檜枝岐村
檜枝岐村(ひのえまたむら)は、福島県南会津郡にある村。1889年(明治22年)4月1日に誕生した。
日本有数の「特別豪雪地帯」。平家の落人伝説が残る。村民の姓は「星」「平野」「橘」で占められる。
Contents
概要
高度経済成長期を迎えるまでは焼畑が夏の風物詩であり、山菜採りを主要な収入源とした他、木地加工や狩猟も行われてきた。前述の「平野」姓は平家の落人の系譜につながるとされ、「橘」姓は織田信長に追われた伊勢治田城主・楠七郎左衛門正具の一統に由来するとされている。
後述の通り、標高の高い山々に四方を囲まれた地域であるが、1960年代のダム開発と70年代の尾瀬の観光地化によって、80年代より農家の民宿業への転身、1986年の野岩線の浅草直結に伴う振興計画により、観光地化が進んでいる。1979年には景観保全のため、家々の屋根を赤錆色に統一。山人(やもーど)料理や年3回開催される檜枝岐歌舞伎、スキー場も観光客を集めている[1]。山人料理は山村ならでは食材を鍋料理などに仕立てることで知られ、山菜やキノコ、イワナなどの川魚、熊やウサギ、カモなどの肉、豆腐、裁ち蕎麦などを使う。珍しい料理としては、ハコネサンショウウオの唐揚げや、トウガラシを塩漬けした「山人漬」がある[2]。
地理
檜枝岐村は、駒ケ岳と、燧ケ岳、帝釈山に囲まれ、それらの間を通る檜枝岐川(伊南川の俗称)と沿線の国道352号沿いに位置する。特に燧ケ岳 (2,356m) は、東北地方で最も標高が高い山である。村役場に隣接した集落の他は、村の面積のうち約98%を林野が占めている[3]。福島県内で人口が最も少ない市町村であり、日本一人口密度の低い市町村となっている。
隣接している自治体
- 福島県
- 群馬県
- 利根郡:片品村
- 片品村との境は尾瀬国立公園に指定されており、自然保護の観点から歩行者のみ通行可(福島・群馬両県境は陸続きの県境で唯一車両通行不可)。片品村まで車両で移動する場合は南会津町・栃木県日光市(国道352号、飯豊檜枝岐大規模林道、国道121号、国道119号、国道120号、栃木県道・福島県道350号栗山舘岩線、栃木県道249号黒部西川線、栃木県道23号川俣温泉川治線、栃木県道169号栗山日光線、栃木県道245号栗山今市線、栃木県道247号日光今市線など)を経由し、最も近い金精峠まででも125kmを要する(金精峠区間は冬期閉鎖)。
- 新潟県
- 魚沼市
- 唯一の連絡路である国道352号は(七入駐車場以西が)11月~翌年6月まで冬期閉鎖される。
- 魚沼市
- 栃木県
- 日光市
- 「川俣檜枝岐林道」により旧栗山村域と直結されているが未舗装の悪路となっており、冬期は閉鎖。大型車は国道352号・国道121号経由で大きく迂回する必要がある。
- 日光市
人口
檜枝岐村(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
- 観光地化が進んでいるため、類似自治体と比較してサービス業就業者の割合が突出、高齢化や人口減が非常に緩慢であり、20代から30代の人口比率が高い傾向にある。村から通える範囲に高校がなく、高校生は村外に下宿せざるを得ないため10代後半の人口が著しく低い[4]。
歴史
年表
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制施行により、檜枝岐村が単独で村制度施行し南会津郡檜枝岐村が発足。[5][6]
- 1922年(大正11年) - 発電所新設、全村に電灯がつく。
- 1950年(昭和25年) - 檜枝岐小中学校校舎新築。
- 1975年(昭和50年)4月1日 - 国道352号が制定。
- 1981年(昭和56年) - 国道401号が制定。
- 1987年(昭和62年) - 村民体育館完成。
変遷表
檜枝岐村村域の変遷表 | |||||
---|---|---|---|---|---|
1868年 以前 |
明治22年 4月1日 |
明治22年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 | |
