から35歳までの朱雀隊、17歳以下の白虎隊と四神の名前を部隊名とし軍構成していた。
人生を四季に例え、若年期を「青春」、壮年期を「朱夏(しゅか)」、熟年期を「白秋(はくしゅう)」、老年期を「玄冬(げんとう)」と表現することがある(玄冬は、春に芽吹く土壌作りの時期として幼少期とする説もある)。日本の詩人北原白秋の号はこれに由来している。
脚注
- ↑ 新紀元社『幻想動物事典』p.159
関連項目
- 四神相応
- キトラ古墳
- 高松塚古墳 - 壁画古墳ブームの火付け役。
- 風水
- 平安京 - 東西南北に四神を見立てて建設されている。都の中央を南北に走る大路を朱雀大路という。
- 玄武洞 - 兵庫県豊岡市にある洞窟で天然記念物。5つある洞窟に四神の名前が付けられている。
- 飛龍の拳 - 『飛龍の拳II ドラゴンの翼』の月光衆のゲンブ(玄武)、ビャッコ(白虎)、セイロウ(青狼)、スザク(朱雀)の4人はセイロウ以外四神から名前を由来している(「青龍」も"せいろう"と読む場合がある)。
- ロマンシング サ・ガ3 - 術(魔法)の分類に四神の4つがある。
- ガメラ3 - 登場する怪獣ガメラが玄武に怪獣イリスが朱雀に対応するという考察が劇中で語られる。