檜枝岐村 | 檜枝岐村 | 檜枝岐村 | 檜枝岐村 | 檜枝岐村 |
行政
村長選挙・村議会
1963年の村長選挙は立候補した二人が義理の兄弟で親族を巻き込み村を二分した激戦になり、しこりが残ったといい、それ以降はその様になることを嫌って、1967年から2003年までは10回連続で村長は無投票当選となっていた。2007年には候補者が2人出現したため、無投票とはならずに村長選挙が行われたが、ポスターや演説が行われない選挙活動で選挙が行われた。また、村議会議員は民宿などの宿泊施設の経営者で占められている。
郵便
- 檜枝岐郵便局(無集配局)尚、檜枝岐村内の集配業務は隣の南会津町にある伊南郵便局が行う。
教育
- 檜枝岐村立檜枝岐小学校
- 檜枝岐村立檜枝岐中学校
- 新潟県北魚沼郡湯之谷村立東湯之谷小学校鷹巣分校(廃校時の名称。1928年から1967年まで)
- 新潟県北魚沼郡湯之谷村立第二湯之谷中学校鷹巣分校(廃校時の名称。1947年から1967年まで)
- 新潟県北魚沼郡湯之谷村立井口小学校鷹巣夏季分校(1967年から1974年まで)
鷹巣地区の学校については、魚沼市を参照のこと。
交通
道路
- 一般国道
- 主要地方道
- 福島県道1号沼田檜枝岐線(群馬県道と共通。但し一般車は通年通行不可で群馬県側への車両通り抜けも不可=歩行者のみ通行可[8]。マイカーは七入または御池に駐車し、尾瀬方面へは沼山峠休憩所行き有料シャトルバスに乗り換え)。
- 飯豊檜枝岐大規模林道(南会津町舘岩地区&田島地区及び栃木県方面への短絡路)
- 川俣檜枝岐林道(栃木県日光市川俣地区=旧栗山村域及び群馬県片品村方面への最短経路だが、未舗装悪路のため大型車通行困難。冬期は閉鎖)
路線バス
警察
- 南会津警察署
- 当村内に駐在所はなく、最寄りの駐在所は南会津町内にある伊南駐在所及び舘岩駐在所となる。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 奥只見ダム
- 桧枝岐温泉
- 三条の滝(日本の滝百選)
- 尾瀬
- 歴史民俗資料館
- 尾瀬写真美術館
- 桧枝岐の舞台
- 檜枝岐歌舞伎
- 会津駒ヶ岳山開き(5月)
- 燧ヶ岳山開き(7月)
- 真夏の雪祭り(8月)
- 新そば祭り(11月)
- 武田久吉メモリアルホール(ミニ尾瀬公園内)
- アルザ尾瀬の郷
名品
関連書籍・映像
- 書籍
- ふくしま文庫第20巻「秘境・檜枝岐の歌舞伎」(山口弥一郎著・福島中央テレビ企画編集。1976年2月10日初版発行。FCT企業刊。)
- 『日本の地誌4 東北』 田村俊和他 朝倉書店 2008年4月20日
- TV
- NHK BSプレミアム『新日本風土記』「奥会津檜枝岐」2017年2月3日放送[9]
関連項目
- 尾瀬国立公園
- 奥会津
- 農村歌舞伎
- 当初から廃置分合を行った事のない市町村の一覧 - 当村も該当する。
出典
- ↑ 日本の地誌4 東北 488頁
- ↑ “サンショウウオ・山菜…福島の秘境に「山人料理」主食はソバ、村人の知恵”. 日本経済新聞夕刊(食ナビ). (2017年2月28日)
- ↑ 檜枝岐村役場 公式ホームページ
- ↑ 日本の地誌4 東北 498頁
- ↑ 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 7 福島県』、角川書店、1981年 ISBN 4040010701より
- ↑ 日本加除出版株式会社編集部『全国市町村名変遷総覧』、日本加除出版、2006年、ISBN 4817813180より
- ↑ 2006年までは枝折峠区間において「午前は魚沼市街→銀山平方向への、午後は銀山平→魚沼市街方向への各一方通行&二輪車終日通行禁止」とする規制が行われていた。
- ↑ 東北地方と関東地方を結ぶ車両通行が可能な一般道の最西端は「栃木県道・福島県道350号栗山舘岩線」となる(但し県境部は未舗装で冬期閉鎖)。
- ↑ 新日本風土記>「奥会津檜枝岐」
外部リンク